四日市港 末広橋梁   update:2018/05/03



 末広橋梁は、千歳運河にかかる鉄道用の可動橋で、1931(昭和6)年12月に完成した。現在も太平洋セメントの荷を運搬している、現役としては日本唯一の可動橋である。全長58m、幅4m、跳ね上げ部長さ18m。通常、橋脚は跳ね上げられた状態で、列車通過時のみ橋脚を降ろす。
 末広橋梁の南側にある臨港橋から橋梁がよくみえる。この臨港橋は自動車・歩行者用道路だが、船舶が通行するときのみ、橋が跳ね上がる。
 撮影時は、平日7時頃のものだが、橋脚が下がっており、貨物列車の運行が予想されたが、1時間ほど待っても通過しなかった。あるウェブページには休日は橋脚がおりたままという記述があり、ゴールデンウィーク中の平日だったため、降りたままだったのかもしれない。
 操作小屋の近くに説明板が設置されている。以下に内容を記す。
国指定重要文化財<建造物 近代化遺産>
末広橋梁(旧四日市港駅鉄道橋) 平成10年12月25日指定

 末広橋梁は、現役では最古の鉄道可動橋で、昭和6年(1931)12月に製作されました。
 この橋梁は、四日市港修築事業で埋め立てられた末広町と千歳町の間の千歳運河に架けられています。四日市
港修築事業は、明治43年(1910)から昭和3年(1928)までと、昭和4年から同11年までの2期にわけて行われました。千歳運河への架橋は第2期修築事業中に行われ、末広橋梁の他にも、幹線道路には可動橋である臨港橋も架けられました。
 第四連目の三連が可動橋本体部にあたります。中央の一連(第三連目)が、第二橋脚上に立てられた門型鉄柱側に跳ね上がる跳開式の可動橋です。稼動部分の前後に係るプレートガーダーには、明治時代の「作練式」という桁が使用されています。橋梁の設計は、山本卯太郎の主宰する山本工務所が行いました。
 山本卯太郎は、近代日本における橋梁コンサルタントの草分け的存在であり、可動橋を専門としました。末広橋梁は、彼の代表的橋梁作品として橋梁技術史上高い価値があります。
 また、四日市港の発展過程のなかで、陸上輸送と運河舟運が拮抗していた時代状況を物語る典型的な土木構造物であり、四日市港港湾施設とともに我が国の近代化を示す代表的な施設です。

近代化産業遺産
 末広橋梁は、経済産業省から「大量輸送を支えるため近代化・国産技術化が急がれた鉄橋・鋼橋の歩みを物語る近代化産業遺産群」に認定されました。 (平成21年2月23日認定)

平成21年6月 四日市市教育委員会




 

臨港橋


◆場所:三重県四日市市末広町~千歳町
◆交通:近鉄四日市駅またはJR四日市駅より「四日市港」行きバスで、
     「四日市港口」下車、徒歩5分

写真は2018年5月撮影のもの
 

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