建物外観ドイツ博物館は、世界最大の科学・技術博物館である。年間1億5千万人の来場者、50もの分野で28000の展示物を誇る。
ドイツ博物館へは、ミュンヘン中央駅北側にある停留所から16番のトラム(路面電車)に乗車、「Deutsches Museum」で下車するのが一番便利である。所要時間は約10分。停留所は、博物館が建つイザール川の中洲「石炭島」の北側で、博物館入口までは川に沿って5分ほど南下しなくてはならない。
ドイツ博物館は1903年6月28日に創設された。ルードヴィヒ王子が博物館設立活動の後援を了解したり、ミュンヘン市が「石炭島」(現在の博物館があるイザール川の中洲をこう呼ぶ)の寄付を申し出るなどの中、オスカー・フォン・ミラーOskar von Millerの主導によるドイツ技術者協会Vereins Deutscher Ingenieureは総会で博物館の設立を決定した。国立博物館としての一般公開は1906年11月である。
第2次世界大戦中の1944年末、博物館は空襲による被害を受け、建物の80%、展示物の20%が被害を受けた。戦後は修復のため博物館は閉鎖され、建物は工業大学や郵便局に一時的に貸し出された。1945年11月には図書館が、1947年1月には会議ホールが再開したが、常設展示の再開には1948年5月まで待たなければならなかった。
1980年代初めには、展示スペースは34140平方メートルだったが、建物の増設により、1993年には展示スペースは55000平方メートルとなった。1992年にはミュンヘンの北18kmにあるオーバーシュライスハイムOberschleissheimに航空部門が開設され、1995年にはボンBonnに分館が開設、2003年にはミュンヘンのテレジーンホーエTheresienhoheに交通部門が開設された。
ドイツ博物館の特徴は、来場者に科学・技術のしくみをわかってもらうために、多くの展示品は中が見えるようにカットされていて、単なる古い品物を展示しているわけではない。特に若い世代に科学・技術を理解してもらうための工夫が随所にみられる。30をこえる分野の展示場で、時間を決めて実演が行われているのもその一つである。
高電圧実験のデモすべての展示物を見学するだけでも1日では終わらない。時間のない人はテーマを決めて見ることをお勧めする。また、航空部門と交通部門の分館を見学する予定の人は、共通チケットがお得である(その日のうちに3館とも入館する必要はない)。
以下に、分野ごとの代表的な展示物の写真を紹介する。分野についている番号は、博物館がつけている番号である。
【1階Ground floor】
(2)石油とガス
(3)金属
ベッセマー転炉(4)溶接
(5)材料試験
(6)工作機械
鋳造機械(1857)(7)動力機器
工場用蒸気機関(1835)(8)機械要素
(9)電気動力
アリアンス型発電機(1863)(10)船／航海術
船の内部構造(15)ロボット
(16)鉄道模型
(17)トンネル掘り
(18)航空術
ランプラーC4型(1916-7)(21)フーコーの振り子
【半地下Basement】
(22)鉱山業
岩塩掘り(18世紀)(23)環境
(24)子どもの王国
(25)ナノテクノロジーとバイオテクノロジー
【2階First floor】
(26)博物館の歴史
(27)アカデミーコレクション
(28)エネルギー技術
(29)物理学
クーロンのねじり秤(1785)(30)光学
(31)電子顕微鏡
(33)航空術
(34)楽器Ⅰ
(36)薬剤
【3階Second floor】
(39)アルタミラ洞窟
(40)ガラス吹き
(41)陶磁器
陶器製渦巻きポンプ(1895)(42)ガラス技術
(43)技術おもちゃ
Fischer Technikのおもちゃ(44)紙
製紙用具(45)印刷技術
グーテンベルクの印刷機(1811-3)(46)宇宙飛行
(47)写真＋映画
映写機(1914)(48)織物技術
糸車による製糸(49)楽器Ⅱ
電子楽器とからくり
自動演奏オルガン【4階Third floor】
(50)天文学
X線望遠鏡(51)測地学
基礎測量具(1801)(52)コンピュータ
ZuseのZ3コンピュータ(1941)(53)マイクロエレクトロニクス
引き上げ法によるシリコン単結晶の製造(1956)(54)数学の戸棚
(55)遠距離通信
手動交換機(1905)(58)時刻測定
やぐら時計(59)度量衡
【5階～7階】
(60)アマチュア天文学
(61)アマチュア無線
(62)天文学Ⅱ
(63)プラネタリウム
(64)日時計の庭
■休館：1/1、ざんげ火曜日、聖金曜日、5/1、11/1、12月の第2水曜日、12/24、12/25、12/31
■住所：Museumsinsel 1, 80538 Munich
TEL:089-2179-1 FAX:089-2179-324
■入館料：大人11ユーロ、子ども4ユーロ
3館共通チケット(大人)16ユーロ
■交通：トラム16番「Deutsches Museum」下車すぐ、またはSバーン「Isartor」下車徒歩10分、
またはUバーン1･2番「Fraunhoferstrasse」下車、徒歩10分
■Web:http://www.deutsches-museum.de
■E-mail:information@deutsches-museum.de