トコトコ(その2)    2022.12.01

 以前に坂道をトコトコ下るおもちゃを紹介しましたが、『おもちゃの科学』(酒井高男著、講談社ブルーバックス、1977.2)という本に、関連する製作記事がいくつも掲載されていることを知りました。古書を購入し、まずは、図1のような写真をたよりに製作を検討してみました。
 このおもちゃは、半円形の一部に切り欠きを設け、ここにパイプをおさめ、坂道で本体がゆれると、パイプが本体との間にはさまり、本体が移動し、動いていくというものです。本には詳しい製作図がないため、あれこれ考えなくてはいけません。本では、切り欠きと針金の位置を本体の中心からずらすことで、バランス移動をさせているようです。私は、中心部に切り欠きを作り、重りを本体につけることでバランス移動をするように考えました。

図1

 材料は、以前につみ木を作った残りのカツラの木があったので、これを使いました。厚さ30mmだったので、少々疲れました。15~20mmくらいでも十分いけると思います。重りは東急ハンズで売っていた木製ハガキのズビンガを使用しました。余りの木を使いましょう。パイプは真ちゅう製のパイプ(外形5mm、内径4mm)を、支えのワイヤは16番の針金です。

図2 本体

図3 重りの木

図4 黄銅パイプ

図5 ワイヤの加工図

1.材料の加工について
 本体の切り欠きは、ノコギリで切り欠き部分を切って、ひたすら木工ヤスリで削りました。ノミなどをお持ちの方はノミを使った方が早いと思います。
 ワイヤの折り曲げは、パイプを通してから折り曲げていきます。寸法はだいたいですから、実物にあわせて折り曲げて下さい。幅は多少広くても問題ありません。本体に取り付けたときにスムーズに動くことが大事です。

2.調整

 重りをどのあたりに付けるかが最も重要な点になります。最初、単4電池を使ってやってみたところ重すぎました。それで徐々に軽いものを試してみたところ、木製の重りに行き着きました。本体上部の平らな面への取り付けも考えましたが、重心が高くなりすぎて安定しませんでした。結局、図の位置に落ち着きました。微妙なバランスで動いているので、まずは両面テープなどで最適な位置を決めてから接着してください。
図6 重りの位置(参考に)

 図7が完成図です。こういう微妙なバランスで動くおもちゃは、作る楽しみと、調整する楽しみがあります。

図7 完成図

 坂道は、300mm長のバルサ材を使っています。端が70mm高のあたりがちょうど良いようです(約15度)。この傾斜もいろいろと試して一番スムーズに動く角度を調べる必要があります。右端の半円の開始部分を軽く押すと、振動がはじまり、坂を下っていきます。


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