戦前の南アフリカの報時局     2023.6.4
 (a)Cape Town VNC(ZSC)  

図1 Cape Townの地図

 『理科年表』の経緯度で調べると、場所はケープタウンの郊外で、ケープ半島のつけねあたりを示す。この半島の先端が有名な喜望峰である。地名は『理科年表』第5冊(1929)からSlang Kopとなっている。同じ名称の灯台がある場所が該当する地だと思われる。

 VNC局はアフリカでは最も古い1914年の開局である。周波数500kHz、21:00に電波を出した。「第3冊(1926)」では31.9kHz、10:00が追加された。これは「第5冊(1929)」では記述が消える。「第6冊(1930)」では、500kHzが480kHzとなり、これは「第10冊(1934)」で元の500kHzに戻る。1931年、コールサインがZSCに変更される。「第9冊(1933)」では短波8333kHz、7:00と19:00が追加される。短波送信は「第11冊(1935)」では記述がなくなる。「第13冊(1937)」まで記述があったのは500kHz、21:00のみであった。

 時刻情報の提供はCapeとなっているが、Cape Town市内部に1820年に創立された天文台(South African Astronomical Observatory)がある。おそらくこれが提供元だと思われる。

図2 SAAO(South African Astronomical Observatory)

 VNC局の送信フォーマットを以下に示す。

表1 VNC局の送信フォーマット


【図の出典】
図2 SAAO(South Africa Astronomical Observatory) https://www.saao.ac.za/about/

 
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