技術職業教育通信   No.34 1998年2月10日  

 職人さんの技に感激! ★第11回技術・職業教育冬季教研開かれる★  

 今月の特集

○職人さんの技に感激!−−第11回冬季教研開かれる
○お知らせ:技教研京都大会の内容決まる.....       
○博物館見てある記(その4)−−三木市金物資料館    


職人さんの技に感激! ★第11回技術・職業教育冬季教研開かれる★

2月1日(日)、同志社中学技術室にて、第11回技術職業教育冬季教研集会が開かれました。当日は14名(中学10名、高校3名、その他1名)の参加があり、うち家庭科の先生が3名参加されたのが特徴でした。
今回の企画は、この夏に行われる技術教育研究会大会の「体験!京友禅」という実技講座を大会に先駆けて行おうというものでした。これは、京都友禅一般労働組合の職人さんの全面的な協力で、今回はじめて実現した企画です。今回、体験したのは、たくさんの工程で構成される京友禅の仕事の染めの部分ですが、それでも、詳しい解説と実演で、京都の伝統産業を担う人々の心意気と技を十分に感じることができました。
京友禅は、たくさんの工程を含んでいます。この中で染めの工程には大別して、「手描き染め」と「型染め」があります。「手描き染め」は、生地に下絵の輪郭線に沿って糊を置いていきます。これは隣の色と混じらぬようにするためで、この後、筆で色を付けていきます。実演では、こたつの枠のような台の下にヒーターをおいて、塗った色を乾かしながら、作業をしていきます。「型染め」は、図案に従って型紙を彫っていきます。何十枚もの型紙をズレることなく摺るために、型紙には「星」という印がつけられ、これに型紙をあわせて、12mの生地に狂いもなく図柄が摺られていきます。
今回は、「型染め」の技法を体験しました。用意していただいた図案は3枚。すでに型紙に図案のどの部分を彫るかを指定してありましたので、楽に作業を進めることができました。実際には、摺る工程を考慮に入れて図案を考え、どの部分をどの型紙に写すのかという難しい作業が必要です。細いカッターで型紙を彫っていくのですが、曲線がなめらかに彫ることができず、改めて職人さんの技のすごさを感じることができました。3枚の型紙を彫り終わるのに1時間ほどかかりましたが、その後の染めの作業はとても楽しいもので、摺りの作業が進むにつれてできあがっていく図に、参加者の顔がほころんでいきます。ほぼ予定通りの時間で終了し、これなら夏の大会でも参加した人に十分京友禅のすばらしさを堪能してもらえると意を強くした次第です。
 京都友禅一般労働組合の職人さんたちに、改めて感謝を申し上げたいと思います。


型紙作り 染め作業

手描き友禅

◆参加者からのアンケート集計結果◆
参加者全員から「期待通りでよかった」の声!

 以下に、アンケートの結果を掲載します。(回答してくださったのは8名でした。)
[1]この集会をどこでお知りになりましたか。
  案内チラシ(4)、知人・友人の誘い(3)、その他(1)

[2]今日の内容はいかがでしたか。
  期待通りでよかった(8)

[3]京友禅の職人さんの実演について、感想や意見をお聞かせ下さい。
★はじめて京友禅をみて、びっくりしました。手描きの筆の使い方のすばらしさや、型友禅の型置きのむずかしさ、そして2つともきれいな作品として生まれてくるのをみて、京友禅のよさがわかりました。
★細かいところまで説明していただき、とてもよかった。
★普段みることができないものをじっくりとみることができて、大変参考になりました。
★非常にていねいに、しかも親切に教えていただいて感激しました。本物を教えていただいた喜びは大きいです。
★道具に驚きました。微妙なセンスに感動しました。自分で一度やってみて、またプロの商品をみたとき、改めて”すごさ”を感じました。
★とてもていねいに説明していただき、よくわかりました。
★すごい。

[4]京友禅の実技の体験について、感想や意見をお聞かせ下さい。
★型紙彫りでカッターの使い方がむずかしかった。摺り込み刷毛ではうまく染めができないところがあったが、ボカシ等の技術も入れながら、きれいな作品ができた。
★大変面白かった。
★初体験にもかかわらず、なかなかいい作品ができました。職人さんのご指導のおかげと思っています。
★難しいものと思っていましたが(本当はそうでしょうが)、上手に教材を準備していただき、自分にもできて、大きな収穫です。
★カッターナイフの使い方・・・回転がむずかしい。アイディアでいくらでもユニークなのができると思いました。
★手順も理解できてよかったです。
★参考になりました。今後どこかで生かせたらなぁと思います。

[5]今日の実技は学校の授業で活用できるとお考えですか。
★家庭科の授業やクラス活動などで十分活用できる。個々の生徒が好きな図案を考えられるし、好きな色で染められるのでよいと思います。
★はい。
★家庭科の授業にいいと思います。
★家庭科でやれば生徒も喜ぶと思います。
★クラス活動、家庭科等で生かしていけそうです。クラスで作れば楽しいと思います。
★活用したいと思います。
★家庭科かな?

[6]今回の企画、運営、費用などについてご意見をお聞かせください。
★プロの職人さんから学べたことはとてもよかった。
★すごくよかったです。
★費用は適当です。染料や材料など購入できれば、簡単に自分でもできて、楽しいと思います。
★とにかくプロの職人さんから学ぶということがよいです。それぞれの技をきわめる数々の工夫に頭が下がります。それを知るだけでも価値があります。
★よいと思います。
★ぜひ、伝統産業を取り上げてください。今後もよろしく。
★文句なし。

[7]今後企画してほしいテーマや内容があればお書きください。
★機械でロボコン等。
★やはり生徒と同じく実技の伴ったものがいいですネ。
★金工の職人さんもよろしく。
★また実技がいいです。
★また伺います。

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第1日目

○記念講演:「現代科学技術をどう見るか」〜最近のこどもたちの動向にもふれながら〜
          雀部晶氏(立命館大学経営学部教授)

○実技・理論講座:
  (@〜CとGから2つ選ぶか、D〜Fから1つ選んで参加できます)
 @教育課程改訂(中学)
 A教育課程改訂(高校)
 B高校工業教育の復権 
 C総合学科について  
 D体験!京友禅    
 Eプロから学ぶ木材加工
 Fプロから学ぶ電気工事
 G体験!インターネット

第2日目

○内容別分科会討議:
(レポートにもとづいて技術・職業教育について多面的に交流や討議をします)
 A分科会:小学校・中学校の技術教育
 B分科会:高校、高専、大学等の技術・職業教育

第3日目

○問題別分科会討議:
 C分科会:地域の技術史
 D分科会:諸外国の技術・職業教育
 E分科会:子ども・青年の発達と技術・職業教育
 F分科会:技術教育の授業づくり
 G分科会:障害児の技術・職業教育


○地域の技術見学会
 着物の町の粋を集めた西陣織工場の見学〜川島織物の見学〜
 古い町並みの残る伏見の酒蔵の見学〜月桂冠大蔵酒造の博物館と工場見学〜


◆参加費は、           5,000円(1日の参加は3,000円)
◆宿泊費は、1泊2食(8月3日):11,500円
      1泊2食(8月4日):14,000円(夕食時の宴会費用を含む)
      2泊5食(8月3,4日):26,500円(8/4の宴会費用と8/4の昼食を含む)


▼詳細についてお知りになりたい方、大会運営のお手伝いをしてくださる方は、下記へ連絡をお願いします。
(事務局)***

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三木市立金物資料館

 神戸電鉄粟生線「上の丸」駅で降り、さびれがちな商店街のちょうど真ん中あたりから城址のある丘に登る道がある。登り切ってすぐ「金物資料館」がある。ここ三木市は5世紀のはじめに百済の鍛冶が住み着き、鍛冶を行ったのが三木の金物のはじまりと伝えている。「資料館」の入り口には、有名な「村の鍛冶屋」の歌碑が立っている。「資料館」は地元の篤志家が土地を提供され、1976年に建設されたものである。館内は、鉋、鋸、鑿などの金物が所狭しと展示され(十分に整理されているとはいいがたいが・・・)、製造工程のパネルでわかりやすい展示がされている。名人といわれる職人さんの手による刃物 は、見ていて見事というほかはない。
 三木市には、金属工業センターがあり、ここで各種の金物の製造が行われているので、一度にいろいろな刃物の製造工程を見学することができる。また、「資料館」に隣接する金物神社の境内で、毎月第1日曜日(1月は第2日曜日)の午前中(午前9時〜12時)に、三木金物古式鍛錬技術保存会が公開実演を行っている。これも見逃せない。保存会は伝統技術の伝承のために、鉋、小刀、鏝、鋸、鑿の製造業者が交代で実演を行っているものである。


現在、技教研京都大会に向けてほぼ毎月1回のペースで、現地実行委員会が開かれています。かつては京都でも「京都技術サークル」が定期的に会合を開いて、活動をしていました。毎年2回の実技講座にとどまらず、この実行委員会をベースに、定期的なサークル活動へと発展することができるようにしたいものです。
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