戦後のスイスの標準周波数報時局     2023.8.24
  (1)スイス~Neuchatel HBN

図1 WRTH1959年版の記載

 HBN局は「WRTH1959」に最初にあらわれる。2500kHzと5000kHzで信号を送出した。送信スケジュールは、2500kHzが火曜・金曜が7:00~に、水曜・土曜が7:10~に、5000kHzが水曜・土曜が7:00~に、火曜・金曜が7:10~に送信した。毎時間の送信スケジュールは、00~05分/10~15分/20~25分/30~35分/40~55分が休止、05~10分/15~20分/35~40分/55~60分が秒パルス、25~30分が440Hzトーンである。各秒パルスの始まりの時にモールスで"HBN HBN HBN"と送信した。この局の管轄はNeuenburg Observatory(Observatorie de Neuchâtel)となっている。

 ヌーシャテル天文台は1858年に創建された。この天文台は機械式時計のコンクールで知られる。ジュネーブ天文台とともに19世紀の後半にコンクールが始まり、入賞するとクロノメータという称号が贈られる。

HBN局は「WRTH1964」まで記載があった。

図2 ヌーシャテル天文台

 
 (2)スイス~Plangins HBG
 
図3 WRTH1971年版の記載

 HBGは1966年に開局した。「WRTH1971」に記載が見える。長波75kHz、20kWで、24時間送信となっている。管轄はHBNと同じNeuenburg Observatoryである。送信地のPranginsはレマン湖のほとりの町で、ジュネーブに近い。HBGの送信フォーマットを以下に示す。フォーマットはドイツのDCF77によく似ている。秒信号の間隔は0.1秒、分信号のときは間に0.1秒のパルスを挿入する。時刻等の情報はパルス同士の間隔で表示する。0.1秒の間隔が「0」をあらわし、0.2秒の間隔が「1」をあらわす。

図4 HBGの送信波形

図5 HBGのビット列の波形

表1 HBGの送信フォーマット

図6 HBGのQSL

図7 HBGの送信アンテナ


【図の出典】

図1 WRTH1959年版の記載 WRTH.pdf CD[ADDX作製]
図2 Neuenburg Observatory GoogleMapの写真
図3 WRTH1971年版の記載 WRTH.pdf CD[ADDX作製]
図4 HBG局の送信波形 HBGのHPの図を参考に筆者作成
図5 HBG局のビット列の波形 HBGのHPの図を参考に筆者作成
図6 HBG局のQSL https://www.utilityradio.com/stations/europe/sui/sui-28-75khzhbg_mgiroletti.jpg
図7 HBG局の送信アンテナ Wikipedia(英語版)"HBG(Time Signal)"


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