90mバンド用短縮バーチカル・アンテナの製作 Ts


 1988年のHam Journal No.57に「キャパシタンス・インダクタンス装荷アンテナの理論と設計」という記事が掲載され、これで短縮アンテナが簡便に設計できると喜んだのですが、設計周波数や設置場所が決まらず製作には至りませんでした。

最近、Do氏がマルドル製の80mb用モービル・アンテナHFC-80L(全長2.1m)を使用して90mbにおいて受信成績を上げておられるのを聞き、自分も同じアンテナを購入しようかと思いましたが、これを機会に上述の記事を参考にしてHFC-80Lと同じ位の全長の短縮バーチカル・アンテナを自作することとしました。

 エレメントは、外径16mm、長さ1,995mmのアルミパイプとし、これをマストの内径16mm、長さ2,000mmの水道用ビニルパイプに差し込み、セルフ・タッピングねじ2本で固定しました。ローディング・コイルは、製作の容易さを優先して給電部に挿入することとし、3300kHzで計算した結果、必要なインダクタンスは175μHとなりました。できるだけ損失の少ないコイルとするため、直径60mmのビニル製雨樋を芯に断面積1.25mm2のビニルコードを167回密巻き(ピッチ3mm)しました。コイルの長さは550mmとなり、コイルの中にマストを通し、ボルトでマストに固定しました。

 給電部には、フロート・バラン(トロイダル・コアFT-50-43に7回巻き)及び4:1インピーダンス変換トランス(FT-82-43に7回巻き)を挿入しました。給電点インピーダンスは、共振の鋭さQにより短縮しない場合の36Ωから数Ω位の範囲で変化するとのことですが、Qの値が分からず一応50/4Ωになると仮定しました。50/2Ωの場合も試してみましたが、受信状態は余り変わりませんでした。受信機までは同軸ケーブル3.5D-2Vで引き込みました。

 いざ6月29日(土)に半日かけて製作してみると、コイルがビニル被覆のため意外と重くなってしまい、マストの下部を持って起こすとマストが相当しなります。当初自立型で設置するつもりでしたが、計画を変更し2階のバルコニーの隅の手摺と屋根の2箇所でマストを固定すると、しなりは許容範囲に収まりました。給電部の地上高は、5mとなりました。直下の地面にアース棒(長さ400mm)1本を打設しました。砂地なので余りよい場所ではありません。なお、アース線を外してみると少し雑音が増えました。

 90mbでの受信状態は、雑音の多い時期ではありますが、夜はパプア・ニューギニア局(3205kHz等)やインドネシア局(3325kHz等)が良好に受信できたほか、ボリビア局(3310kHz)も何とか受信でき、また朝は弱いながらガーナ局(3366kHz)や南アフリカ局(3390kHz)が受信できました。120,75mbでも一応実用になりますが、60mbでは利得が低過ぎて実用になりません。

 既設のアンテナとの比較では、V型ダイポール(41,15,10mb用、地上高8m)に対しては、S/N比及び利得でほぼ互角でした。しかし、周波数により特定の方位から雑音が到来している場合があり、V型ダイポールは回転させて雑音から逃げることができましたが、バーチカルはその点不利でした。また、逆Vダイポール(75〜11mb用、地上高7m)に対しては、利得では劣っていましたが、S/N比では勝っており、プリアンプで増幅すると総合的にも勝っていました。

 河川敷でモービル・ワッチをされているDo氏と同時刻に受信した結果では、受信状態は残念ながらDo氏に一段劣っているように感じました。近接雑音のレベルやアースの条件などの差が出ているように思います。

 また、実用的な信号レベルにするにはプリアンプで20dB程度増幅する必要があり、利得の点で十分とは言い難いのですが、短縮率を考えると無理もありません。地上高を上げられればもう少しよい結果が出るものと思われます。

 7月21日にアース棒をもう1本打設しました。雑音が少し減ったように思います。
 次は以前試作したシールド・ループをもう一度試してみたいと思います。

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