■標準時報局 YVTO(ベネズエラ)■
1.はじめに
ベネズエラにはYVTOという時報局があります。ここには一度、資料請求をしたのですが、返信がなく、2度目の請求で返信がありました。YVTOは、ベネズエラの海軍に所属するJuan Manuel Cagigal天文台が管轄しています。以下、スペイン語と格闘した「成果」をご披露することとしましょう。
2.歴史的経過
Juan Manuel Cagigal天文台は1888年9月8日に創設され、1891年から観測を開始しました。天文台の名称"Juan Manuel Cagigal"は、ベネズエラの数学者(1802-1856)を記念して付けられたものです。この天文台は、最初の70年間は教育省(Ministerio de Instruccion Publica)に属していました。1947年には国防省に移管され、水路学(Hidrografia)や測地学(Geodesia)が開始されます。1950年代に現在の施設が建設され、この時期にドイツから高い技術が導入され、プラネタリウムや標準時サービスの向上がはかられます。
設立当初の天文台 現在の天文台
ベネズエラの標準時については、1912年にVilla de Cura(西経67°30')を通る子午線を基準としていましたが、1965年からはPunta de Playa(西経60°)を通る子午線を基準としました。これはグリニッジ時間から+4時間の差があります。1959年には水晶時計の採用によって、精度が格段に向上しました(0.034秒/年)。そして1981年からはセシウム原子時計が導入されました。
時報システム QSLカード
1939年には時報サービスのテスト放送がRadio Broadcasting CaracasとRadio
Difusora Venezuelaから行われました。このときはHLV(Hora Legal de Venezuela)の時間サービスと電話回線を通して同期させていました。
1968年から6100kHzで正確な時報信号が送信されるようになります。これがYVTOの開始ということになります。1989年には送信周波数が5000kHzに変更になり、現在に至っています。
3.送信の形式
・送信地: Caracas(北緯10°30'22"14、 西経66°55'42"06)
・送信周波数: 5000kHz
・送信出力 : 2kW
・送信時間 : 24時間
・周波数の精度: 1×10−12
・周波数の偏差:約1×10−10
・時間信号の精度:1mS
4.時間信号の形式
00秒 分信号(800Hz、500mS)
01〜40秒 秒信号(1000Hz、100mS)
41〜50秒 局ID "OBSERVATORIO NAVAL CAGIGAL - CARACAS - VENEZUELA"
51秒 秒信号(1000Hz、100mS)
52〜57秒 時刻アナウンス(スペイン語)
58〜59秒 秒信号(1000Hz、100mS)
5.設備
周波数原器:HEWLETT PACKARD modelo 5061-A ×2
時刻信号発生:ASSMANN modelo ZAG-100 ×2
ID発生:ASSMANN modelo HAG-5 ×1
スケジュール管理:ROHDE & SCHWARZ modelo BN-7844 ×1
送信機:HARRIS modelo RF-130 ×1
6.その他
宛先住所 Direccion de Hidrografia y Navegacion, Apartado Postal 6745, Caracas, VENEZUELA.
電子メール dhn@ifxnw.com.ve
Web Site http://www.dhn.armada.mil.ve/