楕円コンパス機構をつくろう 2022.04.29 |
図0 楕円コンパス機構は、『機構学』には「固定両スライダ機構」という名称で取り上げられている。この機構は、図1のような二等辺三角形△ABCの角Bがy軸上を、角Cがx軸上を自由に移動するようにしたとき、角Aの軌跡が楕円を描くというものである。図2では軌跡の半分だけを図示した。 図1 図2 この機構を使ったおもちゃも販売されている。この機構で角Bと角Cをスライダとすると、このスライダは直線運動をする。それなのに角Aは楕円を描くというところが興味深かったので、スライダの動きがよくわかるように、私はアクリル板でこの機構を製作してみた。 1.材料の加工 材料は、厚さ5mmの透明アクリル板を使用した。可動するスライダとそれを支えるみぞとなる部分は10mmのアクリル板にした。10mmのアクリル板は高価なので、スライダ部分はオレンジ色の2mmのアクリル板を5枚接着、みぞ部分は透明な5mmのアクリル板を接着して加工した。これらの部品は、もっと薄いアクリル板でも製作可能である。 図3 図4 図3は土台となるアクリル板である。図4はみぞとなる部分のアクリル板で、2枚の板を接着後、円形に加工した。 図5にスライダ部分の加工図を示す。また図6にみぞ部分の構造を示す。 図5 図6 図7は加工が終わったスライダとみぞ部分である。 図7 スライダの M5フカサ7 は、持ち手部分との接続部で、ネジを固定するうまい方法を考えつかなかったので、途中までネジ部をつくり、そこまでネジが入ることで動かないようにしたものである。4,2mmのドリルで下穴をあけ、M5のネジを切る。図8にタップでネジを切っている様子を示す。 スライダの角の部分は少々多めに面取りをし、なめらかにしておく。そうしないとミゾ部分に引っかかることがある。 図8 持ち手の形状はなんでもよいが、私は孫のおもちゃにもなるようにとハート型にした。図9、図10を参照。ツマミ部分は、電気で使う15mmのサポータを使った。そのままではネジ部が貫通していないので、2.5mmのドリルで貫通し、M3のネジを切り直した。取り付けネジは持ち手の裏からつけるので、回転のじゃまにならないように皿ネジを使い、持ち手の方は8mmのドリルでさらっておいた。 図9 図10 2.組み立て 組み立ては、ミゾ部のアクリル板を土台となるアクリル板に接着することが主要なものである。しかしここが一番難しい。 アクリル板によけいな傷をつけたくなかったので、最初はアクリル板の下に図面を置いて、その上から位置決めをしようとした。しかし5mmのアクリル板は見る位置によって下の図面がずれてくるため断念した。結局アクリル板に接着する位置をけがき、それを参考にした。最初に1つのピースをけがき線にあわせて接着する。接着にはアクリル用接着剤(例えば、アクリルサンデー)を使用した。2つめのピースは、まだとなりに接着していない側の側面は最初の接着ピースの側面に合わせる。となりにピースが接着されている側はスライダを実際に使ってスムーズに動く位置にピースを固定する。最初にけがいた線から若干はずれても現物あわせでいく。このようにして1ピースずつ現物あわせで接着していくとよい。 図11 最後に、全体図を図12に示す。 製作してみて、やはり加工精度が悪いためか、スライダの動きが反転するときが、スムーズに回転しにくい。 『機構学』に出ていた図は、スライダの接続点をつないだ線の延長線上に持ち手部分があるものだったので、こちらを作ってみて、動きをみてみたい。 図12 【参考】 ・森田鈞『機構学』実教出版、1974.9 |
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