update:2019/07/21

円形計算尺

計算尺はフランスのA.Mannheimが1850年に、乗除、二乗・平方根などが計算できる道具を発明したとされます。日本ではこのマンハイム尺をもとに逸見(へんみ)製作所が生産を行いました。

通常の計算尺は下図のような細長い形状ですが、今回は持ち運びに便利なように円形のものを作成しました。

 

計算尺の計算の原理は、対数を使ったもので、log10(A×B)=log10A+log10B のように、かけ算が対数では足し算になることを応用したものです。割り算は引き算になります。また、平方根や二乗は、log10A2=2×log10A のように目盛りを1/2や2倍にすればよいのです。

今回のように円形にするには、対数目盛を360°に割り振ってやればよいのです。

 

《材料》

・ケント紙A4版、

・PET樹脂板(16×60mm厚さ0.5mm)(私が使ったものはアクリルサンデー社の「PG-1 透明」というもの、0.3~0.5mmくらいの透明樹脂ならなんでも大丈夫です)。

 

・割ピン(NO.6)(全長20mm)

 

インクジェットプリンタ用透明フィルムラベルシート(A-one社の28791等)

 

《製作》

(1) ここ から元図(PDF)をダウンロードして印刷してください。(できればレーザープリンタで。インクジェットなら高品質で印刷して下さい)

 

(2)カッターで円形に切り抜きます。(カッターはデザインナイフといわれるものが使いやすい。例えばNTカッターD-400など)

 

(3)中心部も慎重に丸く切り抜いてください。

 

(4)樹脂板に赤線を印刷したフィルムをはりつけます。(目盛り用の赤線を入れるのにいろいろやってみましたが、これが一番うまくいきました)

樹脂板の四隅を2~3mmくらいカットし面取りします。

 

(5)大きい円、小さい円、樹脂板(貼った方を下にする)の順に重ね、上からピンを押し、裏側で足を開きます。

 

(6)大円と小円の目盛りがずれていないことを確認してください。(ずれている場合は中心円がうまくあけられていないためです。大円と小円を動かして微調整ができればよいですが、そうでなければ作り直しです。)

 

 

【計算のしかた】

製作の時にダウンロードしたPDFに計算の仕方が説明してありますので参照してください。練習問題もつけておきました。

 

計算尺の計算結果は、有効数字3桁で読み取ることができます。しかし、位取りは出ませんので、問題の数の概算を考えて位取りをするという手間がかかります。たとえば、57.2×3.14= という問題では、計算尺は1.77という数字しか表示しません。位取りを考えるには、50×3=150 と考え、177 が答えだとするのです。

今の若い人たちは電卓しか知らないので、こういう概算というものに慣れていません。でも、概算という考え方はとても重要だと思いますので、こういう体験も重要ではないかと思います。慣れれば電卓よりも早く計算できます。