専用IC(74LS283)でつくる4ビット加算器    2022.6.2
 
 以前に、リレーを使った4ビット加算器を紹介したが、生徒に見せるとき、リレーを使ったものと、ICを使ったものとでは、同じ機能なのに大きさがこれだけ違うということを示すために、4ビット加算回路が入った専用ICを使って、4ビット加算器を製作してみた。リレーでは、20cm×25cm四方の大きさだったが、ICでは11cm×8.5cmの大きさとなった。

図1 4ビット加算器

 ディジタル回路なので簡単だろうとなめてかかったのが大きな間違いだった。なかなかうまく動いてくれなかった。そのあたりも交えて、製作記を以下に記す。

(1)回路の設計

 ICは、74LS283を用いた。4ビットの入力が2つ、出力線が5つある。入力はタクトスイッチを使いスイッチを押すと5Vが加わるようにし、あわせてLEDが点灯するようにした。最初に考えた入力兼表示回路は図2のようなものだったが、みごとに失敗した。スイッチを押さなくてもICの入力端子を通して電圧が出てきてしまう。スイッチを押さなくても、入力端子の電圧は1.6V 、スイッチを押すと5.2Vとなった。そこでいろいろ検討した結果、抵抗値を1kΩとし、LEDと抵抗の間から入力を取り出すことにした。これならば、スイッチOFFで0.6V、スイッチONで3.2Vとなり、結果オーライとなった。このICのしきい値は、HIGHが2.7V~3.4V、LOWが0.35V~0.5Vとなっているので、ギリギリ動いているといったところ。
図2 うまくいかなかった入力回路

 出力は直接LEDを駆動することにしたが、データシートをみるとHigh Level Output Currentが0.4mAと小さい。そこで点灯するギリギリの電流を流すことにして、LEDの電流制限抵抗は10kΩとした。入力用LEDは赤を、出力用LEDは青を使用した。最終的な回路図を図3に示す。

図3

(2)製作

 プリント基板には、ユニバーサル基板のICB-93Sを使用した。配置と配線の一部を図4と図5に示す。記号・番号は基板に記載の記号・番号である。
 ICと入力、出力の配線は被覆線で行った。

<部品表>
・IC 74LS283    1
・16ピンICソケット 1
・ユニバーサル基板  ICB-93S 1
・LED 赤               8
・LED 青               5
・タクトスイッチ            8
・抵抗 10kΩ 1/4W        5
・抵抗 1kΩ 1/4W        8
・セラミックコンデンサ  0.01   1
・0.5φ単線         30cmほど
・被覆線            1mほど
・10mmサポート          4

 私は電池を使って駆動するため、電池4本では1.5V×4=6V と少し電源電圧が高いので、整流用ダイオードを直列に順方向に入れると電圧が下がるのを利用し、電池と回路の電源の間にダイオードをいれた。これで、6Vが5.2V になった。
 最初、キャリー入力端子C0は無接続で大丈夫かと思っていたが、ここも無接続ではHIGHと認識してしまい、C0=HIGHのロジックが出てしまうので、グラウンドに接続しておかないといけない。

図4 部品面からみた配置図

図5 銅はく面から見た配置図

 図5で青い線が、単線で配線したもの。被覆線の配線は省略した。配線のようすは図1を参照されたい。

(3)計算のようす
 計算のようすを図6に示す。ここでは 8 + 4 = 12 をしているところである。

図6 計算のようす

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