筑豊の鉄道構造物   update:2020/05/12

 明治政府は、1886(明治19)年に福岡県令の鉄道敷設計画に対し、私設鉄道敷設の許可を与えた。1988年に九州鉄道が発足し、翌年12月に博多~千歳川間を開業した。その後、1891年8月には門司~熊本間および鳥栖~佐賀間が開業、また筑豊鉄道、伊万里鉄道、豊州鉄道、唐津鉄道等を合併した。
 1906年、鉄道国有法の成立により、九州鉄道は1907(明治40)年に国有化された。筑豊地域には、これらの古い鉄道構造物が各地に残る。

■茶屋町橋梁

 

 (2009.9撮影)

 説明板には、以下のような内容が書かれている。
市指定史跡
九州鉄道茶屋町橋梁
昭51.3.22指定

 この橋梁は明治24年4月に開通した九州鉄道大蔵線施設である。壁体は煉瓦の長手と小口を交互に積んだいわゆるイギリス積み。アーチは煉瓦の小口を五段積みにした弧型アーチで、アーチの乗る迫台は花崗岩の石積み。北側は一段ごとに煉瓦を追出して意匠としている。この点、やや小規模ながら同区内の尾倉町に残存している橋梁と同じ手法である。
 九州鉄道株式会社は門司・黒崎間の鉄道敷設にあたって経営効果の高い海岸沿いを計画したが、陸軍省の強い反対にあい、小倉からは小倉北区清水、八幡東区茶屋町を通り、大蔵川の両国橋付近から平原小学校、前田小学校の北側を通過して現在の鹿児島本線に沿い黒崎に至る路線に変更した。のち明治35年12月、戸畑線(現鹿児島本線)の開通、ついで同40年の九州鉄道の国有化、翌41年戸畑線の本線昇格と状況は変化し、一支線となった大蔵線は44年9月廃線となった。
 市内には鉄道敷設当時の施設で残されているものは数少なく、この橋梁は本市の交通史上貴重である。
 なお、この橋梁は廃線後の一時期、多少手を加え歩道橋として活用しており、昭和51年3月 復元した。

北九州市教育委員会
■所在地:福岡県北九州市八幡東区茶屋町
■交通:「西小倉」駅前より、西鉄バス[1]黒崎バスセンター行きに乗車、「岩渕橋」下車、徒歩5分


■尾倉(おぐら)橋梁

 (2009.9撮影)

 説明板には、以下のような内容が書かれている。
九州鉄道尾倉橋梁

 この橋梁は明治24年(1891年)4月に開通した九州鉄道大蔵線の施設です。壁体は煉瓦の長手と小口を交互に積んだイギリス積み。煉瓦の小口を5段積みした弧型アーチで、アーチの迫台は煉瓦積の上に花崗岩をのせた構造。これは同区内にある市指定史跡である茶屋町橋梁と同じ手法です。
 九州鉄道株式会社は門司・黒崎間の鉄道敷設にあたって経営効果の高い海岸沿いを計画したが、陸軍省の強い反対にあい、小倉からは小倉北区清水、八幡東区茶屋町を通り、大蔵川の両国橋付近から平原小学校、前田小学校の北側を通過して現在の鹿児島本線に沿い黒崎に至る路線に変更しました。のち明治35年12月、戸畑線(現鹿児島本線)の開通、ついで同40年の九州鉄道の国有化、翌41年戸畑線の本線昇格と状況は変化し、一支線となった大蔵線は44年9月廃線となりました。
 市内には鉄道敷設当時の施設で残されているものは数少なく、この橋梁は本市の交通史上貴重なものとなっています。

平成7年3月
北九州市立平原小学校80周年記念事業委員会 
■所在地:北九州市八幡東区尾倉1丁目
■交通:JR「八幡」駅南口下車、南東方向に徒歩15分


■欅坂橋梁
 欅坂橋梁は、JR日田彦山線の採銅所~香春(河原)間にあるねじりまんぽ橋梁である。竣工は1915(大正4)年。

 

(2009.9撮影)

■所在地:福岡県田川郡香春町大字採銅所
■交通:JR日田彦山線「香春」駅下車、北へ徒歩30分


■第二金辺川(きべがわ)橋梁
 欅坂橋梁の横にある鉄橋。竣工は1915(大正4)年。

 

(2009.9撮影)

■所在地:福岡県田川郡香春町大字採銅所
■交通:JR日田彦山線「香春」駅下車、北へ徒歩30分


■折尾高架橋
 1914(大正3)年に建造されたレンガアーチ橋。ねじりまんぽ構造になっている。

 

 (2009.9撮影)

■所在地:福岡県北九州市八幡西区南鷹見町
■交通:JR「折尾」駅下車、すぐ。


■旧折尾駅舎と駅地下道
 1891(明治24)年に九州鉄道が開業、少し遅れて筑豊興業鉄道が開業し、1895(明治28)年に両社は共同駅舎とし、立体交差とした。旧駅舎は1916(大正5)年に改築されたものである。構内の地下道は1911(明治44)年に完成したものである。

 (2009.9撮影)

■所在地:福岡県北九州市八幡西区堀川町


■内田川橋梁
 1895(明治28)年に豊州鉄道が行橋~伊田間が完成し、内田川橋梁はこのときにできたものである。豊州鉄道は九州鉄道に合併、のちJR田川線となり、1989(平成元)年に平成筑豊鉄道となった。橋梁の南側はレンガ積み、北側は切石積みと見る側でまったく違う印象の橋梁である。

 (2009.9撮影)

■所在地:福岡県田川郡赤村大字内田818-5
■交通:平成筑豊鉄道「内田」駅下車、南へ徒歩15分。


■内田川橋梁近くで見た架道橋

 (2009.9撮影)


■勾金(まがりかね)駅のランプ小屋
 勾金駅は、1885(明治18)年に 豊州鉄道の初代の香春(かわら)駅として開業した。1943(昭和18)年に勾金駅となる。(旧・小倉鉄道の上香春駅が2代目香春駅となった。)

 

■所在地:福岡県田川郡香春町大字中津原1679-2


■中津原橋梁
 1895(明治28)年に開通した豊州鉄道の橋梁として建造されたものである。近くには小倉鉄道が1915(大正4)年頃に建造した橋台のみが残る橋梁跡がある。

 

(2009.9撮影)

■所在地:福岡県田川郡香春町大字中津原地先
■交通:平成筑豊鉄道「勾金」駅下車、西へ徒歩10分


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