戦前のカナダの報時局     2023.6.5
 (a)Estevan VAE  

図1 カナダ西部の地図

 経緯度を調べるとバンクーバー島の西岸を指す。VAE局は、周波数500kHz、2:58と17:58に報時信号を発した。報時時刻は『東洋燈臺表』1929年版では2:00と23:00に変更されている。報時信号は、ビクトリアのGonzales Hill天文台より送られた。信号のフォーマットを表1に示す。
表1 VAEの送信フォーマット

 
 (b) Victoria VAK

図2 Gonzales Hill天文台

  経緯度を調べたところ、Gonzales Hill天文台と同一であることがわかった。天文台からの送信と考えられる。この天文台は元々は測候所として1914年に開局したものである。VAK局からの報時信号の送信については、周波数、報時時刻、報時フォーマットともにVAE局と同一である。
 (c)Camperdown VCS

図3 カナダ東部の地図

  Camperdownは、アメリカ国境に近い東端のノバスコシア(Nova Scotia)地域にある。ここには灯台施設があり、ここより少し内陸部に入った所である。開始年は不明だが、『理科年表』第2冊(1925)には14:00に500kHzで信号を発したとある。この局は1928年までの記載で、その後は以下のVAV局に業務が移管したと思われる。

 (d) Chebucto Head VAV
 
図4 チェバクトヘッド地図

 VCS局に代わって登場したのがVAV局である。VAV局は灯台の南、ダンカンズ湾の入口に面している。報時は1928年から開始され、周波数500kHzで、14:00に発信された。『理科年表』には「第13冊(1937)」まで記載があった。時刻情報の提供はSt.John天文台とあったが、詳細はわからない。



【図の出典】
図2 Gonzales Hill天文台 https://www.waymarking.com/waymarks/WMJORW_Gonzales_Observatory_Victoria_BC

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