火花通信を体験しよう(その1)~火花ギャップをつくる    2021.11.9
 
 最初の無線通信は、火花を使ったものでした。無線通信ではマルコーニが大西洋を横断して通信を行ったことが知られていますが、このときに使われた送信機は火花式送信機でした。
 火花通信は、間隙(ギャップ)に高電圧を加えると放電することを利用して電波を作り出すものです。通常、高電圧を作ることはなかなかできませんが、ライターやチャッカマンの点火部に使われている圧電素子は瞬間的に高電圧を発生させて火花をとばし点火するものです。これを使って火花を発生させてみましょう。ライターよりもチャッカマンの方が改造するのが容易なので、こちらを使います。(以下の改造は個人の責任で行って下さい)


(1)チャッカマンの改造

 チャッカマンのレバーを押してもガスが出ないようにする。図1は、チャッカマンの先端の筒を抜き、本体のネジをはずしてあけたところです。図中のDのところにプラスチック板があり、これでガスの出口を押し上げてガスが出るようにしているので、このプラスチック板をはずす。こうするとレバーを押してもガスは出なくなる。元に戻しネジ止めする。先端の筒はつけない。筒とつながっていたリード線Bと、先端の巻かれた部分Aの2ヵ所から高電圧を取り出す。この部分は絶対に手で触らないこと。
図1

(2)火花ギャップの製作
 アクリル板とネジを使って火花ギャップを製作しました。ネジはM3-50という3mm径、長さ50mmのなべ小ネジを2本使いました。ネジの先端部をヤスリでだいたい45°の角度でとがらせておきます(図2)。アクリル板の寸法は図3に示しました。このとおりの寸法である必要はまったくありません。私はネジの取り付け部にタップでネジを切りましたが、できなければ両側をナットで止めればよいと思います。その時の穴の径は3.2mmです。

図2

図3(a)

図3(b)

 大事な点は、とりつけたネジの先端がズレないこと。側板と底板を接着するときは、ネジを側板にさした状態ですればズレずに接着できます。
 チャッカマンのAとBの端子からワニグチクリップの線をネジにつなぎます。最初は1~2mmのギャップ間隔でチャッカマンのレバーを押します。放電が停止する少し手前のギャップ間隔でネジを固定します。図4は実験のようすで、少しずつギャップ間隔広げていったところ、8mmまで放電しました。図4は7mmの間隔で放電しているようすを撮影しました。

図4

 
「火花通信を体験しよう(その2)~火花の電波をキャッチする」を見る。

■火花式送信機の本格的な再現

 当時の火花送信機を漆谷正義さんという方が再現し、ユーチューブにアップしています。製作過程の記事は『RFワールド』NO.44、CQ出版社 にあります。
 https://www.youtube.com/watch?v=89yd0OAsInE

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