鹿児島市の近代建築          2022.8.30

 鹿児島市を訪れる機会があったので、鹿児島市内の近大建築について以下に紹介する。撮影は、2022年8月である。

地図A

■旧山下家住宅(大正桜秀館)

 トヨタレンタカーの横に建つおもちゃのような家である。1918(大正7)年竣工。

 

◎所在地:鹿児島市中央町5(地図A-1)


■日本瓦斯本社(旧日本水電本館)
 鹿児島中央駅に近い共研公園にナポリ通りをはさんで建つ。1931(昭和6)年竣工。

 

玄関前にたつ説明板には以下のように記されている。(英文は省略)
日本瓦斯本社ビル(旧 日本水電本館)
 日本瓦斯本社ビルは1931(昭和6)年、日本水電株式会社本館として建築されました。当時、周辺に高い建物は無く、その近代的な容姿は通行する人たちの目を楽しませました。1941(昭和16)年、日本水電のガス部門が独立し、新たに日本瓦斯株式会社としてスタートを切りました。「ガスビル」という愛称で市民に親しまれたこの建物は、太平洋戦争中の激しい空襲にも耐え、現在も日本瓦斯株式会社の本社として使用されています。
 当ビルを設計したのは、日本近代建築の先駆者として知られる渡辺 節氏。彼の作品の一つである綿業会館(大阪市中央区に現存する国の重要文化財)と日本水電ビルは、ほぼ同時期に建てられたものです。街路樹と調和する落ち着いた色彩の建物は、垂直線を強調した造形や要所に組み込まれた石の装飾が特徴的です。内部には、創建当時の床タイルや人造石仕上げの階段、大理石のカウンターが現存し、応接室や金庫室はほぼ当初の姿を留めています。
規模・構造/地下一階、地上三階建て  鉄筋コンクリート造  建築面積1,793m2
設計・施工/渡辺 節(1884-1967)  清水組(現 清水建設株式会社) 

◎所在地:鹿児島市中央町8-2(地図A-2)


地図B


■鹿児島中央高等学校(旧県立第一高等女学校)
 市電「加治屋町」電停から近い。1935(昭和10)年竣工。




◎所在地:鹿児島市加治屋町10-1(地図B-3)


地図C


■鹿児島市交通局武之橋変電所(復元・移設)
 
市電「武之橋」電停の横。
 前に立つ説明板には次のような記載がある(英文は略)。
鹿児島市交通局新武之橋変電所
 大正元年に路面電車の運行を開始以来、電気を送り続けてきた旧武之橋変電所は、開業当時からの姿を残す数少ない建物であり、歴史的・文化財的な価値も認められたことから、交通局舎・電社施設の上荒田町移転に合わせて、鉄筋コンクリート造の躯体の外壁に旧変電所の石材を再利用し、建築当時を彷彿させる姿で耐震性や機能性等を高めた新変電所として移築・整備いたしました。 

 

◎所在地:鹿児島市高麗町43(地図C-4)

■県立甲南高等学校(旧第二鹿児島中学校)
 1930(昭和5)年竣工。市電の電停からは距離があるので、バスを利用するとよい。鹿児島中央より(11)(11-2)(N39)、「甲南高校前」下車

 

◎所在地:鹿児島市上之園町23-1(地図C-5)


地図D

■鹿児島大学総合研究博物館常設展示室(旧鹿児島高等農林学校図書館)
 
1928(昭和3)年竣工。大学正門の南側にある。

 

◎所在地:鹿児島市郡元1-21-24(地図D-6)


地図E


■旧鹿児島刑務所正門(一部移設)
 鹿児島アリーナの横にある。1908(明治41)年竣工。市バス(5)、(8)、(24)で「中草牟田」下車、徒歩5分ほど。
 門前にある説明板には以下のように記されている(英文は略)。
旧鹿児島刑務所正門   平成27年4月17日指定 鹿児島県指定有形文化財
 旧鹿児島刑務所正門は、鹿児島県出身の司法技師(営繕課長)である山下啓次郎の代表作であり、明治41年(1908)に竣工した。山下啓次郎は司法省営繕課在籍時に「監獄改築計画」のもと、欧米の監獄を視察して、旧鹿児島刑務所を設計したとされている。建築様式は、ネオゴシック様式で、正門は2階建て、左右上方にバトルメントを持つ八角形の双塔を有し、中央に大きなアーチの出入口がある。sの上部にバラ窓の装飾を付け、全体がルスティカ積み(表面が粗い仕上げ)の石造建造物である。明治中・後期の五大監獄(千葉・金沢・奈良・長崎・鹿児島)では、これだけが石造である。解体撤去された刑務所本体も石造で、全体の配置は敷地の中軸線に対して左右対称であり、正門、本館が奥へ一直線上に並び、その背後に5棟の房舎が扇形に展開していた。西洋中世の城門風の意匠が、我が国の建築では非常に珍しいもので、厳格な刑務所の性格をよく表していておもしろい。その点からも明治建築の中で際立った貴重な遺産であるといえる。

 

 

◎所在地:鹿児島市永吉町13-9(地図E-7)


地図F

■鹿児島旧港北防波堤灯台
 南埠頭の旅客ターミナルへの道筋にある。1934(昭和9)年竣工。
 説明板には以下のような記述がある。
鹿児島旧港北防波堤灯台
 鹿児島旧港北防波堤灯台は、大正・昭和の大改修(大正12年~昭和9年)で築造された北防波堤の先端に、昭和9年(1934年)に整備されました。昭和61年(1986年)からの本港区再開発で、北防波堤は埋め立てられましたが、灯台は当時のままウォーターフロントパークに保存され、その姿形から、「赤灯台」として親しまれています。

登録有形文化財の概要
名称:鹿児島旧港北防波堤灯台
築造年:昭和9年(1934年)
特徴評価:鉄筋コンクリート造で、四角形平面とする旧ガス発生室の上に、六角形平面の鉄筋造灯塔を建て、頂部には円形の踊り場および換気口付きの灯籠が付けてあります。総高は11m。旧内務省が実施した鹿児島港修築工事の代表的遺構の一つです。
登録基準:歴史的景観に寄与しているとして平成20年(2008年)3月7日付けで国の登録有形文化財となりました。 

 

◎所在地:鹿児島市本港新町(地図F-8)


■薩摩倉庫運輸倉庫
 
南埠頭近辺に点在する石造倉庫群の一つ。1916(大正5)年竣工。



◎所在地:鹿児島市住吉町5-3(地図F-9)


■鹿児島共同倉庫
 1914(大正3)年竣工。

 

◎所在地:鹿児島市住吉町11-2(地図F-10)

■ふとんの今藤鹿児島店(旧大津倉庫)
 寝具会社の店舗として使われている。1918(大正7)年竣工。

 

◎所在地:鹿児島市住吉町12-15(地図F-11)


■GOOD NEIGHBORS(石造倉庫)
 現在は喫茶店として活用されている。竣工年は1925(大正14)年とされる。



◎所在地:鹿児島市住吉町7-1(地図F-12)


■NTT西日本鹿児島支店(旧逓信省鹿児島郵便局電話課局舎)
 天文館公園の近くにあるビル。竣工は1926(大正15)年。

 

◎所在地:鹿児島市松原町4-26(地図F-13)



地図G


■山形屋1号館(復元)
 
1916(大正5)年に建造された鹿児島最古の鉄筋コンクリート造の建物である。外装は1998(平成10)年に往時を模して改修された。

 

◎所在地:鹿児島市金生町3-1(地図G-14)


■南日本銀行本店
 1937(昭和12)年竣工。



◎所在地:鹿児島市山下町1-1(地図G-15)


■豊産業(旧鹿児島信用組合)
 石造の建物だがレンガ風タイルの外装である。竣工は1916(大正5)年。

 

◎所在地:鹿児島市泉町16-13(地図G-16)


■鹿児島市庁舎本館
 1937(昭和12)年竣工。

 

◎所在地:鹿児島市山下町11-1(地図G-17)


■県政記念館(旧鹿児島県庁舎)
 1925(大正14)年建造の庁舎の中央部のみを曳家改修したもの。



◎所在地:鹿児島市山下町14-1(地図G-18)


■鹿児島市中央公民館(旧鹿児島市公会堂)
 1927(昭和2)年竣工。2000(平成12)年に耐震工事が実施された。

 

◎所在地:鹿児島市山下町5-2(地図G-19)


■鹿児島県教育会館(修復)
 1931(昭和6)年竣工。1945(昭和20)年の戦災で内部を全焼したが、戦後修復された。



◎所在地:鹿児島市山下町4-18(地図G-20)


■鹿児島県立博物館(旧鹿児島県立図書館)
 1927(昭和2)年竣工。



◎所在地:鹿児島市城山町1-1(地図G-21)


■県立博物館考古資料館(旧県立興業館)
 1883(明治16)年竣工。西本願寺の寄付で建造された。痛みがひどいようで立ち入り禁止となっていた。
 入口には建物の由来が書かれていた。
建物の由来
明治16年 9月 県立興業館として建設(設計者不詳)された。
       壁や床は本県産の溶結凝灰岩を使用した。
       本願寺の大谷氏より1万5千円の建設資金寄付を受けた。
明治22年 4月 鹿児島市制の施行と同時に、市役所の仮事務所となり、明治25年4月現在の
       市立美術館(旧市役所)が竣工するまで使用された。
明治27年 7月 県産物陳列場と改称された。
大正 3年 1月 桜島大爆発に伴う地震により被害を受ける。
大正10年 4月 鹿児島商品陳列所と改称された。
昭和 7年 4月 県商工奨励館と改称された。
昭和20年 6月 戦災のため、内部は消失し、石造部分のみ残った。
昭和26年11月 工費250万円で博物館として再建された。
昭和28年 3月 県立図書館の強度博物資料をこの建物に移し、鹿児島県立博物館として発足した。
昭和56年 1月 新館整備に伴って県立博物館考古資料館として使用することとなった。
平成10年12月 登録有形文化財に登録された。(鹿児島県第1号)
平成14年11月 展示資料を埋蔵文化財センター及び上野原縄文の森へ移設し、閉館した。
  

 

◎所在地:鹿児島市城山町1-1(地図G-22)


■鹿児島旧港施設一丁台場
 北埠頭と陸との間の水路にみられる石積み護岸である。1872(明治5)年頃の建造といわれる。



◎所在地:鹿児島市本港新町4(地図G-23)


地図H


■異人館(旧鹿児島紡績所技師館)
 日本最初の近代的な紡績工場である鹿児島紡績所建設のために招聘されたイギリス人技師たちのための宿舎として、1867(慶応3)年に竣工。
 現在は異人館として公開されている。

 

◎所在地:鹿児島市吉野町9685-15(地図H-24)

■スターバックス鹿児島仙巌園(旧金山鉱業事務所)
 芹ヶ野島津家の金山鉱業事務所として1904(明治37)年に串木野村建造された。1986(昭和61)年に現在の地に移設された。



◎所在地:鹿児島市吉野町9688-1(地図H-25)


■磯工芸館(旧島津家吉野植林所)
 1909(明治42)年に竣工。

 

◎所在地:鹿児島市吉野町9688-24(地図H-26)


■尚古集成館(旧集成館機械工場)
 1851(嘉永4)年に島津斉彬が起こした「集成館事業」の一環として、1865(慶応元)年に建造された。1923(大正12)年に博物館として開館。
 訪問時は、耐震工事のため閉館中。開館は2024年11月の予定。



◎所在地:鹿児島市吉野町9698-1(地図H-28)


■反射炉跡
 「集積館」事業で、大砲を鋳造するために使われた炉の跡。1857(安政4)年建造。

 

◎所在地:鹿児島市吉野町9700-1(地図H-29)

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