戦前のポルトガルの報時局     2023.5.27
 (a)Monsanto CTV・CTW・CTX4  

図1 リスボン市内の地図

  『理科年表』の経緯度で調べると、ここには海軍暗号通信センター(Centro de Comunicações de Dados e de Cifra Marinha)がある。通信センターはリスボンの郊外、モンサント森林公園内で、公園内には海軍や陸軍の基地があり、アンテナも立っていることから、ここから送信された可能性は高い。CTV局は『理科年表』第5冊(1929)から掲載され、周波数500kHzが9:30、周波数97.7kHzが9:40、周波数100kHzが10:00に電波を出した。「第9冊(1933)」では、97.7kHzが125kHzになり、100kHzはなくなり、短波9090kHzと11539kHzとなった。「第12冊(1936)」では、長波・短波とも記述がなくなり、394.7kHz、10:00のみとなる。代わりに新たなコールサインの局、CTW(125kHz、10:00)とCTX4(9090kHzまたは11539kHz、10:00)が登場した。これらの局は「第14冊(1938)」以降は記載がない。

図2 Monsanto送信所のアンテナ

 時刻情報を提供していたのはリスボン天文台で、1812年に開設され、現在の地に天文台の建物が建設されたのは1867年のことである。場所は上記の森林公園の南端にあたるTapada da Ajudaという地である。

図3 リスボン天文台

【図の出典】

図2 Monsanto送信所のアンテナ Google ”StreetView"より
図3 リスボン天文台 GoogleMapの写真より

 
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