ビッグピット国立石炭博物館 BIG PIT National Coal Museum |
ビッグピット国立石炭博物館
ブライナヴォン(Blaenavon)は産業遺産が世界遺産に登録された(2000年登録)数少ない例である。主要な登録遺産は、ブライナヴォン製鉄所跡とビッグピット国立石炭博物館である。場所は、南ウェールズ地方、ロンドンから西約200kmに位置する。ニューポート駅からブライナヴォン行きのバス(X24系統)は10〜20分おきに出ていて、所要時間は約1時間である。「Blaenavon
Curwood」で下車し、世界遺産ビジターセンターで地図や情報を得るとよい。
南ウェールズ地方の炭田は1000平方マイル(約2600平方キロメートル)の細い水盆状の地に石炭が埋蔵され、種類も豊富で、辺縁部では露出し採掘がしやすいという特徴があった。南ウェールズの炭鉱は19世紀後半から20世紀初めに好景気を迎え、ピーク時(1913年)には年間5700万tの産出、23万余の労働者が620の炭坑で働いていたとされる。石炭需要の衰退の中で、南ウェールズで最後まで残ったビッグピットは1980年2月に閉鎖された。
1980年に閉鎖されたビッグピットは、1983年に国立石炭博物館として再出発した。閉鎖時の施設・設備がそのままの姿で残され、訪問者は当時の石炭産業の様子を見ることができる。受付を通ると待合室に案内され、ここで10名前後のグループになり、「地下ツアー」と呼ばれる坑道見学に出発する。元炭坑労働者がガイドに付き、300フィート(約90m)竪坑を石炭運搬に使われていたものと同じ形のカゴに乗り下降する。地下の坑道では、切り羽、馬屋、エンジンハウスなどを歩いて見学し、各場所でガイドが体験を交え解説する。私のグループには車椅子の男性もいたが車椅子のまま同一工程を参加した。坑内はほとんど照明設備はなく、参加者はヘルメット、電池、キャップランプという炭鉱労働者と同じ装備で入坑する。ツアーの所要時間は約1時間、携帯電話やカメラなどの精密機器は結露するので持ち込みができない。地下ツアーの昇降カゴは、操業時に使われていた巻き上げ機で運転されている。現在の巻き上げ機は1952年に建造されたものだが、コンピュータで管理する最新のシステムに更新されている。この他にトロッコ線路、ランプルーム、送風室、鍛冶工房などが、まるで時が止まったかのように保存されている。
ビッグピットへは、ビジターセンターから徒歩で約20分かかる。小高い丘の中腹にあるビッグピットからはブライナヴォンの町を俯瞰することができる。
トロッコの石炭を空ける装置 トロッコ
電池の充電室 地下ツアーへの入口
地下ツアーの装備 巻き上げ機
巻き上げ機 巻き上げ機と巻き上げ機室
水力巻き上げ機 鍛冶工房
かつて使われていた巻き上げ機の動輪 昔の機関車
Workmen's Hall St.Peter's Church
Workmen's Institute St.Peter's School(現W.H.Center)
◆所在地: |