海底線史料館   update:2017/11/20

 日清戦争により台湾が日本領土となったことから、台湾~日本間に海底電線の敷設が計画され、1896(明治29)年に陸軍省臨時台湾電信建設部が創立され、電源舎として建設されたのが史料館の建物である。電源舎とは貯線槽から敷設船にケーブルを移動させるための蒸気動力が置かれていた施設で、1968(昭和43)年まで使用された。

 この建物は老朽化のため取り壊される予定だったが、この年が明治100年にあたる年であったこともあり、長崎県教育委員会から保存の要望があり、現状保存された。1977(昭和52)年5月、この建物を活用して海底線事業の各種資料を展示する「海底線史料館」がオープンした。

 史料館に入ると、まず目につくのが古い測定器や創業当時からの海底ケーブルのサンプルの展示である。ここには漁具等で傷つけられたケーブル等の展示もある。

 次の部屋には制服や舵輪などの他に、敷設船の模型や旧事務所の模型等がある。敷設船の模型はカットモデルになっているので、敷設船の構造や働きがよくわかるようになっている。

 部屋の奥にある階段を上ると、1896年に輸入された英国製の海底ケーブル移動装置(フンドラム)が展示されている。この装置は蒸気動力やモーターで動かし、大輪にケーブルを巻き付けて移動させた。世界中でこれしか残っていないとのことである。

 海底ケーブルの敷設は過去のことだと思っていたが大違いで、現在でも安定した通信を保証するために欠くことができない。史料館を所有するNTTワールドエンジニアリングマリン株式会社によれば、2011年には日本~シンガポール間(3700km)の海底光ケーブルの敷設も行っている。

建物外観(旧電源舎:1896年)

古い測定器

ケーブルサンプル

破損したケーブル

 フンドラム

電信線貯蔵池の模型

ケーブル敷設船きずな


◆開館時間:9:00~15:00
◆閉館日:土曜、日曜、祝日
◆場所:〒850-0075 長崎市西泊町22-1 NTT-WEマリン株式会社内
◆TEL:095-865-5882
見学には、事前の予約が必要である。
◆交通:JR長崎駅より長崎バス「神の島」行きに乗車、「西泊」下車(約20分)
◆Web:http://www.nttwem.co.jp/knowledge/historical/

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