戦前のイギリスの報時局 2023.5.28 |
(a)Rugby GBR |
Rugbyはウォリックシャー(Warwickshire)州の町である。超長波の送信所がこの地にできたのは1926年のことで、12基の250m高のアンテナ群と350kWの送信機は、当時世界最大といわれた。報時は1927年12月から開始された。周波数16kHzの電波を10:00と18:00に発した。この局は「1943年版」まで記述がある。 図1 Rugby超長波の送信ビル 図2 超長波の送信アンテナ 図3 16kHz 送信機 時刻の情報を提供していたのはグリニッジ天文台である。創立は1675年。1851年に台長のエアリー(George Biddell Airy)が設置した子午環でグリニッジ平均時を定めていたが、これが1884年に本初子午線となった。エアリーは、電信による時刻の提供を計画し、鉄道や郵便局にグリニッジからの正確な時刻の提供を行った。 |
(b)その他の局 |
図4 イギリスの地図 「Modern Wireless」によれば、イギリスにはGBR以外に3つの局があった。以下にまとめて記述しておく。 ・Leafield GBL ~オクスフォードの西北西に位置するリーフィールドにGBL局があり、0:00、1:20、12:00、20:00に34.3kHzで信号を発した。GBLについて、「Citizens Radio Callbook」では0:00と20:00に「英語による報道」となっている。 ・Northolt GKB ~ロンドンの西北西に位置するノーソルトにGKB局があった。2:00に43.8kHzで信号を送出した。この局は「CR」には記載がない。 ・North Foreland GNF ~イギリスの東海岸のノースフォアランド岬にGNF局があった。14:00に500kHzで信号を発したとある。「CR」には、14:00と20:00に信号を発し、「平文による航海の注意」となっている。 【図の出典】 図1 Rugby超長波の送信ビル "Rugby Radio Station Booklet from 1964" https://www.radioheritage.net/Story443.asp 図2 超長波の送信アンテナ "Radio Station Rugby" http://rugbyradiostation.co.uk/ 図3 16kHzの送信機 同上 |
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