オルダム継手をつくろう    2022.04.11
 
図0

 オルダム継手(Oldham's coupling)とは、回り両スライダ機構(Turning Block Double-slider Crank Mechanism)の一種で、二つの軸が平行で中心がずれている場合に、回転を伝えることができる機構である。この継手は、1821年、外輪船のパドル設計の際に考案され、発明者であるJohn Oldham(アイルランド)にちなみ名付けられた。

図1 図2

 図1のように3枚の円板があり、aとcには円板直径に沿ってみぞが切ってある。bの円板には両面に互いに直角をなす突起がある。bの突起はaとcのみぞに入るようになっている。aが回転するとb、cも回転するが、軸がずれているため、突起とみぞがすべっていき、同じ回転数で回転が伝えられる。

1.材料の加工
 円板は、東急ハンズで「円板45φ6」という、直径45mm、厚さ6mmの木製円板が2枚入ったものが、165円で売られていたので、これを3パック購入した。円板には中心が書かれていないので、まず円の中心を求めることにした。
 円板の中心を求めるには、直角の角に円板をはさみ、45度の三角定規をあてて線を引けばこの線は円の直径で中心を通る線である。しかし三角定規の精度もよくないようで、一度線を引いても反対側から引くと線がずれていた。こうして都合6本線を引き、その中心が円の中心であるとした。

図3 図4

 3枚の円板はそのまま土台とし、残り2枚を図3の寸法に切って土台に接着すればよいと考えた。ところが、のこぎりのあさりの厚さはけっこうあり、私の加工の腕も悪いこともあって、できたものは突起とみぞのすきまがありすぎたためボツ。円弧の方は活用することにして、突起部分は別の板から切り出した。

図5 図6

 図5は円弧の部分を土台の円板に貼り付けたようすである。土台の円板には接着の前に5キリの穴をあけておくことを忘れずに。図6は5mmの丸棒をとりつけた状態のものである。

図7

 図7は別の板材から切り出した突起を土台に貼り付けたようすである。突起は直角である必要があるので、あらかじめ円板上に作図しておくこと。

図8

 図8は上から全体をすえつける土台の板(100×70×5)、軸となる柱(□20×50)2本。あらかじめ30の位置と40の位置に5.2キリの穴をあけておく。一番右はハンドルである。ハンドルにあける穴は5キリである。

2.組み立て

図9

 組み立ては、まず一方の軸受けの柱を土台に接着した。一度に2つの軸受けを接着すると、途中で動いてしまうことがあるので、片方ずつやるとよい。軸は平行であることが重要なので、ずれないように気をつける。

 最後に、全体図を示しておく。

 
図10

図11

【参考】
・森田鈞『機構学』実教出版、1974.9
・"Coupling"~ウィキペディア(英語版)2022.4.11閲覧
・Yutaka Nishiyama "From Oldham's Coupling To Air Conditioners"International Journal of Pure and Applied Mathematics Vol.81 No.1 2012, 81-90

<ものづくりのページに戻る>

<HOMEに戻る>