戦後の南アフリカの標準周波数報時局     2023.8.26
  (1)南アフリカ~Johannesburg ZUO

図1 ヨハネスバーグの地図

図2 WRTH1961年版の記載


  ZUO局はUnion Observatoryが管轄する局で、「WRTH1961」に初めてあらわれた。5MHz、4kWと10MHz、0.25kWで24時間の運用だった。「WRTH1963」には、毎15分ごとにモールスで次のようなIDを出すとある。"ZUO ZUO ZUO followed by the Universal Time of the next minute ・・・・"。

 ZUO局は、1950年にヨハネスバーグの天文台が開始したものだが、1972年にNPRL(National Physical Research Laboratory)のPrecise Physical Measurements Divisionに管理が移行した。このNPRLの資料(*1)では、ZUO局は、2.5MHz(4kW)と5MHz(4kW)はOlifantsfonteinからの送信で、2.5MHzは18:00~4:00に、5MHzは24時間運用となっている。Johannesburgは100MHz(0.08kW)24時間の運用である。

 送信フォーマットは、5mS長の秒パルスと500mSの分パルスからなる。毎5分ごとにモールスによるID("ZUO ZUO ZUO")と時刻を出す。秒パルスの1番目から15番目を使ってDUT1の値を表示する。図3D-2のように、1番目から8番目が+DUT1の値を示し、9番目から15番目が-DUT1の値を示す。データの有無はパルス幅を広げることで表示し、DUT1が0のときはパルス幅の広がりはない。

図3 ZUO局の送信フォーマット

(*1)"Standard Frequencies and Time Signals from Station ZUO",NPRL,Sept.1979 https://www.utilityradio.com/stations/africa/afs/afs-710-info-rb.jpg
 
 (2)南アフリカ~Cape Town ZSC
 
図4 ケープタウンの地図

図5 WRTH1976年版の記載

 ZSC局は"Cape Town Radio"と呼ばれる海岸局である。業務の一環として報時信号を送出した。この局は「WRTH1976」に最初にあらわれる。ZSC(484kHz:5kW)/ZSC6(8686kHz:10kW)/ZSC9(12700kHz:10kW)/ZSC7(17165kHz:10kW)/--(22598kHz:10kW)で、7:55~8:00と16:55~17:00に信号を発した。翌年の「WRTH1977」ではZSCのコールサインの記載がなくなった。また周波数が大幅に変更され、418kHz(5kW)/4291kHz(10kW)/8461kHz(10kW)/12724kHz(10kW)/17018kHz(10kW)/22455kHz(10kW)となった。送信時間はそのままである。ZSCのコールサインが再び記載されるのは「WTH1980」で、このときは細かい分類はなくなっている。ZSCは「WRTH1997」まで記載された。

 戦前にもZSC局は存在したが、戦後の局の経緯度を調べると戦前とは異なる場所であった。

図6 ZSCのQSL


【図の出典】

図1 ヨハネスバーグの地図 筆者作成
図2 WRTH1961年版の記載 wrth.PDF[ADDX作成のCD]
図3 ZUO局の送信フォーマット 文書(*1)を参考に筆者作成
図4 Cape Townの地図 筆者作成
図5 WRTH1976年版の記載 wrth.PDF[ADDX作成のCD]
図6 ZSC局のQSL https://www.utilityradio.com/stations/africa/afs/afs-520-qsl_zsc-tmr.jpg

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