神戸港旧信号所 |
図1 旧信号所
神戸港の高浜岸壁、通称ハーバーランドに灯台のような塔が立っている。これは信号所といって、旗を使用して船舶との間で信号を交わす施設である。現在は使用されていない。この信号所は、1921(大正10)年に、神戸新港第4突堤に建設されたもので、その後、1937(昭和12)年に新港第5突堤に移設された。1985年にポートアイランドに新しい信号所が設置され、1990年に業務が移管され閉鎖された。
1992年に歴史的建造物として保存が決定され、現在の地に移設された。
図2 信号所の場所の変遷
塔の高さは、46.3m。
国際信号書に基づく旗に割り当てられた符号によって,船舶間や船舶と港との間で通信を行う方法がある。この旗を国際信号旗といい、図3のようにアルファベット、数字、その他の計40種類が定められている。この信号旗を使って通信を行う方法を旗旒(きりゅう)信号法という。
図3 国際信号旗
旗旒信号は、元々はイギリスの商船間の通信に使用されていたが、これをベースとして、1927年の第3回国際無線電信会議(ワシントン)で信号の詳細を記した「国際信号書」改訂のための特別委員会が開催され、1932年の第4回国際無線電信会議(マドリード)で決定され、1934年から施行された。
アルファベットや数字が割り当てられているからといって、旗の組み合わせで英文をつづることはまれで、略号を使用して通信をする。この略号は「国際信号書」に掲載されている。詳細を知りたい方は、"International Code of Signals"を参照されたい。
蛇足だが、上海のバンド(外灘)の南端にも信号塔がある。こうした信号塔は各地で使用されていたはずだが、意外と残っているものは少ないようである。
◆所在地:神戸市中央区東川崎町1-6-1 ◆交通:JR「神戸駅」より、徒歩15分 |
【付録】 MOSAICの監視塔
図4 監視塔
ハーバーランドには、umieMOSAICという商業施設がある。この施設の中央付近に塔が立っている。この塔は、かつて神戸港に入港する貨物船の監視塔として使われていた。塔は1914(大正3)年に建設されたといわれる。施設の建造に伴い現在の場所に移設された。 MOSAICの2階に上がると、近くで見ることができる。ここにも国際信号旗がはためいており、「WELCOME
TO MOSAIC」の意味らしい。
【図の出典】
図2:『Call signals code letters』東洋信号通信社神戸支店、1933年より
図4:"International Code of Signals"(1969Edition)より
写真は2023年11月撮影