中国製ラジオの紹介 ■ Is

Update:2010/03/03

DEGEN DE1103 TECSUN PL-200 TECSUN PL-350
DEGEN DE1102 ANDO ERA-330S(TECSUN BCL-2000) DEGEN DE11
テクニカル情報へ戻る TECSUN PL-380(Og)   

【その1】DEGEN DE1103

 ソニーやパナソニックが新型のワールドバンドレシーバーをリリースしなくなって何年もの月日が過ぎました。その反面、PWRやWRTHでは中国、台湾の新製品がまるで春の竹林でタケノコが生えるがごとく発表されている様子は皆さんもよくご存知なところだと思います。

 こうした広告の誘惑に負けて最近中国製ラジオを買いあさっています。かつての中国製ラジオといえば値段は安いものの、ディスカウントショップやDIY店で販売されているような見た目もお粗末で、その性能もさんざんな粗悪品・・・を思い浮かべる方も多いのでしょうが、最近の製品は違うんです。

最近の中国製ラジオは、その昔Made in Japanが低価格、高性能をもって世界のシェアーを独占したのと同じ雰囲気が感じられます。昨年中国DEGEN社製のDE1102を購入し、そのコストパフォーマンスのよさに魅せられてTECSUN PL-200そしてDEGEN のDE1103へと買い進んでいきました(図1)。
chra01.JPG (427606 バイト)
(図1 一番奥が2001D、向かって左はDE1102、中央PL-200、右がDE1103)

インターネットでそれぞれのラジオを購入しましたが、PL-200が約7000円、DE1102が約8000円、DE1103が約9000円(ともに送料込み)とちょうど月々の小遣いをやりくりして、ほしいと思ったときに購入できるような価格であります。

これに対応する国産機種はICF-SW35(19800円)、ICF-SW7600GR(40000円)で、多少ディスカウントがあるものの購入するにはやや敷居が高いという感じが否めません。もちろん性能面では同期検波付きのICF-SW7600GRをまかしてしまうまでの製品はありませんが、ICF-SW35との比較であればどうでしょう、これらの中国製ラジオも勝るとも劣らない性能を発揮しているように感じます。

 今回からしばらく、これらの中国製ラジオ各機種について簡単に紹介していこうと考えています。あまり力んで書くと長続きしないので、簡単なスペックや装備、操作性について書いていこうと思います。第一回ですがDEGENのDE1103についてです(図2)。

chra02.JPG (424961 バイト)

価格
国内での販売価格は8000円弱から10000円程度、ウェブ上で検索するといくつか販売店がヒットします(個人販売が多いようです)。

大きさ
165×105×29mm、でICF-SW7600GR(190×118.8×35.3mm)より一回り小さく、また厚みも薄いですが、安っぽくはありません。7600GRと同じような高級感?が感じられます。重量は電池を含まず本体のみで300gです。

回路方式
PLLアップコンバージョン方式のダブルスーパー; 1st IF 55.845MHz, 2nd IF 450kHz(FMについては不明)。
受信周波数 はAM,SSBはLW〜SWの 100kHz〜29999kHz連続受信。プログラムのバグを利用すれば0kHz〜39999kHzが受信可能になります。ALA1530SとDE1103で60kHzのJJYが混変調にまみれながらも受信できます(図3)。

chra03.JPG (411452 バイト)
(図3 向かって左は38040kHzを受信中。3がaと表示される。右の表示は10060kHzであるが、実際は60kHzの受信。SSBモードにして1530Sをアンテナ端子に接続すると聞きなれたJJYを聞くことができる)

FM は76.00MHz〜108.00MHz;ステレオ、モノラル切り替え可能。FMについても受信周波数拡大が可能なようですが、まだ成功していません。

電源
AAタイプのニッケル水素電池4本(1300mAhが付属)使用または外部電源直流6V(ACアダプターは付属せず)。一部AC220V用のACアダプタが付属するものも販売されているようです。

受信ステップ
LW〜SWは 1kHz。ただしLWはダイレクトテンキー入力、MW〜SWの放送バンドは BAND+, BAND-のボタンで移動可能。各バンドごとに最終受信周波数がメモリーされます。FMは 0.025MHzごと(表示は0.02, 0.05, 0.07, 0.10)。それぞれ本体右上のジョグダイヤルでチューニングを行います。ただしジョグダイアルの同調ステップは固定されており、離れた周波数への移動はテンキー、あるいはBANDスイッチを併用しての選局が必要となります。

選択度
LW〜SWはワイド(6kHz)、ナロー(4kHz)切り替え可能。CFUあるいはCFW同等品のセラミックフィルタが装着されていています(450H,450Jの表示、Jは本来3kHzですが、実際の帯域幅を表示しているのでしょう)。ナローはICF−2001Dのナローと同程度、ワイドは2001Dのワイドより若干狭いですが、音質との兼ね合いで不満を感じない帯域です。FMの選択度はわかりません。

メモリー:268局

その他
LW〜SWは1kHzステップの受信ですが、SSB受信時はFine Tuningダイアルでなめらかな復調が可能です。ただしLSB,USBの切り替えはなく、かつてのBCLラジオのようにFine tuneダイアルが可変BFOとなっており、それによってそれぞれの側波帯の選択を行います。

正面には大きなLCDとその下に横一直線に不自然なテンキーが配置されています。LCDにはバンドごとに周波数が読み取り可能かのごとく数字がきざまれていますが、受信周波数を示すバーは連続的には移動せず、アナログ表示からは周波数の読み取りは不可能です(PWRいわくpseudo-analog LCD "dial")。私もこの偽のアナログダイアルと一直線にならんだテンキーが気に入らなくて購入を決めるまで1年半の歳月が過ぎました。特に役立たずのLCDについてはアナログもどき表示を削除して、もう少し小型化、低価格化してほしいものですね。

外部アンテナ端子(数mのワイヤーアンテナが付属)、ヘッドフォン端子(ステレオイヤーパッドが付属)、外部電源端子(センター+の6V;付属しません!)、ATT(DX,LOCAL)スイッチが向かって左側面に、LINE OUT端子、選択度切り替え(FMモードでは音質切り替え)スイッチ、LCDのライトのON/OFFスイッチ、FINE TUNEダイアル、ジョグダイアルが向かって右側面に配置されています(図4)。

chra04.JPG (430912 バイト)
(図4 向かって左は右側面、向かって右が左側面)

右側面のジョグダイアルは正面のボタンの選択で、チューニングダイアル、ボリューム、メモリー選択スイッチ、時間合わせダイアルへと変化します(何もボタンを押さない状態ではチューニングダイアルとして作動します)。

裏ブタをはずして内部をのぞいてみましたが、結構長めのフェライトコアが使用されていてMWは非常に高感度です。ネット上の某掲示板で、このDE1103単体でXEPEが受信できたとのやり取りがなされていたこともありました。高感度すぎて1242kHzあたりでKBS京都が受信できていまいます。相互変調特性が悪いのではなくイメージ信号のような印象です。

音質についても特に不満は感じません。PL-200ではFMをヘッドフォンで聞くとかなりの歪みが聞き取れますが、DE1103では不満のないレベルです。

総評
PWRの★★7/8はだてではありません。国内民放全局制覇をねらえるポータブルラジオのひとつだと思います。短波帯についてはしっかりと聞き込んでいないので評価は避けますが、若干操作性に問題があるもののコストパフォーマンスの優れたラジオだと思います。ただしダイアル選局時にPLLノイズ(ブランクノイズではない!)が入るので、この点についてはいただけません。

いまどきBCLをはじめようという方がいらっしゃるかどうかはわかりませんが、一通りの受信範囲はカバーし、デジタル直読、外部アンテナ端子があって、SSBも受信可能で、10000円までの価格となれば、BCL入門用としてぴったりの機種のように感じます。ソニーの製品では廃絶してしまった、ダイアルによる選局が可能な点もアドバンテージとなります。ただし長期にわたる製品の信頼性については未知の部分が多く、やっぱり値段相応だったと数年後にぼやいているのかもしれません。

ウェブ上でDE1103の取り扱い説明書が公開されています。興味ある方はのぞいて見てください。
http://stores.ebay.com/DPmega/Users-Manuals.html


【その2】TECSUN PL-200     >このページのトップに戻る   >テクニカル情報へ戻る

chra05.JPG (417549 バイト)(図1)TECSUN PL-200

価格
TECSUNブランドでの品番はPL-200ですが、アメリカのUniversal RadioではEton E100として99.95ドルで販売されています。昨年私はウェブ上の通販で購入しましたが、本体税込み送料別で6600円だったと記憶しています。現在(2006年7月29日現在)ウェブ上で検索しましたが国内で適当なサイトはヒットしませんでした。ユニバからの購入ではとても割高になってしまいます。国内でもDEGENやTECSUNの製品を扱っているところに問い合わせれば安価で購入できるかもしれません(私もDEGEN DE1102を購入した業者に問い合わせて購入しました)。

大きさ
125×75×26mm、200gと手のひらサイズでソニーのICF-SW22(116.5×72.5×26mm)やICF-SW100S(110.6×72.6×23.5mm)とほぼ同じサイズです。ICF-SW22と並べてみると若干大きく、PL-200の方がしっかりとした作りのような印象です。

chra06.JPG (426433 バイト)(図2)ICF-SW22より一回り大きい。質感もPL-200が上

回路方式
PLL方式のシングルスーパーヘテロダイン方式。IF 455kHz。FM不明


受信周波数
中波520kHzから1710kHz(10kHzチャンネル)または522kHzから1620kHz(9kHzチャンネル)
短波1711kHzから29999kHz。国内の中波用に9kHzステップにセットすると1621kHzから1710kHzが受信できなくなります。逆にアメリカ大陸用に10kHzにセットするとアップ、ダウンのボタンで周波数を上下するさいに10kHzごとに移動し、国内の中波局をチューニングする際に不便極まりないです。
FMは76.0MHzから108.0MHzをカバー。ステレオ、モノラル切り替えできます。

電源
AAタイプの乾電池またはニッケル水素電池2本使用(1.5Vと1.2Vの切り替えコマンドあり)または外部電源直流4.5V250mA(ACアダプターは付属しますが、AC220V用)。

受信ステップ
アップ、ダウンボタンまたはチューニングダイアルで選局できます。MWは チューニングダイアル1kHzで固定。アップ、ダウンボタンは9/10kHz切り替え。SWもチューニングダイアルは1kHz固定、アップダウンボタンで5kHz。もちろんダイレクトテンキー入力可能ですが、前述の中波9kHzステップを選択した場合1621kHzから1710kHzは入力しても受け付けてくれません。バンドスイッチでAM、FMおよびSWの各メーターバンドを移動します。
FMは チューニングダイアル0.05MHzごと、アップダウンスイッチでは0.1MHzステップです。
 SSBの復調はできません。またLWは受信不可能です。

選択度
単一の選択度でワイド、ナローの切り替えはありません。カタログデータでは±5kHzで−28dB、±7kHzで−45dBと示されています。聴感上は±3kHzで−6dB程度の印象です。中波帯は9kHzのチャンネル通り聞く分にはまったく不満ありません。短波帯でもおおところの国際局を受信する分には不満ありません。が、それ以上となると厳しいですね。

メモリー:200チャンネル

その他
 正面のLCDには5段階のシグナルメーター、時計、周波数が表示されます。時間と周波数が別々に表示されるのでDE1103のような不便さありません(DE1103は周波数を表示させると時間が表示されない)。電源OFF時にはシグナルメーターは電池の残量表示に変わります。
 パワーオンボタンを何気なく押して電源をオンにするとスリープモードになります。スリープモードを避けるにはオンボタンを長押しする必要があります。
 向かって左サイドにはアンテナゲイン(3段階のATT)、DC端子、ヘッドフォン端子が、右サイドにはチューニングダイアル、トーン切り替えスイッチ、ボリューム、ロックスイッチが配置されます。裏面には電池ボックス、チルトアップスタンドがついておりそこに受信範囲が印字されています。
 内臓のスピーカーの音はサイズ相当で特に不満を感じないのですが、ヘッドフォンで聞くとその歪みの多さにうんざりします。電源電圧が低いのでしかたないのしょう。

chra07.JPG (403483 バイト)(図3)左は左側面、右が右側面  chra08.JPG (405509 バイト)(図4)背面

総評
 無性に気に入っているラジオです!サイズ、性能とコストでみるとこれ以上のラジオはないのではないでしょうか?ただしユニバからの購入となると本体価格だけでも12000円もかかり、その価値は半減していまいます。購入価格が8000円を越すようではあまりお勧めできません。

 その昔ソニーがICF-SW1を販売はじめたとき、そのサイズ、スペックにど肝を抜かれました。ほしい、ほしいと思いながらもその価格になかなか手が出せず、そのことがトラウマになっていたのですが、そんな思いを吹き飛ばしてくれた一台です。

 付属のロッドアンテナでの感度はまずまずで、昨年の冬の午後には自宅の庭で11890kHzのVoz Cristianaが、昨年夏には自宅のダイニングで4890kHzのPNGがロッドアンテナのみで良好に受信できていました。また昨年初夏には外出先の琵琶湖の帰帆島でEスポに出くわし中国、韓国のFMがこれでもかといわんばかりに受信できていました。

 ただし外部アンテナ端子がなくてAN-1、AN-LP1やALAなどを接続するには昔ながらの電線巻きつけ法(アンテナに)か、自作のBCLラジオアンテナアダプター(トランス+パッド)を使用しないと安定した外部アンテナの接続が困難です。

 ALAのようなハイゲインアンテナを接続した場合には多信号特性の甘さからか、バンド中が騒がしくなり、またシングルスーパーゆえの脆弱性からかイメージ混信も盛大に現われてきます。それでもいいです。このサイズ、この価格ならゆるされるんです!このラジオにICF-SW100Sと同等の性能を求めてはいけないのです(笑)。


【その3】TECSUN PL-350     >このページのトップに戻る   >テクニカル情報へ戻る

 みなさんこんにちは。今月は前回のTECSUNPL-200に引き続きPLシリーズで最新の機種?PL-350について紹介させていただきます。(図1)

図1.JPG (439276 バイト)
図1

価格
このPL-350はインターネットオークションで購入しました。本体税込み送料別で9500円でした。最近売り出し中の機種のようでインターネットのあちこちで入手可能なようです。ユニバーサルラジオで対応する機種はまだ販売されていません(2006年8月4日現在)。国内でもDEGENやTECSUNの製品を扱っているところに問い合わせれば安価で購入できるかもしれません。

大きさ
141×87×28mm、350gとPL-200(125×75×26mm、200g)と比較して一回り大きくDE1102(143×88×28.5mm、280g)とほぼ同じサイズです。PL-200、DE1102、では金属あるいはプラスチックの硬い感触の手触りですが、PL-350は本体表面がラバータッチでやわらかく今までに経験したことのないような不思議な感触です。(図2;右PL-350、左PL-200。PL-350が一回り大きい)。

図2.JPG (409586 バイト)図2

回路方式
PLL方式のシングルスーパーヘテロダイン方式。IF 450kHzまたは455kHzの手動切り替え可能。FM不明

受信周波数
中波520kHzから1710kHz(10kHzチャンネル)または522kHzから1620kHz(9kHzチャンネル)

PL-200同様に短波1711kHzから29999kHz。国内の中波用に9kHzステップにセットすると1621kHzから1710kHzが受信できなくなります。逆にアメリカ大陸用に10kHzにセットするとアップ、ダウンのボタンで周波数を上下するさいに10kHzごとに移動し、国内の中波局をチューニングする際に不便極まりないです。

FMは76.0MHzから108.0MHzをカバー。ステレオ、モノラル切り替えできます。

電源
AAタイプの乾電池またはニッケル水素電池3本使用(1.5V;普通電池と1.2V;充電電池の切り替えコマンドあり)または外部電源直流6V300mA(AC220V用ACアダプターが付属し、AC100V―>220Vのトランスも付属)。

受信ステップ
アップ、ダウンスイッチまたはチューニングダイアルで選局できます。それぞれにFast(本体上では"快"と表示)、Slow(同じく"慢")の切り替えができます。MWは チューニングダイアルで快/慢が9/1kHzあるいは10/1kHz。アップ、ダウンスイッチでは9/100kHzあるいは10/100kHz切り替え。SWもチューニングダイアルは5/1kHz、アップダウンボタンで5/100kHzステップです。もちろんダイレクトテンキー入力可能ですが、PL-200同様に中波9kHzステップを選択した場合1621kHzから1710kHzは入力しても受け付けてくれません。バンドスイッチでAM、FMおよびSWの各メーターバンドを移動します。

FMは チューニングダイアル0.01/0.1MHzごと、アップダウンスイッチでは0.1/1.0MHzステップです。アップダウンスイッチでおおざっぱに移動し、チューニングダイアルで目的の周波数にすばやく到達できます。

 SSBの復調はできません。またLWは受信不可能です。

選択度
単一の選択度でワイド、ナローの切り替えはありません。カタログデータでは±5kHzで−28dB、±7kHzの−45dBでPL-200と同じスペックです。聴感上は±3kHzで−6dB程度の印象でしょうか。中波帯は9kHzのチャンネル通り聞く分にはまったく不満ありません。短波帯でもおおところの国際局を受信する分には不満ありません。が、それ以上となると厳しいですね。

メモリー:550チャンネル

その他
 PL-200と同様に正面のLCDには5段階のシグナルメーター、時計、周波数が表示されます。時間と周波数が別々に表示されるのでDE1103のような不便さありません(DE1103は周波数を表示させると時間が表示されない)。電源OFF時にはシグナルメーターは電池の残量表示に変わります。同じく正面にはテンキー、アップダウンスイッチ、主電源、ダイアルスピードセレクト、メモリースイッチ、タイマー、中間周波数変更スイッチが配置されます(図3)。

図3.JPG (399465 バイト)図3

 パワーオンボタンを何気なく押して電源をオンにするとスリープモードになります。スリープモードを避けるにはオンボタンを長押しする必要があります。

 向かって左サイドにはアンテナゲイン(3段階のATT)、DC端子、ヘッドフォン端子とPL-200ではみられなかった外部アンテナ端子とトーンコントロールスイッチ(高音、低音)が、右サイドにはチューニングダイアル、ボリューム、ロックスイッチとこれまたPL-200には見られなかったアンテナトリマーが配置されます(図4;左は左側面、右が右側面)。

裏面には電池ボックス、チルトアップスタンドがついておりPL-200同様に受信範囲が印字されています(図5;背面)。

図4.JPG (388019 バイト)図4  図5.JPG (390847 バイト)図5

 内臓のスピーカーはPL-200より大きく音質も改善されます。またPL-200ではヘッドフォンで聞く際にとても歪みが大きかったのですがそれについても改善されています。電源電圧が若干アップしたことが影響しているのでようか。

総評
TECSUNのポータブルラジオPL-200、PL-550にはそれぞれEtonブランドのE100、E10といった製品が存在しますが、このPL-350については対応するEtonの品番が見当たりません。またご覧いただければわかると思いますが、PL-200、PL-550と非常によく似たデザインなのではあるのですが、ちょっと顔つきが違います。どこが違うかというと・・・そうです表示がすべて中国語なんです!中国国内での販売を前提に生産されたのでしょうか?詳細については伺い知ることはできませんが、それまでの機種とは違った生い立ちが思い浮かべられます。

また今までのラジオに見られなかった大きな特長として、中間周波の450kHz、455kHzをユーザーがその時々に応じて変更できる点にあります。同じ中国製でもDEGENはアップコンバージョンタイプのダブルスーパーを採用しますが、TECSUNはPL-200、PL-350、PL-550と一貫してシングルスーパーを採用しています。コンパクトな回路、部品点数、コストを軽減できる反面、イメージ混信に対してはダブルスーパーに対して大きなハンディを持っているのも確かで、中間周波×2のイメージ混信に悩まされます。この問題に対する答えが2系統の中間周波を適時変更できるようにした点にあるように思われます。

PL-200でみられなかった、外部アンテナ端子やアンテナトリマーの追加、問題であった音質の悪さについても解決されていますし、チューニングステップも快/慢の二段ステップになりとても操作しやすくなっています。が、SSBを復調できない、LWを受信できないという点はPL-200の状態をそのまま継続されており、この点はメーカーの設計思想によるのでしょう。

強信号特性ですが、ALAを接続した場合はバンド中が騒がしくなり、その程度はDE1103以上、PL-200未満(PL-200は自作トランス使用)です。3段階のATTの減衰をもっとも大きくしてみてちょうどいいくらいです。120mbでは中波帯のイメージが盛大にでます。AN-1を接続すればどうでしょう?・・・AN-1故障中で試せていません。

このラジオはPL-200で感じた「無性に気にいっている!」という気持ちは湧きませんが、それでもそこそこ好きです。さわっていて楽しいラジオです。かつてクーガー2200やスカイセンサー5900をさわっていたときの興奮を呼び起こしてくれるようなラジオです。


【その4】DEGEN DE1102     >このページのトップに戻る   >テクニカル情報へ戻る

今月は私が中国製ラジオにのめりこむ原因となったDEGENのDE1102について書かせていただきます(図1)。

図1.JPG (427001 バイト)
図1 DE1102と元箱

価格
はっきりとした記憶は残っていないのですが、確か昨年(2005年)7600円程度でインターネットオークションにて新品を購入したと思います。ユニバではKAITO KA1102として79.95ドル(約9600円)で販売されています。2006年になって検索してみましたが(2006年9月12日)国内では現在入手先が見当たりません。

大きさ
143×88×28.5mm、でICF-SW7600GR(190×118.8×35.3mm)より一回り小さく、また厚みも薄く、TECSUNのPL-350(125×75×26mm、200g)とほぼ同様のサイズです。7600GRと比較して若干安っぽく感じます。重量は電池を含まず本体のみで280gです。

回路方式
PLLアップコンバージョン方式のダブルスーパー; 1st IF不明, 2nd IF 450kHz(FMについては不明)。ネットで検索してみましたがDE1103の1st IFが55.845MHzであるという情報は目にしましたが1102の1st IFについては情報がありませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたらご教示お願いします。
受信周波数 はMW 522kHz〜1620kHz(9kHzステップ)または520〜1710kHz(10kHzステップ)。受信範囲の設定には一度バッテリーを抜く(あるいはACアダプタの接続を解除)操作が必要となり結構面倒です。SWは3000kHz〜30000kHzの連続受信が可能ですが120mbは受信できません。
SSBの復調が可能です。がそのためには非常に面倒な操作が要求されます。後述しますがDE1102のメモリーは0-9のページにそれぞれに19の局をメモリーすることができます。このページによってSSBの復調の可否や受信ステップが設定されていてSSBの受信の際にはページ9を選択する必要があります。
正面のテンキーの傍らに「P」のボタンがあり、これを押した後に9を押すことによりページ9が選択されSSBの受信が可能となります。ただページ9を選択しただけではSSBの復調モードにならず、本体右側面のSSBスイッチを押してはじめてSSBの復調が可能となります。微妙な復調には同じく本体右のSSBスイッチ横にあるFINEダイアルを操作して受信音を再生します。
FM は70.00MHz〜108.00MHz;ステレオ、モノラル切り替え可能。FMの受信範囲についてはロシアの放送帯域もカバーしているので、Eスポの季節には重宝すると思われます。
PWRではFM受信の際、IFイメージがあらわれると記載されていますが、自宅で使用する限り再現できません。

電源
AAタイプのニッケル水素電池3本(1300mAhが付属)使用またはAC220V用のACアダプタ直流出力6Vが付属していますが、日本国内で使用するにはAC220V―>100Vの変換トランスが必要です。

受信ステップ
各メモリーのページによって受信ステップが変わってきます。マニュアルスキャンボタンで周波数を上下しますが、ページ0−6ではMWは 9kHzまたは10kHz。SWは5kHz、FM50kHzステップ。ページ7ではFM10kHz、ページ8ではMW1kHz、ページ9ではSW1kHzとなります。受信ステップを変更するにはメモリーページを介した操作が必要で、ステップそのものを変更するボタンは存在しません。ダイレクトテンキー入力ももちろん可能です。
MW、FM、SWの放送バンドは 正面のボタンで移動可能。バンドごとに最終受信周波数がメモリーされます。

選択度
MW〜SWはワイド(9kHz)、ナロー(4kHz)切り替えできます。ナロー、ワイドともにICF−2001Dと同程度。音質、混信除去との兼ね合いで不満を感じない帯域です。FMの選択度はわかりません。

メモリー:0-9の10ページに各19局の合計190局

その他
正面のLCDには受信周波数や電池残量などの情報が示されます。LCDのすぐ下には4段階のシグナルインディケーターがあります。FMを受信する際には3段階の信号強度とステレオ表示になります。
バックライトはブルーです。ボタンを操作すると個人的には嫌いな色合いではありません、むしろ好きです(図2)。

図2.JPG (406631 バイト)
図2 バックライトを点灯した1102

外部アンテナ端子(数mのワイヤーアンテナが付属)、外部電源端子(センター+の6V)、ATT(DX,LOCALの2段階)スイッチが向かって左側面に、ヘッドフォン端子(ステレオイヤーパッドが付属;LINE OUT端子)、音質切り替えスイッチ、SSBボタン、FINE TUNEダイアルが向かって右側面に配置されています(図3)。

図3.JPG (392018 バイト)
図3 向かって右は右側面、向かって左が左側面

裏ブタをはずして内部をのぞいてみましたが、長めのフェライトロッドが使用されていてMWは比較的高感度です。DE1103との比較ではやや感度が低いように感じますが適度な(ポータブルとしては必要十分な)感度のように思います。
音質についても特に不満は感じません。FMをヘッドフォンで聞いてみてもPL-200で感じたような歪みは聞き取れずそこそこの音質レベルです。FM受信ではBASSのブーストもあり迫力ある音を伝えてくれます。
中国の2大メーカーのDEGENとTECSUNですが、音作りにはそれぞれ違いが感じられます。あくまで個人的な印象ですが、DEGENはすっきりした音、TECSUMは機種によっても違いますが、DEGENと比較してまろやかな音の様に感じます。
 背面にはチルトアップスタンド、バッテリー収納ボックスがあります。

総評
PWRでは★★★の評価がなされており、私もその評価を見て中国製のPLLポータブルラジオとしてはじめてこのDE1102を購入しました。実際に購入してみて価格、サイズ、性能がバランスよくまとまった機種だと感じました。8000円までで購入できるのであれば、若干操作性に問題があるもののコストパフォーマンスの優れたラジオだと思います。ただしダイアル選局ができない点についてはいただけません。
 話は変わりますが、実はわたし、ファックスが大の苦手です。ひとつのボタンにさまざまな機能があり直感的に操作できないのが非常にストレスで自宅、職場での使用に際してはもっぱら他の人にお願いしています。DE1102は私の苦手なファックスと同じにおいを感じます。1年以上使用していますが、使いこなせるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。
デジタル直読可能、外部アンテナ端子があって、SSBも受信可能ではあるのですが、長波や中短波(1720−3000kHz)が受信できないといった制限もあり、同じ価格で販売されているとすればDE1103がお勧めです。DE1103より2000円安く購入できるなら・・・うーん・・どちらがいいか悩みますね。
製品の信頼性については、昨年購入してから今までほぼ毎日1−2時間程度、1年以上は故障もなく、家内のキッチンラジオとして動作しているので、それなりに信頼性もあるように思います。最近は使い勝手の悪さから我が家でも出番が減ってきましたが、これまで紹介してきたラジオを受信性能のみで比較すると(私の独断ですが)DE1103>DE1102≧PL-350>PL-200といったところでしょうか。ただ受信を楽しむとことに関してはどのラジオも優劣をつけ難く思います。


【その5】ANDO ERA-330S(TECSUN BCL-2000)     >このページのトップに戻る   >テクニカル情報へ戻る

今までの中国製ラジオでは、PLL方式のものばかりを紹介してきましたが、今回はアナログ方式(表示はデジタルですが)のANDO ER-330S(TECSUN BCL-2000)を取り上げてみます。TECSUN BCL-2000がANDO ER4-330S、GRUNDIG あるいはETONのS350に相当します。現在は改良版のTECSUN BCL-3000が販売されており、これには(ETON)GRUNDIG S350DLが相当しますがANDOからはこれに該当する製品はでていません。

図1.JPG (424617 バイト)−図1 ANDO ER-330Sと元箱−

価格
ANDOのER-330Sとしては定価24800円ですが、私はネット上の通販で、14800円で購入しました。ユニバでGRUNDIG S350はディスコンになっていますがETON S350DLとして99.95ドルで販売されています(S350とS350DLでは製品が違って値段は無意味ですが・・)。ネットオークションではBCL-2000やBCL-3000として8000-12000円程度で出展されていました。

大きさ
272×173×88mm、でかつてのBCLラジオ、クーガ−101とほぼ同じ大きさで、クーガ−2200と比べると一回り小さなサイズです。デジタルカウンターのついていたプロシード2800とも似ているような気もしますが・・・さてみなさんは?

図2.JPG (443690 バイト)−図2:どれが一番似てるでしょうか?−

回路方式
アナログ方式のシングルスーパーでIF 455kHz(FMについては不明)。PLL方式ではなくVFOの周波数を計測して受信周波数をデジタルカウンターで表示するタイプのものです。MW(AM)の受信範囲はカタログ上540-1600kHzですが実際は527-1652kHzの範囲で受信出来ます。同様に短波帯はSW1が3000-8000kHz(実測2920-8540kHz)、SW2が8000-17000kHz(実測7993-19184kHz)、SW3が17000-28000kHz(実測16871-27876kHz)をカバーし全体としては3000-28000kHz(実測2920-27876kHz)を連続受信することが出来ます。120mbは受信できません。SSBの復調はできません。
FM は76-108MHz(実測74.70〜108.70MHz);ステレオ、モノラル切り替え可能です。BCL-2000あるいはBCL-3000ではFMの受信範囲が88-108MHzとなっており、日本のFMバンドに対応していません。購入の際には注意が必要です。ただしVFO方式のシングルスーパーですので、局発の定数を変更することで日本のFMバンドにも対応可能ではあるようです(改造記事はhttp://plaza.rakuten.co.jp/kyon3/2000を参照ください)。

電源
Dタイプ(単一)の乾電池を4本使用します。ANDOのER4-330SにはDC電源端子、AC電源端子ともに存在しません。Eton S350ではDC電源端子が、TECSUN BCL-2000ではDC電源端子とAC電源端子が存在(BCL-2000ではACトランス内臓)するようです。
この春に施行された(正確には猶予期間終了した)電気用品安全法(PSEマーク)対策のためでしょうか?あるいは部品点数を減らしてコストを下げたのでしょうか?

受信ステップ
基本的にはアナログ方式ですので、受信周波数は連続して変化します。ただし周波数カウンターはデジタルですので、その表示は・・・。
MW(AM)〜SWは1kHz単位で表示されます。FM帯ではカウンター上は0.00MHzまで表示されますが、実際には0.01MHzステップでは変化せず、0.1MHzごとに変化します。たとえば89.40MHzの次は89.50MHzであって89.41MHzではありません。
これまたPLL式でないのでMW(AM)、SW、FMの各バンドを切り替えた際にはそれぞれ最後に受信した周波数が表示されるのではありません。SW3で17750kHzを聴いていてMWにスイッチすると633kHzが表示されます。これを1179kHzにあわせてまたSW3へスイッチすると・・・。PLL式ラジオになれた我々は17750kHzが表示されるのが当たり前に思えるのですが、実際には22995kHzが受信できます。
「その昔のBCLラジオはみんなそうだった」といわれたらその通りなんですが、今やデジタル表示されるラジオのほとんどがPLL方式なので、アナログスケールのないデジタル表示のラジオとなると、ついついPLL方式のラジオのように錯覚してしまいます。

選択度
MW〜SWはワイド、ナロー切り替えできます。音質、混信除去との兼ね合いで不満を感じない帯域です。よりハードな受信にはナローがもう少し狭い帯域の方がいいのでしょうが、後述するバックラッシュのこともありこれ以上帯域を狭めるとチューニング操作がさらに気難しくなり実用的ではありません。
FMの選択度はわかりません。

メモリー:ありません

その他
正面のLCDには受信周波数、電池残量、シグナルインディケーターが示されます。電池残量は3段階、信号強度は5段階での表示です。
トーンコントロールが高音、低音独立しています。AM/SW感度調節スイッチ(RFゲイン)があります。
裏面には外部アンテナ端子;MW、SW用はユニバーサル端子で入力インピーダンス500Ω、FMは入力インピーダンス75Ωです。(図3)。
向かって右側面にはSW用に30MHzのLPFスイッチ、FMステレオ-モノラル切り替えスイッチ、ヘッドフォン端子、LINE OUT端子がそれぞれ配置されています(図4)。

図3.JPG (437251 バイト)図3 図4.JPG (429571 バイト)図4

選局ダイアルは内側、外側で高速、低速ダイアルが独立しています。実際にまわした感触では高速、低速の差はほとんど感じられません。
バックラッシュがひどく、MWの受信でさえいらいらします。プロシード2800でもバックラッシュはありましたが、低い周波数ではさほど不満を感じませんでした。プロシードではギヤ式の、BCL-2000では糸掛け式のダイアル機構が影響しているのでしょう。
 スリープタイマー、時計、アラームがあります。

総評
2003年のPWRではじめてTECSUN BCL-2000の記事が掲載されたときは、その刺激的な外観に非常に興奮し、発売されればすぐにでも入手しようと思っていました。2004年のPWR本文中で★★1/4の評価があり、Passport's Choiceのマークがついておりさらに購入の意欲が高まります。その後、他に欲しい機種があったため現在まで食指が伸びなったのですが、昨年から中国製ラジオにはまってしまい今年ついに購入しました。
音がいいとの事で購入しましたが、期待していたような音の良さではありませんでした。がそれなりに満足はしています。Hi-Fiではないですし、昔のBCLラジオのまろやかな音でもありません。ちょっと輪郭ははっきりしすぎるような感じの音です。
 デジタル直読で周波数が読めて一見しっかり受信出来そうな顔つきをしている割には、使い勝手は悪く、操作性に関してはいままで紹介してきたPLL機のPL-200、PL-350、DE1102、DE1103の方が一枚も二枚も上です。
感度については今までの機種とさほど変わりなく、中波帯については若干上のようにも感じます。短波帯もロッドアンテナが若干長いこともあってそこそこ聞こえるのですが、いかんせんバックラッシュがひどく、このラジオでバンド内を流して聴いてみようという気にはなりません。
また周波数安定度が悪く30分ほどの受信で2-3kHzのドリフトがあるときもありますが、電気的な安定度が悪いのか、前述のバックラッシュの影響(時間がずれてダイアルが回る)があるのかはよく判りません。8000円程度で入手できるならひとつ購入してもいいかなと思いますが、今回の購入価格14800円ではお勧めできません。


【その6】DEGEN DE11     >このページのトップに戻る   >テクニカル情報へ戻る

図1.JPG (181693 バイト)図1  図2.JPG (169655 バイト)図2

価格
DEGENブランドでの品番はDE11ですが、アメリカのUniversal RadioではKaito KA11として59.95ドルで販売されています。私は今年になってからウェブ上の通販で購入しました(
http://www.world-musen.com/radio.htm)。本体税込み送料込みで9240円でした。振込みから商品がEMSで自宅に届くまで約4日でした。

大きさ
110×70×22.5mm、165gと手のひらサイズを通り越しておまけのミニチュアサイズです(図2)。TECSUN PL-200よりもさらに小さく、ク−ガ−2200のミニチュアよりは大きいですが、厚みはクーガ−のミニチュアより薄いです。

回路方式
PLL方式のスーパーヘテロダイン方式と思われますがIF 不明(裏ブタをはずして内部をのぞいてみましたが、FM用と思われる3端子のセラミックフィルタ1個とAM用と思われる2個のセラミックフィルタが装着してあります)。

受信周波数
中波522kHzから1620kHz(9/10kHzチャンネル) 短波5800kHzから18100kHz。 FMは70.0MHzから108.0MHzをカバー。ステレオ、モノラル切り替えできます。

電源
AAタイプの乾電池2本使用または外部電源直流6V300mA(ACアダプターは付属しますが、AC220V用)。今回購入したところではAC100V→220Vの変換アダプタをおまけでつけてくれました。

受信ステップ
アップダウンボタンまたはダイレクト入力で選局できます。アップダウンボタンはMWでは9/10kHz切り替え、SWでは5kHz固定。ダイレクト入力ではMW、SWは1kHzのステップですが、このステップはアップダウンボタンでは得られません。
SWでは自動選局(アップダウンボタン長押し)で49mb(5.800-6.400MHz)、41mb(6.900-7.400MHz)、31mb(9.100-9.990MHz)、25mb(11.500-12.200MHz)、22mb(13.510-13.900MHz)、19mb(15.000-15.700MHz)、16mb(17.260-18.100MHz)を5kHzごとにスキャンしていきます。 FMはアップダウンスイッチでは0.05MHzステップで、ダイレクト入力では0.01MHz。
 SSBの復調はできません。またLWは受信不可能です。SWも1620-5800kHz、18100kHz以上は受信できません。

選択度
単一の選択度でワイド、ナローの切り替えはありません。カタログでは40dBと示されているのみです。中波帯は9kHzのチャンネル通り聞く分にはまったく不満ありません。短波帯でもおおところの国際局を受信する分には不満ありません。

メモリー:1000チャンネル

その他
 電源ONの状態では正面のLCDには10段階のシグナルメーター、時計、周波数、スリープタイマーの残り時間が表示されます。電源OFFでは時間、電池残量、気温が示されます。
 向かって左サイドには2段階のATT、外部アンテナ端子、右サイドにはボリューム、外部電源端子、ヘッドフォン端子が配置されます。裏面には電池ボックスがあります。
 内臓のスピーカーの音はサイズ相当です、ヘッドフォンで聞くとPL-200の時に感じた歪みは聞き取れず非常に快適です。高音質BTLアンプの効果でしょうか。

総評
 非常にコンパクトなラジオです!元箱から取り出してはじめてお目にかかった時にはその小ささに叫び声をあげていました。思わずクーガ−のミニチュアを持ってきて並べてみました(図2)。
 外部アンテナ端子があってその気にさせてはくれるのですが、この機種についての受信性能はコメント不要でしょう。ラジオ日経や海外の日本語放送は附属のロッドアンテナのみで十分受信できます。それ以上はこのラジオには望みません。
 手軽に持ち運びできて気軽にAM、FMが聞けて、その気になれば短波の国内放送やおおところの国際放送も安定して聞ける、そんなラジオがこのDE11です。まさに今の中国で必要とされるラジオでしょう。価格の折り合いがつけば中国国内で大ヒットするのかもしれません。


【その7】TECSUN PL-380(この項のみOg執筆)     >このページのトップに戻る   >テクニカル情報へ戻る

図1
1.概要
 PL-380は、昨年12月9日に発売されたTecsunの最新型ラジオです。TECSUNの中国名は「徳生」で広東省東莞市にある東莞市徳生通用電器制造有限公司がその会社名です。東莞市は香港の北北西約100kmにある市で、近くに以前紹介した中国のラジオ博物館があります。
 このラジオの特徴は、DSPラジオであることでしょう。説明書にはアメリカSilicon Labs製のsi4734というDSPチップを使用しているとあります。Tecsunが作ったDSPラジオはこれが最初かと思ってウェブページを探したところ、意に反してすでに数台のDSPラジオを発売していました。PL-300WT(2009.5.28発売、198元)が最初で、その後PL-310(2009.9.26発売、228元)が発売されました。日本ではまだDSPを使ったポータブルラジオは発売されていませんから、238元(日本円で約3570円)という価格はお買い得でしょう。ただし、日本での販売価格は倍ほどで、Yahooオークションでは新品で7500円の値段がついていました。やはり日本に取り寄せるとなると価格はあがってしまうようです。


2.受信周波数
・長波 153〜513kHz
・中波 522〜1620kHz(520〜1710kHz)
・短波 2300〜21950kHz
・FM 87〜108MHz(64〜108MHz)
 長波と中波同一キーのトグルスイッチとなっています。短波は別のアップダウンキーがあり2300〜、3150〜、3850〜、4700〜、5700〜、7080〜、9200〜、11450〜、13500〜、15000〜、17450〜、18850〜、21430〜の13バンドの選択が可能です。もちろんダイレクト入力ができるので不要といえば不要なのですが、バンドを行き来するには便利です。FMは単独のキーとなっています。
 中波は「アジア、アフリカ、ヨーロッパ向け」の522〜1620kHz帯と、「アメリカ、カナダ向け」の520〜1710kHzがあるのですが、変更の操作法が説明書にありません。そこでTECSUNのユーザー窓口に問い合わせたところ、すぐに返事が来ました。それによると、9/10kHzの切替をすれば、カバーバンドも変更になるのだそうです。これで北米中波も受信可能となります(あくまでも物理的には・・・ですが(笑))。
 受信モードはAMのみで、CWやSSBには対応していません。これはちょっと残念なことです。
 FMも地域によるバンド帯がありますが、どれも108MHzが上限なので、ロシアFM局や中国のTV音声も受信できる64MHzからにセットしておけば便利です。これなら旅行中のEスポにも対応できます。

3.感度
・長波 10mV/m(S/N=26dB)
・中波 1mV/m(S/N=26dB)
・短波 20μV(S/N=26dB)
・FM 3μV(S/N=30dB)
 表示窓に「信号強度」(dBμ)と「S/N」(dB)が数字で表示されます。初めはおもしろがっていたのですが、数字では変化がわかりにくく、活用はむずかしいようです。どうせならバータイプのものの方がよかったように思います。

4.帯域
 AM受信時には帯域幅が変更できます。6、4、3、2、1kHzの5種類が選択できます。DSPのなせる技ですね。実際に帯域を変えてみると、高音域が削れていくのがよくわかります。それでも3kHzあたりまでが限界で、2kHz、1kHzでは了解度がだいぶ落ちてしまいます。

5.受信操作
 受信はダイレクト入力で周波数をそのまま入れる方法と、ダイヤルで選局する方法があります。ダイヤルは早く回すと「>記号」が「≫記号」にかわり、1kHzステップから5kHzステップへと変わります。中波では1kHz→9/10kHz、FMでは10kHz→100kHzとなります。ダイヤルは感触が少々固い感じで、カクカクというロータリーエンコーダ特有の振動が指に伝わってきます。
 受信では、この他に「ETM」という機能があります。Easy Tuning Modeの略です。ETMモードにすると、そのバンド内の強力局をサーチし記憶します。その後は、記憶した局がダイヤルを変化すると受信できます。大変手軽にその地域の局をチェックでき、メモリに登録する手間もいりません。LW、MW、FMでそれぞれ100局が、短波では250局がチェックできます。
 ETMとは別にATSというモードもあり、同様にサーチした局をメモリに記憶します。ETMとの違いはメモリ番号がつくので、ダイレクト入力でメモリを呼び出せるというところでしょうか。使いこなしていないので、違いがあまりよくわかりません。
 メモリへの局の登録数は550局です。
図2 PL-380とPL-350

6.その他
 1〜120分のスリープ機能や、時刻設定できるタイマー機能があります。また、温度表示の機能もあります。おもしろいのは、前述した9/10kHz切替を行うと、温度表示が自動的に摂氏/華氏表示に変わるところです。
 ラジオは単三電池3本(4.5V)で動作しますが、電池を充電用電池にすると、パソコンのUSB端子と接続して充電を行うことができます。なかなかおもしろい機能です。
 AF出力は350mW、大きさは横135×高86×厚26mm、重量は200g(電池なし)です。

7.使用感
 ダイヤルが通常のバリコンを使用している機種と逆なので、ついつい間違えてしまいます。バリコンでは右に回すと周波数が高くなりますが、このラジオでは低くなっていきます。これはちょっと困ったことです。理屈ではダイヤルを上に押し上げる操作なので周波数があがるという設計なのでしょうが、従来のラジオの操作法と逆なのはしっくりいきません。
 短波帯では、ICOMのIC-R8500でS=9くらいの局なら聞こえますが、それ以下ではなかなか厳しいのが実情です。近隣の国際放送リスニング用あたりがいいようです。
 FMでは通常のFM局の受信はOKでしたが、大阪のコミュニティーFMはだめでした。スピーカーからの音はスピーカーが小型であるため固い音ですが、FMステレオモードにして、ヘッドフォンで聴くとなかなか良い音が響きます。