技術職業教育通信 No.25 1994年9月1日 |
大工さんの技術を学ぶ! |
技術・職業教育夏の講座が8月17日、同志社中学校技術科教室を会場に行われました。今回は京建労の全面的な協力の下、大工さんからプロの技術・技能を学ぶことを企画し、近年にない14名の参加を得ることができました。 京建労からは、講師の八木さん、森下さんと中村副委員長、2名の取材陣(!)が参加されました。参加者は、中学校教員が9名、高校教員が3名、京都教育センターの先生が2名という内訳でした。 炎天下の砥石面出し 刃研ぎ 今回、こうした企画が実現したのは、いくつかの県で大工さんが直接中学校の現場に入り、教員の補助要員として活動している記事について、京建労が京教組を通じて、技術・職業教育の関係教員の意見を求めたことがきっかけです。今回の夏の講座を企画するにあたり、このことを思い出し、厚かましくもお願いにいったところ、生徒を直接指導することには疑問もあるが、先生の指導力アップのためなら大賛成と快く引き受けて下さり、実現の運びとなりました。 当日は、午前中に道具の見分け方と直し方について細かいアドバイスをしていただき、まず砥石の面を平らにすることからはじまりました。炎天下、縁石に砂をまき、砥石の面を思いっきりこするのです。平らになった砥石で、鉋刃と鑿をとぎました。だいたいこの作業で午前中は終わり、残った時間で、午後からのホゾ組みについて、工作のポイントの説明がありました。 午後からは、ホゾ組みを作りました。われわれが鑿でホゾ穴をあけるのはかなり大変な作業なのですが、講師の方がやるとアッという間です。やはり力の入れ方がちがうのでしょう。鋸引きなども全然ちがいます。一方では、汗を滝のように流して鋸引きをしている先生もいるというのに・・・。組み上がるまできっちり2時間の工作でした。作業中も、講師の方がまめに巡回され、個別に指導をされたので、自分の作業について得心することも多い一日でした。
作業後、1時間弱、木工や道具などについて、何でも質問できる時間をとりました。ここでも道具や工作についてプロの目でみた説明があり、いままで生徒に指導していたことを訂正しないといけないという声も出たりして、有意義な時間となりました。 今回の内容については、参加者だけのものにしておくのはもったいないので、冊子にすることを検討したいと思います。 以下に、アンケートより、参加者の声を集計しました。 大変よかった ・・・・・ 80% よかった ・・・・・ 20% ・2学期に木工学習の「ほぞ組み」をやる予定であり、良い研修となりました。よい教材が作れました。(中) ・木工は小さい時から好きだったので参加しました。でも、なかなか難しく、穴を合わすのに苦労しました。(外) ・木工の面白さ(難しさを含めて)を味わうことが出来てよかったと思います。材料の良質の木には少々面食らいましたが。(外) ・技術教育の中で比較的とりくみやすい分野だが、自ら実習することによって、生徒の困難点がよくわかり、授業にすぐ生かせるのが大変よかった。(中) ・20年近く木工作業らしきものをしていなくて、なつかしかった。刃物のとぎ方を入れていただいた点(がよかった)。(高) ・簡単そうにみえた作品も、いざやってみるとむずかしかったです。指導してくださった京建労のみなさん、ごくろうさまでした。(中) ・プロの技術を眼の前で見せてもらい、大変ありがたかったです。(中) ・本物の大工さんというのが大変良かったです。(中) ○講座の内容や分量について 適当である ・・・・・100% △特によかった点など ・木材の特徴についての理解が深まったように思います。(中) ・木という材料の持っている性質、道具の特性、部分の組み合わせ(接合)における問題点など、多くの点について良い勉強になりました。(外) ・基本的な穴ぐり、ほぞの部分。(高) ・道具の使い方など個別に教えてもらえてよかったです。(中) ・工具、道具のこと。(中) ・専門の大工さんに道具の調整方法や使用法等教えていただき、今までの間違った点もわかり、非常によかった。(中) ・プロに指導してもらってよかった。(中) ・教師の研修には役立つが、カリキュラムでほぞ穴加工にとりくめないのが残念。(中) ・工具が不備で、かえってと石の修正からあってよかった。(中) ○今後扱ってほしい内容やテーマは、 ・女性でもできる内容。(外) ・板金加工。(高) ・機械についての領域a気候などの工作実習。金工の刃物づくり。(中) ・金工の旋盤。(中) ・技術的に上達することが指導力を高めることになるので、基本的な部分の実技研修は今後も続けてほしい。(中) ・他の基本的加工法。(中) ○今後技術・職業教育でやるべきこと、その他 ・また、参加させていただきます。ありがとうございました。(中) ・今までの講座を冊子にしてはどうですか?(中) ・計画、準備及び本日の世話、本当にありがとうございました。(中) ・市内中学校の現場教員の参加を強く求めたい。(中) ■文中、(中)は中学教員、(高)は高校教員、(外)は教員以外の略である。 [文責:お] |