アイアンブリッジ峡谷 Ironbridge Gorge |
アイアンブリッジ
ロンドンから北西に約190km、セヴァン川(River Severn)に架かる世界最初の鋳鉄橋がアイアンブリッジである。この橋を中心に川の両岸に点在する産業遺産と博物館がアイアンブリッジ峡谷博物館で、世界遺産(1986)となっている。アイアンブリッジへはテルフォード(Telford)からバスに乗車するのだが、駅前からバスは出ていない。駅前からタウンセンター行きのバスに乗車、5分程でタウンセンターバス乗り場に着く。ここからアイアンブリッジ行きのバスが出ている。9、76、77、96、99番のバスがアイアンブリッジに行く。
Telford Central駅 Town Centreバス乗り場
アイアンブリッジ峡谷の発展の端緒は、1709年にアブラハム・ダービーT世(Abraham Darby T)がコールブルックデール(Coalbrookdale)においてコークスを使った鉄鉱石の溶解に成功したことである。これによりアイアンブリッジ峡谷一帯の工業化が進み、イギリスの産業革命を支えた。
アイアンブリッジ峡谷博物館の見学には、「パスポートチケット」を利用するのがよい。このチケットで「ブリスツヒル・ビクトリアタウン」「コールポート陶磁器博物館」「タールトンネル」「ジャックフィールド・タイル博物館」「ブローズリー・パイプ工場」「峡谷の博物館」「コールブルックデール鉄の博物館」「ダービーハウス」「アイアンブリッジと料金徴収事務所」「エンジニュイティー(科学体験館)」の10の施設が見られ、あわせて施設間を巡回するシャトルバスが無料で乗車できる。
地図とパスポートチケット(これは60歳超用)
【アイアンブリッジと料金徴収所(Ironbridge & Toll House)】
1779年に建造されたアイアンブリッジは、プリチャード(T.F.Pritchard)の設計による。支柱間の距離は30.6m、橋はコールブルックデールで2つに分けて鋳造され、真中で結合されている。橋の中央の欄干の飾りに「1779」の字がみえる。
西側から見た橋、橋の通路部
橋の下部
「1779」がみえる 橋のプレート
Toll House
【コールブルックデール鉄の博物館(Coalbrookdeale Museum of Iron)】
コールブルックデール一帯はコールブルックデール製鉄所があった場所である。ここにはダービーT世が最初にコークスを使用して鉄鉱石を溶解した溶鉱炉が残る。炉はピラミッド風の建物で保護されている。炉の羽口(送風口)には1638、1777の年号が書かれている。1777年はダービーV世がこの炉でアイアンブリッジの鉄材を製造した年である。周囲には製鉄所の遺構が残る。鉄の博物館は、1838年に建設された倉庫を使用して、製鉄の工程や道具類の展示、鋳造製品などの展示がある。敷地内には、アイアンブリッジ研究所と博物館図書館がある。また、敷地内に「Enginuity」と称する子ども向けの体験型科学館が併設されている。
アイアンブリッジの東約500mほどの地、セヴァーン川に沿った道路に面して、ベドラム炉(Bedlam Furnaces)がある。この他にも、川沿いの商店の裏庭などに炉の跡と思われる遺構がいくつも残っているのを見た。
ダービー炉
炉側面 投入口
製鉄所遺構 回転砥石
製鉄所遺構
鉄の博物館 展示(鋳造の様子)
展示物(石炭運搬車) 展示物(ふいご)
Enginuityの様子
Bedlam Furnaces
【峡谷の博物館(MUSEUM of THE GORGE)】
峡谷の博物館は、1840年代に作られたコールブルックデール会社の倉庫の建物が使われている。建物は、ゴシック様式で、セヴァーン川のほとりに建設され、今も川へと伸びるレールがある。この博物館の中には、アイアンブリッジ峡谷のビジターセンターがあり、最初の訪問時にはここを訪れるとよい。パスポート・チケットも販売している。
博物館建物 川に伸びる線路
【ブリスツヒル・ビクトリアタウン(Blists Hill VICTORIAN TOWN)】
1973年に公開された野外博物館で、ヴィクトリア女王時代(1837〜1901年)の産業や生活が中で営まれている。見学者は、生活や産業に働く人々の様子をそのまま見ることができる。銀行、パン屋、薬屋、印刷所などのほか、機械工場、鉱山、溶鉱炉などの産業遺産もある。ここは元々はブリスツヒル製鉄所の跡地で、溶鉱炉の遺構は当時のものである。
銀行の建物と内部
Trevithick機関車 レンガ・タイル工場
巻き上げ櫓 巻き上げ櫓のエンジン
機械工場の旋盤とドリル
錬鉄工場の蒸気ハンマーと圧延ローラー
エンジンハウス ブリスツヒル溶鉱炉
David & Sampson Beam Blowing Engine
【コールポート陶磁器博物館(Coalport CHINA MUSEUM)】
18世紀末にジョン・ローズ(John Rose)、ブレークウェー(E.Blakeway)をはじめとした者たちがコールポートに陶磁器工場をはじめたことが端緒である。いくつかの吸収・合併を経てジョン・ローズ社として有名になり、陶磁器の生産が盛んになった。1976年に古い工場を活用し、陶磁器博物館が開館した。
当時の窯の跡や実演場、展示場などがある。建物の横を流れるシュロップシャー運河(Shropshire Canal)に沿って歩くと、運河とセヴァーン川を結ぶヘイ・インクライン跡、タール・トンネルの入口に行き着く。
陶磁器博物館建物
窯の内部 古い窯の遺跡
Shropshire Canal インクライン
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