敦賀市の産業遺産・近代建築          2022.5.21

 敦賀市の産業遺産・近代建築を紹介する。撮影は、かなり前の2008年であるため現状と異なるものがあるかもしれない。

■旧敦賀港駅ランプ小屋
 かつて大陸への玄関口として栄えた敦賀港駅に残るランプ小屋である。

 

説明板の記述を以下に示す。
敦賀港駅ランプ小屋
完成/1882年(明治15年頃)
建設/鉄道省 煉瓦造平屋建 敦賀市金ケ崎1-19
       間口7.1m 奥行4.1m
 敦賀港駅は1882年(明治15年)金ケ崎駅として出発した。敦賀は日本海側で一番早く鉄道が通った町であり、港の荷物を直接取り扱うのが金ケ崎駅だった。その後、1912年(明治45年)新橋~金ケ崎間に欧亜国際連絡列車が週3往復走るようになり、国際港敦賀は多くの人と荷物で賑わった。当時の建物がほとんどなくなってしまったなかで残ったのが煉瓦造りの「ランプ小屋」だ。列車を走らせる際には、後方にその存在を知らせる光が必要だが、電気器具等が未発達な当時光源として使われたのが灯油を燃やすカンテラだった。そして、引火性の強いこの油類を補完するための危険物倉庫として建てられたのが赤煉瓦倉庫だった。「ランプ小屋」と呼ばれて長く親しまれてきた。このランプこやに積まれている煉瓦をよく見ると多くの煉瓦に、「平」とか「一」、「八」といろいろ刻印がきざまれている。これは、煉瓦を作った職人の名前の一部だそうです。
敦賀観光協会

 ランプ小屋は公開されている。公開日と時間は以下の通り。
○公開時間:午前9時から午後5時まで
○休館日:毎週水曜日、年末年始の休館日は12月29日から翌年1月3日まで
(ただし、水曜日が祝休日及び花換まつり期間中である4月1日から4月15日は開館)
(注)荒天時に公開を中止する場合がある。
○見学料金:無料
◎住所:敦賀市金ケ崎1-19

■旧金ケ崎隧道
 ランプ小屋の近くにある金前寺横の道を右に行く。これが旧国道8号線である。現在は通行止めとなっているが、さらに先に進むと旧金ケ崎隧道がある。
 旧金ケ崎隧道は道路用の煉瓦トンネルで、全長約290m、幅4.5m。1886(明治19)年竣工、1956(昭和31)年に新トンネル開通に伴い、廃止。

通行止め 隧道南側入口

 吉祥堂とある扁額

内部


■赤レンガ倉庫
 ニューヨークスタンダード石油会社の石油備蓄用倉庫として建設された。竣工は1905(明治38)年。
 説明板には以下のような記述がある。

 敦賀市は、明治32年(1899)に外国貿易港に指定された。この倉庫は紐育(ニューヨーク)スタンダード石油会社が明治38年に石油の輸入を開始したときに石油貯蔵庫として建設された。2棟のイギリス積みの煉瓦造平屋建の倉庫は、外国人技師の設計と伝えられている。
 この倉庫は、第二次世界大戦中は軍の被服庫として、その後は海産物の貯蔵庫として使用されてきたが、平成15年に敦賀市に寄贈された。
 内部には、柱型を出さずに、桁行方向の内壁には1から65までの石油缶整理用の数字が残されている。
 圏内では最大の煉瓦造の建物は、敦賀港の繁栄の時代を今に伝える遺構の一つで市民からは「赤レンガ倉庫」として親しまれている。
敦賀市・(社)敦賀観光協会

 



◎所在地:敦賀市金ケ崎4


■旧敦賀港駅舎(再現)(敦賀鉄道資料館)
 敦賀港開港百年を記念して、この地にあった国鉄敦賀港駅の駅舎を1999(平成11)年に再現した建物。資料が戦災で消失したためイメージ復元とのこと。

 



◎所在地:敦賀市港町1


■旧敦賀倉庫株式会社新港倉庫
 敦賀港の正面にある鉄筋コンクリート造平屋建の倉庫。竣工は1933(昭和8)年。

 

 近くに木造平屋建の倉庫もある。こちらの竣工年は不明。

 

◎所在地:敦賀市蓬莱町1-4


■旧大和田銀行本店(敦賀市立博物館)
 昭和2年に竣工した旧大和田銀行の本店で、現在は敦賀市立博物館となっている。建物の来歴説明には次のような記載がある。

[市]旧大和田銀行本店(現敦賀市立博物館)一棟
 指定年月日 平成5・1・12
 所在地及び管理者 敦賀市相生町 敦賀市
 時代 昭和初期
 鉄筋コンクリート造 地上3階 地下1階
 軒高 17m 延面積 1450平方メートル

 この建物は、近代敦賀の発展に大きな業績を残した二代大和田荘七が、明治25年にソウギョ欧下大和田銀行の本店で、設計は長瀬・吉田建築事務所、施工は清水組(現清水建設)京都支店、大正14年に着工し、昭和2年に竣工した。
 当時の国際貿易港敦賀を象徴し、北陸地方で最初にエレベーターが設置された近大洋風建造物で、屋内外の各所に高度な技術を駆使した独特の意匠や幾何学模様などを施し、見るべきものが多い。
 1階と地階の金庫室は銀行業務用で、2階は貴賓室など迎賓・社交施設に、3階は舞台付の公会堂に、地階はレストラン、屋上はビヤガーデンに利用されていた。
 昭和20年7月、国策により三和銀行に吸収合併されて、同行敦賀支店となり、昭和37年に福井銀行港支店に引き継がれたが、昭和52年の同支店廃止にともない敦賀市が寄贈を受けた。
 県内を代表する昭和初期の近代建造物として貴重である。また、隣接するみなとつるが山車会館別館は初代大和田銀行本店の建物である。

敦賀市教育委員会


 

 

 
大正14年製造のエレベーター

◎所在地:敦賀市相生町7-8
◎開館時間:10:00~17:00
◎休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館し、火曜日が休館)、12/29~1/3
◎入館料:300円(高校生以下は無料)

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