手回し発電機をつくる
以前、工業高校の教員をしていた時に、1年生の実習で製作していた「手回し発電機」を再現してみた。当時は豆球を点灯させていたが、今回は白色LEDが点灯するようにした。
写真では、LEDの横に端子が付いているが、発電した電気を他で使用するためのもので、スイッチで切り替えるようにした。図面ではLEDを点灯するだけのものも示している。
(1)ギアボックスの組み立て
タミヤ模型の「ハイパワーギアボックスHE」というギアセットを使用した。他にも使えるギアボックスはあるが、これが一番丈夫であるように思われる。
説明図を見て組み立て、両端に穴があいた軸を使用する。取り付けの関係から、この軸は下図のようにずらして取り付けておく。
(2)ケースの加工
タカチのSW-100というケースを使用した。パーツ店で購入できる。(大きさ:W65×H35×D100)
このページの最後に製作図面をダウンロードできるようにしてあるので、この中の加工図を切り抜き、ケースに合わせて貼り付け、必要な点を千枚通しなどで印をつける。その後、ドリルで穴あけをする。
(3)コイルを巻く
トロイダルコアにエナメル線を巻く。トロイダルコアは直径12.8φのものを使用した。このコアの内径は7.7[mm]で、巻いた穴に5φのLEDがちょうど収まる。
0.5φのエナメル線(ポリウレタン線)を1[m]用意する。1/3のあたりを5回ほどねじる。ここが中間タップとなる。このタップの部分をコアにあてて片側を巻く。巻き終わったら10[cm]ほど残して線を切る。次にタップの反対側を巻く。巻く向きは同じ向きである。つまり一本の線を巻いて途中からタップが出ているようにすること。向きを間違えると発振しないので注意。巻き終わったら10[cm]残して線を切る。(巻数は回路図に書いておいた。)
タップ部分は先端部の塗料をしっかりはがしておく。コイルの巻き始め、巻き終りも塗料をコアのぎりぎりまではがしておく。
(4)プリント基板の加工
プリント基板はサンハヤトのICB-88を使用した。この基板を31×23[mm]の大きさにカットする。穴のところにカットの線をあわせている。取付図をみて、取付用の穴をドリルであける。
(5)回路の組み立て
取付図をみて、部品を取り付ける。ハンダ付けで配線をする。注意点はコアの中心に取り付けるLEDの足の長さである。うまくケースの穴から顔を出すように調整すること。配線が終わったら、(+)の線と(-)の線を10[cm]ほど出しておくこと。
基板の(+)(-)に乾電池をつなぎ、動作を確かめる。LEDが発光しないときは回路をよく点検すること。
(6)組み立て
最初に、プリント基板をケースに取り付ける。
次に、ギアボックスを取り付ける。ネジ止めがやりにくいが、がんばろう!
最後に、ギアボックスのモーターと基板の配線をつなぐ。
ギアボックス付属のクランクで回すための取っ手をつくる。軸の穴に付属のピンを挿入し、取っ手を取り付ける。
【動作の説明など】
この発電機は、モーターを発電機として利用したもので、最大3[V]近い電圧が生ずる。赤色などのLEDならば直接つないで発光させることができるが、白色LEDは発光電圧が3.5[V]以上必要なため、そのままでは発光しない。そこで昇圧回路が必要となる。
回路は、ネットにあったここの回路を参考にした。
注意点は、発電機を回す時に、最初はゆっくりと、次第に速く回すようにすることである。最初に強い力を加えると、モーターに付いているピニオンギアがわれてしまい、回転がモーターに伝達できなくなってしまう。予備のピニオンギアを購入しておくと安心である。
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