1.はじめに
上海海岸電台のウェブページ
現在、上海海岸電台は交通運輸部東海航海保障中心上海通信中心という名称で、上海海岸電台という名称も別称として使用しているようだ。上海海岸電台は1905年の創設で、船舶の航行の安全を確保するための業務として無線による時報、気象FAX、水路情報、GMDSS、DSCなどが主な業務となっている。ウェブページによれば、上海海岸電台は中国最大規模の海岸電台で、唯一時報放送を行っている海岸電台だということである。この時報放送は1954年から始まったもので、当時は上海天文台が時報を管轄していたようだが、2006年に中国科学院国家授時中心が設備を新設し、毎日4回標準時間と校正をしている。現在のウェブページにもこの時報放送のことが記載されており、まだ放送は継続している可能性がある。ただし、ウェブページには周波数の記載がないので、以下に述べる周波数で運用している可能性が高いと思われる。
上海通信中心の建物
2.上海海岸電台とは
上海海岸電台は、Shanghai Radio、コールサインXSGで1974年~1976年までWRTHの時報局一覧にも掲載があった。この時の周波数は458、6114.5、8502、12871.5kHzの4波で、運用は02:55~03:00UTC、08:55~09:00UTCという1日2回短時間の送信があるだけだった。
WRTH1974年版にあるXSG
上海天文台のZhuang Qixiangの論文"TIME DISSEMINATION AT SHANGHAI OBSERVATORY"には上海天文台が関わった時報局の歴史が記述されている。最初の時報局は1914年に開始され、短波で、モールスコードで送信された。コールサインもないこの局は1940年まで続いた。続いて、規則的な信号を送出する局が1940年から短波で始まり、これは1954年まで続く。XSGはこの局の後継として1954年から始まる。時刻はUT1を送出し、論文の書かれた当時(論文には日付がないため、内容から推測すると1985~1987年頃と思われる)は522.5kHz、6.454MHz、8.487MHz、12.954MHz、16.938MHzの5波であった。この論文にはBPVが1981年に終了したとあるが、XSGが終了したとする記述はない。
3.上海海岸電台のQSL
1994年頃のQSL
2020年に受信した時の確認証
【参考】
・東海航海保障中心上海通信中心https://www.dhhb.org.cn/shtxzx/
住所:中華人民共和国201206上海市浦東新区金橋206-801信箱
・中国科学院国家授時中心 https://www.cas.ac.cn/xw/yxdt/200605/t20060529_982424.shtml