三菱重工長崎造船所史料館   update:2017/11/20

 この史料館の建物は、1898(明治31)年に三菱合資会社三菱造船所の鋳物工場に併設の木型場として建設された造船所内で最古の建物である。史料館は、1985(昭和60)年に、造船所が所有する資料の展示を目的に開館された。
 三菱重工長崎造船所には2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」を構成する史跡がこの史料館も含めて5つある。占勝閣、ジャイアント・カンチレバークレーン、第3船渠は造船所の敷地内にあるがいずれも非公開である。また、港の東側に小菅修船場跡がある。こちらは見学可能である。
 史料館の中央には三菱重工関連の機械がずらりと並ぶ。一番の見どころは、オランダから1857(安政4)年に輸入した竪削盤であろう。長崎鎔鉄鉄所建設のために徳川幕府が輸入したものである。日本最古の工作機械である。また、国産1号蒸気タービンも展示されている。英国パーソンス社との技術提携で1908(明治41)年に三菱が製造した。パーソンス式反動タービンという型式のもので、出力500kW、回転数2400rpmで、1897(明治30)年~1920(大正9)年まで使用された。この他にもタービン等が並び、一番奥には関西電力尼崎第1発電所1号タービンが設置され、その大きさには目をみはる。
 機械類の周囲を様々なコーナーが囲む。三菱重工の歴史、戦艦武蔵コーナー、会社生活コーナー、造船コーナーや岩崎家コーナーもある。
 史料館の外にも、発電所のタービンや蒸気ドラムなどがあるので、見逃さずにおきたい。入口にある鉄の箱は「泳気鐘」という人が入って水中に沈める潜水具のようなものである。1834(天保5)年にイギリスから輸入された。長崎鎔鉄鉄所建設の際に岸壁の築造水中工事に使用された。

 建物外観

竪削盤(1856年製造)

国産第1号蒸気タービン(1908年製造)

白鷹丸の往復動式蒸気機関(1928年製造)

破壊事故を起こしたタービンの破片(1970年に事故発生)

スクリューのプロペラ推力を測る動力計(1907~1957年使用)

91式魚雷のカットモデル(1932~1945年まで製造される)

尼崎第1発電所1号タービン(1933年製造)

泳気鐘(1834年輸入)

館内

館内(頑丈な作りとなっている)

尼崎第2発電所1号タービンローター(1937年製造)


◆開館時間:9:00~16:30
◆閉館日:毎月第2土曜、12月29日~1月4日
◆場所:〒850-8610 長崎市飽の浦町1-1
◆TEL:095-828-4134
見学には、事前の予約が必要である。
◆交通:JR長崎駅より専用バス(1)8:40、(2)9:30、(3)10:20、(4)13:15、(5)14:05、(6)14:55
     上記専用バスでのみ見学可能(乗車時に800円徴収される)
◆Web:http://www.mhi.co.jp/company/facilities/history/

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