アンペールの電磁力の実験を追試してみよう    2024.10.8
 
 1822年のアンペール(André-Marie Ampère)の電磁力の実験は、1820年にエールステッド(Hans Christian Ørsted)が行った実験~磁針の上に平行に置いた導線に電流を流すと磁針が振れる~から、導線の方を可動にしたら同様に導線が動くのではないかというものでした。 アンペールは図1のような機構で導線が可動できるようにして、磁石を導線の下に置きました。電流が流れると導線は直角の向きに動いたというものです。

図1

 この装置は、コイルを吊す部分がピボットになっており、かなり自作は難しそうです。検討の結果、卵形ラグを使うことにしました。ラグをアクリル板の表と裏から出せば、なんとかピボット部分はできそうです。ただしラグの穴は1.6φなので、そのままでは0.5φのエナメル線では突き抜けてしまい、吊すことができません。そこで、ハンダで穴をふさぎ、平らに削った上で、ドリルで軽くさらいくぼみを作ることにしました。

 
図2

 アクリル板で支える部分をつくり、上板にラグのくぼみが垂直線上を通るような位置に穴をあけました。

図3

 コイルは、0.5φのポリウレタン線で、縦33、横35で、1巻きです。ピボット部のくぼみの距離が12mmなので、それにあわせてコイルの端を曲げました。両方の先端部は被覆をはがし、先をとがらせておきます。吊したときに上下のくぼみに接し、コイルがバランスよく、なめらかに回転するように調整しまする。この調整が一番難しい。電池との接続は、ラグをつけたネジ部をワニグチクリップではさんで、電池につなぎました。

図4

 磁石は、棒磁石などのように磁極が長手方向にあるものがよい。置き方はコイルの導線と平行に置いてもよいし、直角に置いてもよい。いずれも電磁力を確認できました。使用する磁石の磁界の向きによっては、導線に上向きの力がはたらき、コイルが外れてしまう場合があるので注意したい。

図5

【図の出典】
図1:『大自然科学史』第7巻、F.ダンネマン、安田徳太郎訳、三省堂、1978.10
他の図・写真は筆者作成・撮影

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