末浄水場は、犀川の水を水源とする浄水場で、江戸時代に造られた寺津用水から分水した水を使用している。末浄水場の開設は、1930(昭和5)年で、金沢市最初の浄水場である。開設時には緩速ろ過方式(沈殿池3池、ろ過池6池)の浄水システムを使用していたが、1965(昭和40)年に完成した犀川ダムからの給水に伴い、急速ろ過方式(沈殿池5池、ろ過池12池)の浄水システムも稼働している。
1985(昭和60)年に近代水道百選に選定される。2001(平成13)には、緩速系施設が国の登録有形文化財に登録される。また、2010(平成22)年には、国の名勝に指定される。
前庭の泉水
緩速ろ過池上屋
緩速沈殿池 直径165cm水道管
末浄水場にある「国指定名勝」の説明
国指定名勝 末浄水場園地 江戸時代に造られた寺津用水から分水することにより、昭和5年(1930年)に解説された金沢市最初の浄水施設であり現在も陶磁の浄水施設が稼働している。 特に、昭和7年(1932年)に完成した浄水場の前庭は、噴水を伴う東屋及び幾何学的な意匠を持つ泉水から成り、浄水場全体の計画軸線及び造園的意匠を定めるに当たって基点を成したことに特徴がある。それは近代の浄水場に相応しく、吹き上げる動的な水の 姿を活かした整形式の独特の造形・意匠に基づくものである。 金沢の上水道計画については、大井清一京都帝国大学教授の指導の下に、大正12年(1923年)に調査主任として採用された石井一夫が実施計画を行い、昭和3年(1928年)以降は金沢市水道事務所長兼技師長として園地の設計に深く関わったことが想定できる。石井は名古屋市・函館市・別府市の水道設計に関わり、昭和12年(1937年)に完成した稲葉地配水塔(名古屋市中村区)においては、水道施設と軸線を揃えて噴水を設置するなど末浄水場とも共通する空間意匠の設計を行ったことが知られる。 このように、泉水・噴水施設・東屋から成る前庭は、浄水施設の計画軸線を定める上で重要な基点を成すとともに、浄水場全体に張りめぐらされた水の機能的な浄化経路において象徴的な意義を持っていたものと考えられる。近代的な造園意匠を取り入れた末浄水場の園地として芸術上・鑑賞上の価値は高い。 国指定名勝 平成22年2月22日指定 |
◆所在地:石川県金沢市末町1−1(入口は、犀川小学校東側の道路より) ◆交通機関:JR「金沢駅」より北陸鉄道バス11番、16番「東部車庫」行に乗車、「東部車庫」下車、 |