旧佐世保海軍無線電信所送信塔   update:2017/11/21

 日露戦争で無線通信の重要性を認識した海軍は、1910(明治43)年、日本の通信網整備のため千葉、佐世保、台湾に無線局の設置を計画した。1922(大正11)年に4年の歳月をかけ「佐世保無線電信所」が完成した。費用は155万円(現在の金額で250億円)だったという。3本の無線塔は1辺300mの正三角形に配置され、その中央に電信室が設置された。塔の高さは136m、塔の基部直径12.12m、塔の頂部直径3.05m、鉄筋コンクリート製である。送信所は長波通信の施設として使用され、送信塔には頭頂部に金属環がのせられていたようだが、昭和50年代に撤去された。この金属環は1辺18mの三角形で、重量9tもあったそうである。

 『日本無線史』第10巻によると針尾の竣工は1921(大正10)年となっていて、佐世保市の資料と違いがある。同書では空中線は「塔3基に展長され」とあり、おそらく傘型空中線だったのではないかと思われるが型式の記述はなかった。主送信機は100kW電弧式7年式甲号送信機、副送信機は32kW瞬滅火花式4年式1号送信機が使用されたとある。

 戦後は、海上保安庁が所管し、海上自衛隊と共同で使用していたが、後継の無線施設が完成したため1997(平成9)年に電波塔としての役割を終えた。

 佐世保駅からのバスは1時間に1本なので、時間を良く確認しておく必要がある。見学は、油庫横の建物にボランティアの方がおられるが、私はパンフレットを手渡されただけで、同行して説明していただけるわけではなかった。個人見学の際は、事前予約は不要である。

 送信塔外観

 送信塔の外観と内部

電信室

油庫

【参考】「特集:針尾送信所」、『広報させぼ』2010年2月、VOL.711、佐世保市
    『日本無線史』第10巻(海軍無線史)、電波管理委員会編、1951年


◆開館時間:9:00~12:00、13:00~16:00
◆場所:長崎県佐世保市針尾中町750
◆TEL:0956-58-2718(針尾無線塔保存会)
個人の見学は、事前予約は不要である。
◆交通:JR佐世保駅より西肥バス「西海橋コラソンホテル」行きに乗車、「高畑」下車
(乗車時間約40分)
◆Web:http://www.city.sasebo.lg.jp/kyouiku/syakai/kengaku.html

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