技術・職業教育通信   No.43   2001.9.1
 
 「いきいき電気教材(第2弾)〜 夏期講座行われる

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 夏休みも終わりに近づいた8月28日、同志社中学校技術室を会場に行われた夏期講座には10名の参加があり、「いきいき電気教材(第2弾)」の製作、実験を体験しました。

参加者の内訳は、中学校6名、高校3名、大学1名でした。

 今回の講座では、前段を荻野が「ヘルツの実験装置」の製作、「簡易コヒーラスイッチ」の製作、おまけとして「100円ショップでジュース急冷器」の製作を行いました。その後、同志社中の川瀬先生の電気の授業で使っている教材の紹介・実験がありました。

 終了後、6名が参加して納涼懇親会を行い、いろいろな話に花が咲きました。

【ヘルツの実験装置】
 1888年、マクスウェルの電磁波理論にもとづき、ヘルツが電波の実在を証明する実験を行いました。ヘルツは火花放電で電波を放射し、離れたところで空隙に火花が飛ぶことで電波の実在を確かめました。今回は京都の青少年科学センターの海老崎さんのウェブページ(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ebisan/)を参考に、装置を小型にしたものを作りました。

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 高電圧を発生するのは100円ショップで買った「チャッカマン」。そのままではガスで炎が出てしまうので、分解・改造してガスが出ないようにし、高電圧がでる線を取り出しておきます。

 発振器の方は、アクリル板(150×100)に四角いアルミ板(40×40)を2枚取り付けただけのもの。ここに「チャッカマン」からの電線をとりつけます。アルミ板の間隔を数oとし、火花が飛ぶことを確認します。(間隔と発振周波数とは関係があるので、検出器ができたあとで、間隔を調整してください)

 検出器は、ネオン管の両端に20cmほどの線をハンダ付けし、ワリバシに固定したものです。余った線はハシの端にグルグル巻き付けておきます。

 暗いところの方が、ネオン管が光る様子がよく観察できます。発振器と検出器の距離はあまり離すと光りません。せいぜい10cm程度。このへんは改良の余地があります。

【簡易コヒーラスイッチ】

 ヘルツ、マルコーニの時代には、電波の検出器として「コヒーラ」というものが使われていました。コヒーラとは、ガラス管に金属粉末を封入したもので、これに電波を通ずると金属粉末がコヒーア(密着)して、導電性が高まるという現象が起こります。コヒーラは、ブランリーの原理にもとづき、1894年ロッジが考案したといわれています。コヒーラは鉱石検波器が出現するまでの間、使用されました。

 今回は、金属粉末の代わりに、アルミホイルを丸めたものを使います(2〜3cm角の大きさに切っておきます)。フィルムケースにおなじアルミホイルで電極を作り、そこに丸めたアルミホイルを入れます(20〜30個)。今回はこのコヒーラスイッチと電池(3V)、LEDを直列にした回路で実験を行いました。LEDは最初は点灯していませんが、「ヘルツの実験」で製作した発振器で電波を発生させると、回路が導通し、LEDが点灯します。元に戻すにはフィルムケースを叩いて、密着した状態を解除してやります。

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【100円ショップでジュース急冷器】

 100円ショップにはたくさんのプラスチックケースが売られていますが、ジュース缶やビール缶の大きさにちょうどいいのはMD用ケースです。このMDケースのフタにモーターからのベルトを通す穴をあけます(今回は各自適当にあけました)。モーターは、同じく100円ショップで売っている小型マッサージ機を分解・改造して使います。ヘッドの部分を取り、モーターに付いている偏心重りをはずします。プラスチック画鋲のピンを抜き、穴を2mmに広げます。これをモーターに取り付けます。

 缶に輪ゴムをかけ、ケースに入れ、氷で缶があまり移動しないようにします。浮力がないとスムーズに回らないので、水を缶の半分をこえるほど入れます。ピンに輪ゴムをかけ、モータを回します。うまくやらないとすぐに輪ゴムがはずれてしまいます。缶の一方がケースの端にいくようにして、缶が水平方向に動かないようにしながら回すといいようです。およそ3分も回せば、ヒエヒエになります。

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【川瀬先生の電気教材】

 同志社中の川瀬先生は、1学期に行った技術の授業で活用した電気教材を生徒の反応なども交えて紹介してくれました。

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@鉛筆・シャーペンの芯に通電・発光させる装置

Aバイメタルと電球を直列につないだ装置

B割った電球のフィラメントと豆球を直列につないだ装置(電球のフィラメントは電流が流れ発熱すると抵抗が増し、息を吹きかけて冷やすと抵抗が減少する性質がある)

C自作した発電機(電気を取り出すターミナルと豆球がついている)

D配線練習をするためのボード(スイッチ、ブザー、電球、電池が同一ボード上についている)

 川瀬先生は紹介だけで終わる予定のようでしたが、参加者からのリクエストに応えて、シャーペンの芯の発光実験をしてくれました。まるで授業を再現したかのような語り口で実験をされたので、参加者はみな釘付け状態でした。

 また、濱中先生と一緒に集めたという変わり電球も紹介していただきました。


参加者の声

[1]今回の講座の内容で授業や実習に活用できる教材はありましたか?また、それはどのように活用しようと思っていますか?

・どれも楽しい実験装置でおもしろいものでした。これから授業に生かしていけるよう考えていきたいと思っています。

・ジュース急冷器を選択の授業でやってみようと思います。「簡単燃料電池」を電気の授業でやってみようと思っています。

・川瀬先生の教材を見ると「作らなくては・・・」と毎度思います。授業に生かすのは位置づけが難しいですが、急冷器とかコヒーラとか、他の人に「早く伝えたい!」と思いますね。

・内容そのものを活用するとなると中学生には少々難しいと思います。しかし、教材としてのヒントとして教師側の発想という点で大いに活用できるかもしれません。

・楽しい講習会でした。

[2]今回の講座について感想や意見をお書きください。日程のことや運営面についての希望もどうぞ。

・実技の方も楽しくて、アッというまに終わりました。今日帰ったらさっそく急冷器でビールを冷やして飲もうと思っています。川瀬先生の電気学習の教材やお話しも大変ためになるおもしろい内容でした。時間切れで残念に思いました。

・おもしろい実験で授業でも使えると思います。電気の授業は最近実験を中心に行っていますので参考になりました。

・またよろしくお願いします。今日は楽しかったです。滋賀からの参加者を今後も増やしたいです。

・ヘルツの実験、コヒーラの実験は興味深かったです。

・初めて参加させていただきました。2学期からの授業のヒントになりそうです。ありがとうございました。

・お世話になりありがとうございました。

[3]今後、取り上げて欲しいテーマや教材がありましたらお書きください。

・実技をお願いします。なんでも。

・中学での工作。

・中学生に教えるとするならばどんな教材が楽しいか?評価について(特に電気ですネ!

 

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