京都の近代建築-中京区 | |||||
update: 2022.11.9 | |||||
この建物は、1927(昭和2)年に竣工した鉄筋コンクリート造3階建の建物で、設計・施工は唐木屋工務店である。平楽寺書店は仏教関係書を扱う老舗出版社である。 |
中京郵便局旧庁舎外観 中京郵便局の旧庁舎は、京都郵便電信局として、逓信省営繕課の吉井茂則・三橋四郎の設計、同小泉鉄也の監督のもと安藤組の施工により、明治35年(1902)8月に竣工した。ネオルネッサンス様式のこの旧庁舎は、当時の代表的郵便局で、日本の近代建築史においても重要な位置を占める作品であった。 昭和51年3月から同53年4月に中京郵便局の改築が行われたが、このとき旧庁舎の南面及び東西側面の一部の外壁と屋根が保存された。 中京郵便局は、近代京都における経済の中心地であった三条通に位置し、旧庁舎の外観は当時の雰囲気をよく伝えている。またその意匠は優れたもので、三条通の景観保全にも寄与しており、昭和61年6月2日、京都市登録有形文化財に登録された。 京都市 |
京都市登録有形文化財 日本生命京都三条ビル外観(旧日本生命京都支店) 旧日本生命京都支店は、辰野金吾・片岡安の設計、山本鑑之進の施工により、大正3年7月に竣工した。 この建物の外観は、辰野が「辰野式」と呼ばれる独特の様式で赤煉瓦造の建物を多く手掛けており、一方、片岡安は石貼りを多用した直線的な細部意匠を用いていたことから、そうした両者の特色をよく示している。また構造面においては、耐震性への配慮から、西欧の純粋な煉瓦造でなく、中に鉄骨を入れている点に特徴がみられる。 現在の建物は、昭和58年に改築されたものの、塔屋を含む東側部分が鉄筋コンクリート造で補強した上でファサード保存され、建築当時の外観を残すとともに近代洋風建築が立ち並ぶ三条通において、歴史的景観のポイントともなっている。 昭和59年6月1日 登録 京都市 |
毎日新聞社京都支局(旧京都大毎会館) 毎日新聞社京都支局は、昭和3年(1928)、武田五一の設計、大林組の施工により建築された。 意匠的には、正面外観の水平ルーバーによる水平線の強調にF.L.ライトの影響が感じられる。また、毎日新聞社章を応用したバルコニーの形状や、玄関左右のランプカバーの意匠は、クランク型に屈曲する直線が用いられており、アール・デコの影響が認められる。ここには、国際建築様式成立直前のヨーロッパにおける二大流行がいち早く取り入れられており、意匠史の上から注目される建物であり、昭和58年6月1日、京都市登録有形文化財に登録された。 京都市 |
京都電電ビル西館(旧京都中央電話局) 京都電電ビル西館は、当初逓信省の京都中央電話局として、逓信省技師の吉田鉄郎の設計、清水組の施工により建築された。後期は大正14年(1925)2月~同15年9月の第1期工事と、昭和4年(1929)5月~同6年1月までの第2期工事に分かれる。 意匠的には、西面の連続したアーチに特色がみられ、日本における近代建築のパイオニアである吉田鉄郎が、国際建築様式を自己のものとする直前の作品として基調であり、昭和58年6月1日、京都市登録有形文化財に登録された。 京都市 |
京都ハリストス正教会生神女福音聖堂 京都ハリストス正教会生神女福音聖堂は、ギリシア正教会の京都聖堂として、当時の京都府技師松室重光の設計・監督のもとに建てられた。建物は明治34年(1901)12月に完成していたが、ロシア正教会から寄附された聖障(イコノスタス)、教鐘、大燈明などの到着が明治36年3月であったため、聖堂成聖式は同年5月10日に行われた。 建物は、木造平屋建のロシア・ビザンチン様式教会堂で、証明より玄関、啓蒙所、聖所、至聖所が1列に並び、最も広い聖所と至聖所とを仕切っている聖障は、柱と梁で区画されて油彩聖人像のパネル30枚が嵌めこまれており、みごたえがある。 この聖堂は、日本ハリストス正教会の聖堂のなかで、本格的なものとしては現存最古の遺構であり、以後に建築された木造聖堂の範例とされていたと考えられる。また、松室重光の日本における数少ない現存作品の一つとして貴重であり、意匠的にも、装飾が少なく簡素であるがその均斉のとれた外観は美しく、昭和61年6月2日、京都市指定有形文化財に指定された。 京都市 |