UECコミュニケーションミュージアム   update:2023/10/07
ミュージアムの建物

 UECはThe University of Electro-Communicationsの略で、電気通信大学のことである。このミュージアムは、かつて「電気通信大学歴史資料館」であったが、新しい建物が建設された2008年に現在の名称となった。

 電気通信大学の前身は(社)電信協会管理無線電信講習所で、1918(大正7)年に開校した。講習所は1945(昭和20)年に中央無線電信講習所となり、戦後に文部省に移管された。1949(昭和24)年に電気通信大学が開設された。

 こうした経緯もあり、大学には無線通信に関する貴重な品々が残っている。これが「資料館」の展示品となり、現在のミュージアムの中心的な展示品ともなっている。展示室は7つあるが、私が訪問したときには第7展示室は閉鎖されていた。

 第1展示室(1階)には、往事の商船の無線室を模したコーナが作られている。設置されている機器は「日本丸」に搭載されていたものである。また、初期の火花放電の無線通信設備や、第2次世界大戦で使用された日本やアメリカの軍事用無線機、戦後に使用された送信機などが展示されている。
 展示室をつなぐ廊下にも飾り棚が並び、明治初期に使われた電信器などが展示されている。

スエーデン製送信機(左)とオートダイン受信機

旧陸軍の無線通信機

UHF-TV送信機用クライストロン 1AV88

 
指示電信機

 
コヒーラ(左)と送信機

商船の無線室を模したコーナー(送信機は「日本丸」のもの)

JJY標準電波制御信号発生装置(1958年製造)

船舶用無線電信送信機(1942年製造)


国際通信用大型短波ダイバーシティー受信機

KDD八俣送信所で使用されていた短波送信機(1955年製造)

ハリクラフターズ社製米陸軍通信車両搭載用送信機BC-610-I


 
各種受信機

陸軍車両無線機丙(左:受信機、右:送信機、1943年製造)

瞬滅火花式送信機(現存はこれのみ)

 第2展示室(2階)にはラジオ受信機やスピーカー、オーディオ装置、卓上計算機、コンピュータが展示されている。ラジオは鉱石ラジオから真空管式ラジオまで並ぶ。アメリカ製ラジオやBCLラジオもある。卓上計算機はオドナー式が多く、他の形式のものは少ない。

エジソン蝋管蓄音機Standard D(1911年)

米製スピーカーRADIO MAGNAVOX(1921年)

日本初のミニコンピュータHITAC-10(1971年)

 第3展示室(2階)には通信用受信機やアマチュア無線用機器類が展示されている。この階の廊下にもショーケースが並び、初期のアマチュア無線家の自作受信機や送信機が並ぶ。また、その横にはメーカー製のアマチュア機器が並ぶ。懐かしい機器も多い。


黎明期のアマチュア無線機器

1970~80年代のアマチュア無線機器

 第4展示室(2階)には大学に設置された気象衛星用受信設備や気象庁のデータ処理装置などが展示されている。

気象衛星用受信設備

 第5展示室(2階)には、実習室の一部が移設・保存されている。大学では1987年までモールス通信技術を習得するための実習科目「通信実技」が必修であったためである。

電信用二音通信器

電信用音響器

 第6展示室(2階)は、部屋全面が真空管で占められている。その数は1万本を超えるそうである。貴重な送信管も見られる。

リーベン管 送信管8T71R

各種ブラウン管

各種送信管


■開館:火曜~金曜の10:30~16:00(12:00~13:00は閉館)
■入館料:無料
■所在地:東京都調布市調布ヶ丘1-5-1 電気通信大学内 東10号館
■連絡:info-muse-mlアットマークuec.ac.jp
■交通:京王線「調布」駅下車、北へ5分で大学正門
■URL:https://www.museum.uec.ac.jp/


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