かつて、木曽川、長良川、揖斐川は網の目のようにながれており、それぞれの川を荷を積んだ船が航行していました。昔は、大量の物資を運ぶためには舟運にたよるしかなかったのです。
しかし、これらの川は、洪水のたびに大きな被害を流域の村に与えてきました。そこで、これらの川を独立して流れるようにして、他の川の洪水被害を避けるような工事が行われました。1755年の宝暦の治水や、1887年〜1912年の明治の改修はこうした考えで行われました。
それぞれの川が独立したため、別の川に行くためには、一度河口に出て回らなくてはならず、不便に思われていました。そこで、川の間に閘門を設け、舟運を便利にするようにしました。
船頭平閘門は、1899年に工事着工し、1902年に完成しました。その後、老朽化のため、1994年に改修工事が行われました。現在も使用されている閘門です。
船頭平閘門は、「@わが国で数少ない明治期に建造され、現在も使用されている閘門である、A複閘式閘門としてわが国最初期のものである、B躯体、門扉共に近代的部材、工法で建設された閘門である」という理由で、2000年に重要文化財に指定されました。
ヨハネス・デ・レーケの像
1902〜1993年まで使われた鉄製ゲート
船頭平閘門は、船頭平河川公園の中にある。公園内には木曽川文庫があり、宝暦治水、明治改修などの治水の歴史を紹介しています。
船頭平閘門の横には、以下のような通航規程があります。
閘門通航規程(大正4年2月4日内務省令第1号) 改正 昭和33、12、3、建30 第1条 閘門通航の時間、舟筏の長幅及吃水に関する制限は之を告示す。 第2条 暴風雨、出水、高潮、其の他必要と認める場合に於ては前条に依る告示の時間に拘はらず何時にても舟筏を通行せしめ、又其の通行を停止することあるべし。 第3条 閘門を通航せんとする汽船は予め適当の距離に於て音響等を発すべし。 第4条 閘門を通航せんとする者は、監守人の指示する場所に舟筏を停め其の出入に付き、監守人の指図に従ひ、到着の順序に依り舟筏を徐航せしむべし。 但し監守人に於て必要と認むるときは、通航順序を変更せしむることあるべし。 第5条 閘門を通航せしむとする者は、監守人の要求ありたるときは、舟筏の乗組員、所有者、及び乗客の住所、氏名、発着地、其の他の事項を告げ船鑑札又は営業鑑札を示すべし。 第6条 閘門通航の際は劔鳶其の他閘門及び附属の設備を毀損すべき器具を使用し、又は掛帆の儘通航すべからず。 第7条 閘門又は附属の設備に舟筏を繋留し若しくは接触せしめ其の為通航の妨害と為るべき行為を為すべからず。 第8条 閘門内に於て石炭、灰燼、塵芥、其の他の物件を棄擲すべからず。 第9条 閘門通航の妨害又は、閘門毀損の原因となるべき難破物その他の物件は指定の期間内に其の所有者に於て之を除却すべし。 第10条 舟筏の乗組員及乗客は本規程に定むるものの外閘門の通航に関し監守人の指図に従ふべし。 第11条 第1条に依る制限に違反したる者、第2条に依る通航停止中通航したる者、第6条に違反したる者、又は第9条に依る命に従はざる者は、三万円以下の罰金又は拘留、若くは科料に処す。 第12条 第4条、第5条、第7条、又は第8条に違反したる者は拘留若くは科料に処す。 第13条 第3条又は第10条に違反したる者は科料に処す。 附則 第14条 本規程は大正4年3月1日より之を施行す。 第15条 明治38年4月内務省令第11号船頭平閘門通航規程は本規程施行の日より廃止す。 附則(昭和33年12月3日建設省令第30号) 1.この省令は公布の日から施行す。 2.この省令の施行前にしたる行為に対する罰則の適用についてはなお従前の例による。 国土交通省 |
◆所在地:愛知県海部郡立田村 船頭平河川公園内(見学は自由)
◆交通機関:近鉄名古屋本線「近鉄長島駅」またはJR関西本線「長島駅」で下車、徒歩60分 |