銚子の醤油工場 |
ヒゲタ醤油工場 ヤマサ醤油工場
銚子の沖合は暖流と寒流がぶつかりあうため、夏は涼しく、冬は暖かく、かつ湿度が高いという特徴がある。このため麹菌などの生育に適している。また銚子は利根川、江戸川によって江戸と結びつき、舟運による物資輸送に適した地でもあった。このような条件が重なり醤油醸造の町として発展した。 銚子には、サマサ醤油とヒゲタ醤油の2つの大きな醤油工場があり、いずれも工場見学が可能である。
醤油製造の工程を概説する。まず原料の大豆を蒸し、小麦を炒り、砕く。麹菌を加えこうじをつくる。こうじに塩水を加えたものをもろみという。これを約6ヶ月かけて発酵、熟成させる。この熟成したもろみを布に包み、徐々に圧力をかけて搾る。できた液体を生醤油という。これを加熱・殺菌し、色や香りを整える。検査後、容器に詰め、出荷する。
【ヒゲタ醤油工場】
ヒゲタ醤油の工場は、JR「銚子駅」の西側にある。見学は予約なしで可能である。工場の一部とフレスコ画、史料館を見学できる。ヒゲタ醤油の醤油造りは1616(元和2)年にはじまったという。ヒゲタマークの由来は諸説あり、田中家の屋号「入山田(いりやまた)」を書いた時に「田」の端から墨が垂れたので、四隅にもつけたという説もあるそうだ。「山」の上にある「上」のマークは江戸幕府からの上品質認定のマークが残ったものだそうだ。
ヒゲタ醤油の工場のほとんどは戦時中の爆撃で破壊されたが、唯一正面の茶色の工場が空襲を免れた建物で、1930(昭和5)年建造のものだそうだ。史料館は1985(昭和60)年に設置された。
工場の建物
史料館入口 展示物
焼き印 鬼瓦
【ヤマサ醤油工場】
ヤマサ醤油の工場は、JR「銚子駅」の東側に位置し、銚子電鉄「仲の町駅」は工場にすっぽりおおわれたようになっている。工場見学には予約が必要である。この工場では、工場見学のほか、ヤマサが1908(明治41)年に購入した石炭/薪を燃料にする蒸気エンジンの消防車や、大正末期にドイツから輸入された石油を燃料として動くディーゼル機関車も見ることができる。ヤマサ醤油の醤油製造は1864(元治元)年にはじまったという。サマサのマークの由来について聞くと、これも諸説あり、一説には初代濱口儀兵衛の「キ」が紀州のマークと重なるため、横に寝かせたという話もある。工場の建物は戦後に建てられたものだが、双葉小学校の北側にあるレンガ造の工場は大正期のものということである。
レンガ工場 鬼瓦
蒸気ポンプ消防車
ディーゼル機関車
【ヒゲタ醤油】 |