中国の長波報時局(BPC) |
<BACK> update:2023/02/27 |
1.はじめに 中華人民共和国には、3つの標準周波数報時局がある。短波帯ではBPM(5・10・15MHz)がおなじみで、その他、長波帯にBPL(100kHz)とBPC(68.5kHz)がある。BPLは長波帯の報時サービスのようだが、BPCは「低頻時碼授時」と称し、電波時計用の用途となっている。これは低周波タイムコード時報局というような意味である。低周波とは音声周波数ではなく、低い電波の周波数という意味であろう。BPCの送信フォーマットはよくわからなかったが、このたびフォーマットの形式が書かれた資料を入手したので紹介したい。 図1 BPC送信所 2.BPCの諸元 BPCは中国科学院国家授時中心と西安高華科技有限公司が河南省商丘市に共同建設した電波時計用の局である。正式開局は2002年4月25日。日本の6ヶ国対応電波時計の中国対応局はこのBPCである。2006年7月、シチズンは中国での電波時計市場強化のために、西安高華科技有限公司に出資している。 (1)送信周波数:68.5kHz (2)送信出力:90kW (3)送信時間:10:00~6:00(JST) 6:00~10:00は停波 (4)送信地:河南省商丘市(34°27'25.2"N、115°50'13.2"E) 図2 BPC局の位置 図3 Google MapでみたBPCのサイト 3.送信フォーマット BPCの信号フォーマットには、時間(時、分)、曜日、年月日が含まれる。JJYなどが1分間かけてこうしたデータを創出するのに対し、BPCでは20秒でこれらのデータを送出する。つまり通常の1/3の20秒で、電波時計を校正するために必要なデータが得られるようになっている。BPCのデータは20秒を1サイクルとし、パルスの周期は1秒である。パルス幅によって数字をあらわしているのだが、なんと4進数でデータを表現しているのである。4進数は、0→1→2→3→10→11と数が増えていく数え方である。パルス幅が400mSは「3」に対応し、300mSは「2」、200mSは「1」、100mSは「0」となっている。送信フォーマットを図4に示す。ここでP0はサイクルの開始位置をあらわす。P1は何番目のサイクルかをあらわし、「0」は1回目、「1」は2回目、「2」は3回目をあらわす。P2は予備で「0」である。P3は1サイクル目で時刻の午前・午後をあらわす。「0・1」は午前、「2・3」は午後である。2・3サイクル目で送信データの偶数パリティの0~8桁をあらわす。P4の1サイクル目は予備で、2・3サイクル目で偶数パリティーの10~17桁をあらわす。このパリティーのところはよくわからない書き方になっている。 図4 BPCの送信フォーマット 4.おわりに 中国の電波時計はどれもこのBPCで時刻合わせを行っているようだ。製造にあたっては認可が必要なようである。日本の電波時計についてもシチズンやカシオ、セイコーなどのメーカーがこのBPCの電波に対応していることを確認した。 【参考】 ・https://ost.51cto.com/posts/1731 ・中国科学院国家授時中心HP 【図の出典】 図1:中国科学院国家授時中心HPより 図2:資料の座標を参考にGoogle Mapで調べ、筆者が作成 図3:Google Mapより 図4:資料を参考に、筆者が作成 (OG) |
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