西宮砲台 |
阪神電車「西宮駅」から、西宮神社をめざして歩き、神社の前の通り「西宮港線(県道193号)」を南下、30分ほど歩いた御前浜公園の東端に西宮砲台がある。道路と砂浜を隔てる高い防波堤を越えると、一見コンクリート製のような灰色の円形の建物が姿を現す。
西宮砲台は、江戸時代の末期に、大阪湾の防衛のために作られたものである。砲台は松杭の土台の上に花崗岩で築かれ、その外側に漆喰を塗って作られている。工事は1863(文久3)年に始まり、1866(慶応2)年後半に完成した。説明板には以下のような記述がある。
西宮砲台 所在地/西宮市西波止町字西波止 所有者/阪神電気鉄道株式会社 管理者/西宮市教育委員会 大正11年3月8日国指定 江戸時代末、国防不安を感じた江戸幕府は、大阪湾に砲台を築き、本格的な摂海防備に着手しました。砲台の位置は勝海舟が計画し、西宮ではこの「西宮砲台」のほか、今津にも築かれました。 西宮砲台の建設は1863年(文久3)に始まり1866年(慶応2)後半になってようやく完成しました。砂地に建てるため多数の松グイを打ちこんで地盤をかたくし、その上に、瀬戸内海中部の島島から運んだ花コウ岩を積み上げています。通常の2倍の賃金を支払って熟練工を集め、突貫工事で完成を急ぎましたが、あしかけ4年を要する難工事となりました。 砲台の高さは約12m、直径約17mで、外側には漆喰が塗られています。2層目に見られる12個の孔は、大砲で四方をねらうための11個の砲眼と窓で、内部には井戸、弾薬庫が設けられました。完成後試射をしましたが、煙が内部に充満し実際に使うことはありませんでした。 |