関西鉄道大仏線の遺構

2015.3.16update

 現在のJR関西本線は、関西(かんせい)鉄道と大阪鉄道という2つの私鉄が元になっている。まず大阪鉄道の湊町(現・JR難波)〜奈良間が1892(明治25)年に開通、1895(明治28)年に関西本線の草津〜柘植〜名古屋間が開通した。関西鉄道は、1897(明治30)年に柘植〜加茂間、1898(明治31)年に加茂〜大仏間を開通させた。関西鉄道が大阪鉄道を買収後、1907(明治40)年に加茂〜木津間が開通し、急勾配を持つ加茂〜奈良間は開通後わずか9年で廃止となった。1907(明治40)年11月のことである。奈良〜加茂間にはこの大仏線の遺構が数多く残る。
 2008年2月、奈良から加茂へと歩いてみた。2015年3月、奈良市・木津川市がこの大仏鉄道の遺構のパンフレットを作成しているので、興味のある方はいずれかの市の観光課へ問い合わせると良い。このパンフレット作成に伴ってか、案内の道しるべが設置されていることが2015年3月16日に加茂駅から木津駅まで歩いてみてわかった。

大仏駅の跡地に1992年に造られた公園

関西鉄道大仏駅について
明治28年に草津・名古屋間を全通した関西鉄道は、柘植から大阪方面への進出を計り、2年後の30年11月に加茂まで開通した。
ここから梅谷を経て黒髪山トンネルを下り、明治31年4月、この地の北側法蓮の交番所の南あたりに大仏駅を設置した。
この鉄道は、市民・観光客にも親しまれ、大仏詣での人達もこの駅で下車し一条通りを通って東大寺に参拝していた。奈良駅へは、その年の12月に到達したが、乗り入れが実現したのは、翌32年5月であった。その後、路線が木津経由に変更となり、明治40年8月までの約9年間で廃止された。
昭和39年頃までは、トンネルも残っていたが、現在は取り壊されて当時の面影はいまは見られない。
平成4年4月  奈良市 









大仏鉄道記念公園にある説明板
 





鹿川隧道

松谷川隧道

赤橋

 梶ヶ谷隧道

旧鹿背山トンネルの木津側

 鹿背山橋台

観音寺小橋台

観音寺橋台(奥はJR関西本線)

加茂駅のランプ小屋

■交通:近鉄「奈良駅」からJR関西本線「加茂駅」までの地図を以下に示す
 行程は、約12km。(3〜4時間) 
 
 

木津駅近辺の鉄道遺構
 木津駅の近くには、建設当時の鉄道橋梁がいくつも残っている。いずれも現役である。
橋梁A(関西本線) 橋梁B(関西本線)

橋梁C(奈良線)

橋梁D(奈良線) 橋梁E(関西本線)

 上戸川橋梁(奈良線)

 上戸川橋梁(片町線)

木津駅東西連絡通路内のレンガ遺構

■木津駅付近の地図 


【参考資料】
◎「幻の大仏鉄道 遺構めぐりマップ」奈良市・木津川市、2015.2発行
◎『新 鉄道廃線跡を歩く 4近畿・中国編』今尾恵介編著、JTBパブリッシング、2010.4
◎『旅してみたい日本の鉄道遺産』三宅俊彦著、山川出版社、2009.8
◎大仏研究会website:
http://www.eonet.ne.jp/~daibutu/


【おまけ】
▼奈良少年刑務所(旧奈良監獄)
 山下啓次郎によって設計された千葉、奈良、長崎、鹿児島、金沢の5つを五大監獄と呼ぶ。このうち現役は千葉と奈良のみである。
 旧奈良監獄の竣工は1908(明治41)年。

 

 

▼奈良市水道計量器室
 奈良市のウェブページには1922(大正11)年竣工とある。少年刑務所にむかう途中の東之阪町にある。
 


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