六角雛~組み木のひな人形    2023.11.2

 京都には年に3回大きな古書市が開かれる。今年の夏の糺の森で行われた古書市で、『小黒三郎の組み木』という本を入手した。著者は養護学校に勤務していた経験があり、障害を持った子どもたちもための教材作りから組み木遊具デザイナーになったという経歴の持ち主である。この本の中に「六角びな」という組み木があった。簡単な図面も付いていたので、これを参考に寸法を割り出し、製作してみた。著者は電動糸のこで製作したようだが、私は所持していないので、木を切り、削って仕上げた。およそ2ヶ月半かかった。まもなく5歳になる孫のために作ったものである。

図1 製作の参考にした本

図2 製作した人形を並べたところ

図3 六角形の箱に収めたところ


 使用した材料は、厚さ24mm×幅54mm×長さ294mmのケヤキ、アパ(アフリカケヤキ)、アサメラ(アフリカンチーク)、イチョウの4種類を使用した。組み木とするので、15mm以上の厚さがあった方がよいと思われるが、入手可能な材料によるだろう。木の味わいを出すならば、複数の種類の木材を入手し使い分けるとよいと思われる。

 製作した人形は、六角形の箱をつくり、この中に収めた。材料は厚さ3mmと5mmのアガチスである。

 この組み木はほとんどが直線なので、糸のこよりも、普通ののこぎりを中心に作ることが可能である。特に難しいところはない。図面に合わせて製作するのみである。ただし、図面通りに作ったつもりでも、そこは素人の仕事で、組むとうまく組み合わないものが出てくる。これはそのときに微調整した。顔の楕円の部分と髪の毛の部分、それと顔の部分と襟の部分は図面上の寸法で、このままでは合わないので、調整してください。

 図面を以下に示す。すべて厚さは24mm。


図4 図面1

図5 図面2

図6 図面3


 人形を収める六角形の箱の寸法を以下に示す。

図7 箱の全体図

図8 箱の側板と仕切り板

図9 箱の底板

図10 ふたの側板と支え

 ふたの上板は図を示していないが、図9と同じ形状でr=104で製作されたい。私は2.5mm厚のベニヤ板を使用した。ふた・支えは、ふたと人形の間にぼんぼりの棒を収めるスペースを確保しようと考え、ふたが途中で止まるようにするためのストッパーの役目をする。ふたの側板の内側に貼るが、なくてもよい。私は、けっきょくこれは使用せず、箱の仕切り部分に棒を収め、ふたの裏に飾り方の図を貼ることにした。

 毎回のことであるが、製作にあたっては、子どもが使用するものであるので、角はすべて丸め、遊んでいてけがをしたりとげが刺さったりすることがないようにご配慮を。




【参考】
『小黒三郎の組み木』小黒三郎、大月書店、1985.2

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