戦後のベネズエラの標準周波数報時局 2023.8.28 |
(1)ベネズエラ~Caracas YVTO |
図1 カラカスの地図 YVTO局は、ベネズエラ海軍のカギガル天文台(Observatorio Naval Cagigal)が管轄する報時局である。この天文台は1888年にカラカス市街の丘に開設され、この丘は天文台の丘(Colina del Observatorio)と呼ばれる。1968年、天文台は時刻信号の送信を開始した。1972年には南米で最初の標準周波数報時局となる。 図2 Observatorio Naval Cagigal YVTO局は「WRTH1972」が初出である。当初は"Observatorio Cagigal"だったが、「WRTH1976」より"Naval"が入った。YVTO局は、6100kHz(1kW)で、24時間運用した。1988年に周波数が5000kHzに変更された。理由は,同周波数の放送局Deutsche Welle と混信を起こしたためである(*5)。 "Radio Navigational Aids"(2014)によれば、出力は10kWとなっている。送信フォーマットは以下の通りである。毎分00秒:500ms長の800Hz変調分マーカー、01~29秒:100ms長の1000Hz変調秒マーカー、30秒:無音、31~40秒:秒マーカー、40~50秒:スペイン語による局IDアナウンス、51~52秒:秒マーカー、52~57秒:スペイン語による時刻アナウンス、57~59秒:秒マーカー。局IDは"Observatorio Naval Cagigal - Caracas - Venezuela"と出る。 図3 YVTOの短波送信機 YVTO局は、2000年頃から始まったベネズエラ危機により様々な公共サービスが切り詰められていく中で、停波したようである。ただ筆者がYVTOから受領した手紙は2001年10月付であったので、少なくともこの頃はまだ存在していたことは確かである。 図4 YVTOのQSL (*5)"YVTO: Astronomical and Meteorological Observatory, Caracas, Venezuela",M.Butera, https://www.radioheritage.com/yvto-astronomical-and-meteorological-observatory-caracas-venezuela/ 【図の出典】 図1 カラカス地図 筆者作成 図2 Observatorio Naval Cagigal GoogleMapの写真 図3 YVTO局の短波送信機(*5)より 図4 YVTO局のQSL 筆者所有 |
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