戦後の大韓民国(韓国)の標準周波数報時局     2023.8.19
  (1)大韓民国~大田Taejeon HLA

図1 KRISSの建物

図2 WRTH1986年版の記載

  標準周波数報時局HLAは、大韓民国(以下、韓国と略)の「時間・周波数研究所(Time & Frequency Laboratory)の一部門で、韓国科学及び標準研究所(Korea Research Institute of Standard & Science:CRISS)に所属している。送信所のある大田(Taejeon)は忠清南道の東南部の市で、ソウルの南南西約170kmに位置する。大田には先端科学技術をリードする大徳(Daeduk)研究団地があり、HLAもこの中にある。団地内には、1993年に行われた大田エキスポの跡地を活用したエキスポ科学公園や国立中央科学館がある。

 HLAはこの地の傘型垂直アンテナから5MHz、2kWで送信されている。HLAの開設は1984年11月24日で、24時間運用されている。周波数及び時間の精度は±10-11である。「WRTH1986」から記載がある。

 2001年の局からの返信にあった送信フォーマットは次の通り。

 秒信号は1800Hzで変調されたもので長さは5mSである。29秒目と59秒目は信号が出ない。正分を表す信号は1800Hzで変調された800mSの長さの信号である。正時をあらわす信号は1500Hzで変調された800mSの長さの信号である。IRIGの"H"フォーマットを使用したBCD時間コードは分信号と時信号の100Hzのサブキャリアに重畳されている。時刻のアナウンスは毎分52秒目の信号のあとに行われる(*1)。

●時刻アナウンス:「다음-시각은 대한민국-표준시 열한시 오십-육분 입니다.」
Daum-shigagun Daehanmingook-pyojoonshi Yul-hanshi Ohship-yookboon Imnidah.
(The time will be Korea Standard Eleven Fifty.)

 局名アナウンスが行われる時刻については記載がないが、おそらく正時前後にあると思われる。局名アナウンスは以下の通り(*1)。

●局名ID:「HLA,여기는 대한민국 대덕-연구단지에 위치한 한국 표준-과학-연구원 표준-주파수국 입니다. 본 HLA 표준-주파수국에서는 국제적으로 할당된 표준-방송-주파수 5MHz 로 방송-하고 있으며, 표준-시와 표준시간-간격-및 관련된 정보를 제공하고 있습니다.이에관하여 문의사항이 있면 대전 유성-우체국 사서함 102-호 HLA 로 연락 바랍니다.」

HLA, Yuginun Daehanmingook Daeduk-Yungoodanjie Wichihan Hangook Pyojoon-goahak-yungoowon Pyojoon-joopasoogook Imnidah. Bon HLA Pyojoon-joopasoogookesunun Gookjejukulo Hahldanhden Pyojoon-bansong-joopasoo 5MHz lo Bangsong-hago Itsumyuh, Pyojoon-shiwa Pyojoonshigan-gangyuk-mit Gualyunden Jungbolul Jegonghago Itsumnidah. Ie Kwanhayuh Mooneesahangi Itsumyun Daejeon yoosung-woochegook Saseoham 102-ho HLA lo Yulark balamnidah.

(HLA, this is Standard Frequency Radio Station in Korea Research Institute of Standard and Science located at Daeduk Science town, Korea. The HLA Standard Frequency Radio Station broadcasts on internationally allocated carrier frequency 5MHz and provides time, time intervals and the related informations. Inquires regarding this informations May be directed to HLA, yoosung post office Box 102, daejeon Korea.)

 
図3 HLAの標準信号発生装置

 「CRISS」からの返信によれば、現在短波5MHz、5kWで運用している。送信機はHFT-10K、アンテナはコニカルモノポール。筆者が受信した限りでは上記のアナウンスはなく、データを重乗したAM変調の秒信号のみの送信であった。この他にソウル市郊外の驪州(Yeoju)というKBS放送の送信サイトから試験放送として65kHz、10kWで長波を使った送信も行われているようだ。

Web site https://www.kriss.re.kr/
住所 Center fot Time and Frequency, Korea Research Institute of Standard and Science(KRISS), 267 Gajeong-ro, Yuseong-gu, Daejeon 305-340, Korea

 
図4 HLAのQSL(左は2000年頃、右は2023年のもの)


(*1)アナウンスはHLAからの返信にあった説明より引用した。発音と英語の意味のみが掲載されていたものから筆者がハングルを書き起こし、韓国語の先生に添削していただいた。

【図の出典】
図1 KRISSの建物 GoogleMap StreetViewより
図2 WRTH1986年版の記載 WRTH.pdf CD[ADDX作製]
図3 HLAの標準信号発生装置 HLAのHPより http://www.kriss.re.kr[2001年1月頃閲覧]
図4 HLAのQSLカード 筆者所有

 
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