単針電信機をつくろう    2021.9.28
 
図1

 図2は、1837年にクック(William Fothergill Cooke)とホィートストン(Charles Wheatstone)が製作した5針式電信機です。二人は特許を取得した後、ロンドン駅ユーストンスクエア~カムデンタウン間(2.4km)で実験を行ない成功させています。5針電信機は、5つの針のうちの2針を使用し、針の指し示す文字を読み取るもので、図3では、「V」を示しています。電信機は開業間もない鉄道の連絡手段として使用されました。しかし、5針電信機では6本の電線を地中に埋設しなければならず不経済だったので、針の数を減らした2針電信機や単針電信機へと改良されていきました。

図2  図3

 図4と図5に2針電信機、単針電信機の写真を示します。2針電信機も単針電信機も英数字を符号化して送るものです。針を右に振らせたり、左に降らせたりする方法を組み合わせて文字を符号化しました。図6に図5のパネルに描かれた符号を示します。

図4 図5

図6

では、単針電信機をつくってみましょう。2針や5針は数を増やせば製作できます。この製作では、磁針は方位を調べるコンパスを使いました。磁針を振らせるコイルは自作しました。

(1)用意するもの
 MDFボード(厚さ3mm):必要量、 エナメル線(0.5φ:必要量)、 コンパス:2個、 ターミナルT-16:赤黒各1
 小型6Pはねかえりスイッチ(ミヤマMS500J):2個、 小型3Pスイッチ(ミヤマMS500AB):2個、 ビニール被覆線:必要量、
 電池スナップ:2個、 電池ボックス(1個用、単1~単3どれでも):2個、 電池:2個

(2)コイルの製作
 コイルにどのような形状のものを用いるか検討したが、5針電信機に使われているコイルのみのものがよかった。論文等で電磁石を使用しているものがあるが、こちらの方がよいと思われた。
 MDFボードの寸法(Aはコンパスの磁針の長さ)

図7

図8

図9 図10

 外枠となる板の端に2ケ所エナメル線を通す穴をあけておく。中枠と外枠をボンドで接着する。この巻き枠を2つ作る。
 枠ができたら、エナメル線を巻く。往復巻くと約50巻となる。(巻く向きは気にしなくて良い.装着時に極性を確認するため。)両端を10cmほどのところで切る。両端をサンドペーパーで磨いておく。

(3)コイルの極性の確認
 コイルの上にコンパスの磁針を置き、N極の針が右に触れるときの電池の接続の向きを(+)とし、反対を(-)として印をつけておく。

(4)表示台をつくる
 コンパスを置く台をつくる。この台には、スイッチを取り付ける穴もあける。

図11

図12

(5)接続図
 電信機の台の配線は以下のようにします。
 スイッチ1は、送受信の切り換えです。 S:送信、R:受信  スイッチの配置は縦に動くように取り付けます。
 スイッチ2は磁針の振れる向きを切り換えます。配置は横に動くようにし、振れとスイッチの動きを一致させます。

図13 図14

電信機どうしの接続は図15の通りです。

図15

(注)2台の電信機を同時に送信モードにすると、電池が互いに逆に接続される回路となることがあります。同時に送信モードにはしない方がよいでしょう。
 (送信終了の合図をつくり、それを受信したらモードを切り換えるとよい。)

【写真の出典】
図2:ロンドン科学博物館にて筆者撮影(2013.9)
図4:ロンドン科学博物館の収蔵資料HPより
図5:フランクフルト通信博物館にて筆者撮影(2015.8)
他の写真及び図は,筆者が撮影または作図したもの。

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