技術職業教育通信   No.24 1994年2月28日  

 ジュース運び自動車の製作と活用 
 
 第7回技術・職業教育冬季研究集会が2月11日、同志社中学校を会場に開催されました。今回も、前回に引き続き、パソコンを使った制御の教材として、「ジュース運び自動車」の製作と活用をテーマに行いました。参加者は6名で、中学校4名、高校2名でした。 当日の様子を以下にお知らせするとともに、参加者へのアンケートのまとめも掲載します。
(お)

  製作した教材の紹介
 今回製作した「ジュース運び自動車」は、江戸時代に作られたからくりの茶運人形をヒントに、ジュースの缶をのせて運ぶ模型自動車をパソコンで制御しようというものです。缶がのったかどうかはCdSを使った光センサーで検知するようになっており、左右のモーターで前進、回転ができるようになっています。また、模型自動車とパソコンを接続するマザーボードは別の実験ボードを接続すれば、LED点灯などの実習もできるように拡張性を重視してあります。

 当日は、ギアボックスの組立て、アクリル板の加工、センサー回路とモーター駆動回路の組立て、マザーボードの製作を行いました。午前10時からはじめて、午後3時までたっぷり4時間あまり製作にかかってしまい、肝心のパソコン制御のことやプログラムの説明がほとんどできずじまいでした。 中学校「情報基礎」をめぐって新しい技術・家庭科の「情報基礎」領域の実践については、多くの教師が悩んでいます。今回参加された先生も、現在はソフトの利用を中心に授業を展開しておられますが、それが技術科で扱う内容にふさわしいものかどうかには疑問を呈しておられます。1月末に行われた全国教研でも、「情報基礎」のあり方をめぐって大議論になりました。論議のポイントは、@ソフトの利用中心の内容は技術科が扱うものとしてふさわしいものか、A「制御」は本当に生産技術の視点でコンピュータを取り上げた教材かどうか、Bプログラムの位置づけをどう考えるか、Cパソコンを使えるようにするのは技術科がやるべきなのか、等でした。これらは今後、実践を積み上げていく中で、検討がなされなければならない点だと思います。

 現在は、「制御」をやってみたいと思っても、設備がない学校がほとんどなので、民主教育推進委員会(技術・職業教育分科会)でもこれらの自作教材の紹介を今後も取り上げていきたいと考えています。また、学校によってはロゴレゴを購入しているところもありますから、これらを積極的に活用した実践研究も求められます。ソフト利用しかできない環境にあっても、技術科にふさわしい内容の展開をその中でも検討していく道も捨てることはできないと思います。授業の展開や生徒の反応など、「情報基礎」については、さまざまな角度からの実践報告が必要だと思います。各先生の報告を期待したいと思います。

  参加者へのアンケート結果より @今回製作した「自動車」をどのように利用するつもりかという問いには、「『機械』領域のコンピュータによる制御の紹介」や「『機械』や『情報基礎』の授業」から「ロボット制御の研究資料として」というものまでありました。 A「情報基礎」や「情報技術基礎」(工業高校の場合)の内容については、「BASICのプログラムやCAD」、「ワープロ、ペイント、プログラム」、「ハイパーキューブ、ロゴライター2」などがありました。 B今回の内容、運営などへの感想、意見を書いていただきましたが、「大変わかりやすかった」、「よい教材ができてよかった」、「準備等大変お手数をかけて、とても充実した楽しく為になる研究会でした」等の感想をいただき、主催者として大変喜んでいます。 C今後企画してほしいテーマについては、「このテーマでもう一度」、「モーター制御のプログラム」等、「制御」の内容をやってほしいという声とともに、「電気」領域のものをという意見もありました。


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