御坂サイフォン橋 |
JR三ノ宮駅の東端にある神姫バスのターミナルから「御坂・西脇営業所」行きの急行バスに乗る。新神戸トンネルを抜け、しばらく行くと田園風景が広がっていた。35分ほどで「御坂」(みさか)に到着。運賃670円。バス停の北側にサイフォンの鉄管が見えた。南に歩けば5分ほどで、サイフォン橋に至る。橋の東側が旧橋で、鎖で囲まれ、通行禁止になっている。そのまま5分ほど歩けば、出口の方の鉄管があらわれる。
河原に下りるには、橋の北側に1mにも満たない小道がある(西側)。下っていくと、コンクリート製の小橋があり、眼鏡橋と呼ばれる橋の形がよくわかる。しかしこれは新しい橋の方で、旧橋は陰にかくれて見えない。水量が少ないときならば、河原を伝っていって旧橋を見ることが可能だ。私が訪れたのは晴天続きの冬場だったので、河原の枯れ草をこいで、橋の反対側に出ることができた。訪れるなら冬場がおすすめである。
橋の南側には、サイフォン橋の説明がある。降りたバス停の道路をへだてた反対側にも説明文がある。こちらにはサイフォン橋の原理が図解されているので、参考にするとよい。文面は以下の通り。
御坂のサイホン(眼鏡橋) 「御坂のサイホン」は、淡河川(神戸市北区淡河町)から加古台地への引水のために淡河川疏水工事が、明治21年(1888)から明治24年(1891)にかけて施工されたとき、山から志染川を経て向かいの山へ導水するために造られたものです。山から川を通って向かいの山へ水を運ぶこの工事は、わが国初のサイホン(噴水管)工法が用いられました。当時としては画期的な大事業で、御坂神社の前を流れる志染川の清流にかかる部分は、眼鏡橋として親しまれています。 淡河川疏水は、疏水としては琵琶湖疏水(滋賀、京都)、安積疏水(福島)とともに”三大疏水”に数えられるものですが、大きな特色は他の二つの疏水が国策として建設されたのに対し、淡河川疏水は地域住民が自費で完成させようとしたことです。なお、サイホンの設計は、わが国初の横浜近代水道を建設し、神戸近代水道の計画書をつくったイギリス陸軍少将ヘンリー・スペンサー・パーマーによるものです。 御坂のサイホンは何度か改修されましたが、眼鏡橋の姿は今でも周囲と美しい調和を保っています。 ●所在地:三木市志染町 ●河川名:美嚢川・淡河川・志染川 ●アクセス:神姫バス「御坂」バス停まで徒歩すぐ |
南側の鉄管の場所には淡河川疎水の説明文がある。文面は以下の通り。
淡河川疎水 神戸市北区淡河町木津の川から引かれたこの疎水は、総延長26.3kmの水路である。 明治24年に完成した水路には、28カ所の隧道(すいどう)があり難工事であった。中でも芥子山(けしやま)隧道は、土質がくずれやすく湧水が多いため請負人手に負えず、県の直営工事に改められた。 3年4ヶ月を要した隧道も同25年に初めて宿願の新田開発を潤した。しかし豪雨によって築堤は崩壊し、明治27年に復旧完成した。 |
北東側の鉄管 南西側の鉄管
現地の説明図を参考に作成
(橋の長さ52.4m、石アーチにコンクリート吹きつけ)
サイフォン橋の上部(南側より撮影)
新橋(小橋より撮影) 旧橋と新橋
旧橋
【御坂サイフォン橋】 ◆所在地:兵庫県三木市志染町 ◆交通:神姫バス「御坂」バス停下車、徒歩5分 【三ノ宮バスターミナルからの発車時刻】(2009.1現在)平日・日祝日とも
【御坂バス停からの三ノ宮行きバス時刻】(2009.1現在)
★印が橋がよく見える場所 |