リレーを使ったフリップフロップ回路    2022.8.1
 
 フリップフロップ回路は、状態を記憶する回路として使われる。その原型は、NAND回路を使って図1のように書くことができる。これを書き直すと図2のようになり、これならばリレーを使って作ることができるのではないかと考えた(Qバーは省略)。以下にその製作過程を示す。
  
図1 NAND回路を使ったフリップフロップ      図2 フリップフロップ回路の書き換え

 論理回路の基本であるAND回路とOR回路のシンボルとリレーを使ったそれぞれの回路を図3~6に示す。
  
図3 AND回路のシンボル   図4 OR回路のシンボル

  
図5 リレーを使ったAND回路        図6 リレーを使ったOR回路

 ではNAND回路の場合はどうなるか。シンボルとリレーを使った回路を図7~9に示す。

図7 NAND回路のシンボル

  
図8 リレーを使ったNAND回路         図9 リレーを使ったNAND回路(その2)

 
入力のスイッチの書き方によって、図8と図9の2通りの書き方ができる。
 これを応用して、図2の回路をリレーを使ってあらわすと図10のようになる。

図10 リレーを使ったフリップフロップ回路

 回路の説明をすると、電源を入れると、RY1もRY2も接点がつながっているので動作するが、一瞬の差で、どちらかのリレーが先に働く。例えば、RY1が早く動作したとすると、RY1の接点がNOに動き、RY2は動作しない。逆もありうる。これはどちらが先かはわからない。どちらかの状態に落ち着けば、あとはA、Bのスイッチで状態が変化する。このようにフリップフロップの電源を入れた最初の状態は不定なのである。

●製作
 図10の回路をブレッドボード上に組んでみた。使用した部品は以下の通り。

<部品表>
・リレー HSINDA Precision 941H-2C-5D 5V 2回路2接点    2
・ブレッドボード 1
・タクトスイッチ 2
・LED 赤    1
・抵抗 330Ω 1/4W  1
・配線用ワイヤー   13

 回路では、Aのスイッチがセット、Bのスイッチがリセットとしてはたらく。
 製作してみると、簡単な電気の知識だけで原理が理解でき、フリップフロップが状態を記憶する様子がよくわかる。
図11 ブレッドボードに組んだフリップフロップ 

 回路図には示さなかったが、図の上部の横線が電源ライン、下部の横線がグラウンドラインである。電源電圧は、使用するリレーで異なるので記入しなかった。このリレーの場合は5Vである。これよりも電圧が高いリレーを使う場合は、LEDに直列に入れてある抵抗を大きくした方がよい。LEDに流れる電流を10mAとすると、R=(V-0.6)×100[Ω] で計算できる。Vは電源電圧。

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